ライネ オーダーピース、ファースト・デリバリーが日本到着~その納品会をレポート!!

 By : CC Fan

2019/10/16追記:ケースサイズが間違っていたのを修正しました。

バーゼルワールドでノーブルスタイリング葛西氏の”秘密兵器”として登場ワークショップを訪問したり実機レポートをお送りしたフィンランド人ウォッチメーカー、トースティ・ライネ(Torsti Laine)による「普通にいい」時計ライネ、7月末に行われた”みんなで見ようの会”で注文されたファーストオーダーピースがいよいよデリバリーされました。

納品式に同席させていただいたのでレポートします。

今回デリバリーされたのはカスタムが”控えめ”なピースで、”ワガママ”なピースは、もう少し遅くなるとのこと…



ダイヤルは3時ごとにローマ数字、それ以外はバーインデックス、アントラサイトカラーという組み合わせ。
この文字盤はCNCフライスで工房内で生産しているため、一番”小回り“が効き、カスタムにも対応しやすいとのこと。
ハンドはスタンダードなソードハンド。



インデックスはCNCによる一体成型で、形を削り出す、サンドブラストで表面を荒らす、ダイヤルカラーのメッキ、インデックス表面を削って地金を出すという手順で製造された一枚もの。
インデックスが凸になっているのが伝わるでしょうか?
インデックス表面はサテン仕上げでサンドブラストのベース部分とのコントラスト差で視認性はよいと感じました。



時計をのぞき込むときの角度を想定した光の当たり方。
見ての通り、インデックス部が光るため判別は容易だと思います。



LAINEのロゴは別プレートをネジ止め。
これもきっちりと仕上げられています。
ベースエボーシュ(ユニタス)を感じさせる、外側に寄ったスモールセコンドはオーナー氏曰く、”ムーブメントがきっちりと詰まっていることを表しているので好み”とのこと。
確かに36.60mmのムーブメントが40.5mmの42.5mmのケースに入っていると考えると、ケース厚は約2mm3mmしか取れないわけで、きっちり感はすごいかと。
(初出時、チャペック ケ・デ・ベルグのケースサイズとごっちゃになってました)



大きく開口したグラスバックから鑑賞できるライネカスタムムーブメント。
毎回書いていますが、個人的には素性を明らかにしたうえでの美観・性能チューニングを施したムーブメントは、よくわからない”自社”ムーブよりも好印象です。
オーナー氏はダイヤルとの調和と無彩色が好みということでロジウムカラーをチョイス。
”見ようの会”では、ここでもそれぞれの好みが出たポイントでなるほどこれがカスタムにする意義だなと思った覚えがあります。



”ライネらしい”と言えるような個性を出したプレートの仕上げ。
ユニタスと分割方法を変えており、3/4プレート様式の2-4番車と巻き上げ輪列を格納した洋銀製のブリッジ、スチール製の独立したガンギ車ブリッジ、同じくスチール製で美観に配慮した作りのテンワブリッジとなっています。
ユニタスの”基礎体力”はそのままに、美しい外観を与えています…と言うか、これだけ作り直してあの価格で本当にいいのか?と心配になる作り。

巻き上げ輪列はユニタスと同じように見えますが、感触はよりカリカリ感が強い印象なので、何かチューンされているのかもしれません。



リストショット。
ユニタスが大きめとはいえ、現在の時計業界では男性用としては普通のサイズ。



光が当たった時のインデックスの反射を別角度で。
このような反射を考えるとダイヤルカラーは濃色の方が良いかもしれません。



ベースのユニタスは4.5mmと薄めではありますが、ケースは結構厚め、これはダイヤルが厚めなのと、追加のブリッジが頑丈さを求めて厚みを追加しているため。
よく見ると、スモセコと文字盤のインデックス部で削り出しの深さが変えられていることもわかります。
ケースも一見すると無個性なようで、よく見るとユニークな”ライネらしい”という仕上がり、手作業で仕上げているそうですが、”手作り”といったバラつきはなく均一な仕上げになっています。

以前も書いたように、ケースは一見して凄い!とは思わないですが、眺めていると要素がバランスよく絡み合って考えられて作られていると感じる作りです。
何とも表現がしづらいですが、ぜひ実物を見ていただきたい。



一番光っている感がある写真はこれ。
コントラストで視認性を上げるという手法としてかなり成功していると感じました。



リストショットをもう一度。
あまり主張はしませんが、全体としてバランスがとれており、細かく見ていくと細部まできっちりと考え抜かれて作られている…、「普通にいい」時計という表現がぴったりだと思います。



画像が飛んでしまっていますが…
一本減ってしまったものの、残り2本は現在店頭展示中。

マーケットからの反応も上々で、見ようの会で入ったオーダーのほか、ギャラリーを訪問した方のオーダーも増加、現在は10本以上のバックオーダーがあるとのことで、”年間生産量20本の半分を日本で”という葛西氏の野望が達成されたようです。

やはり細かいカスタムオーダーで自分が求める時計を作ることができる…と言うのが最大の魅力でありますが、何よりライネ氏の人柄もあり、"Buy the watchmaker, not the watch."かなと思った次第。


関連 Web Site

Laine Watches - Independent watchmaker in Switzerland
https://www.lainewatches.com/

Noble Styling
http://noblestyling.com/