ライネ 届いたのでみんなで見ようの会とオーダー̟̟が入った話+α

 By : CC Fan
2019年7月29日 追記:固有番号について追記しました。

バーゼルでの邂逅
工房(ワークショップ)訪問と真面目で、”普通に良い時計”と言う事をお伝えしてきたライネ(LAINE)、彼とカーステンに会えただけでも今年のバーゼルと突発的スイス取材紀行は行った甲斐があったな…と言う素晴らしい人物でした。

ワークショップ訪問の時に、"これを完成させて送ったらバケーションに行く”と半ば冗談だと思っていた話をきっちり回収し、火曜日に届いた…と言う話を伺い、日曜日に写真を撮りに行くついでに、興味がある方をお誘いして見に行こう!と言う事で”みんなで見ようの会”を行いました。

葛西氏曰く、WMOを見たという問い合わせがすでに寄せられたこと、某所での催事で披露したところ同業者の評価も上々(インスタに上がっていたような…)、私が尊敬するジャーナリスト氏の評価もよかったと上機嫌…とオープン回し者冥利に尽きますね。



というわけでまずは実機を。
葛西氏がバーゼルワールド後に先行オーダーした3種類。
時計本体よりもワシントン条約のサイテス(CITES)が必要なベルトの方が大変で、今のところ一つはストラップなしの状態。

数字はすべてブレゲ数字で、左から12・3・9とバー、偶数とドット、すべて数字ありの3種類。
このほかローマン数字やライネオリジナルフォントも選べ、それと数字の配置が組み合られ、さらにダイヤルの色も組み合わせるとバリエーションは増えます。

文字盤色は左からアントラサイト(濃い灰色)、ブルーグラデーション、ライトグレー。
文字盤は一体物で、ベース部分が塗装またはガルバニック、インデックスやサークル部分が凸になっていてその部分だけ塗装を研磨ではがした金属サテン仕上げという作りです。
作りとしてはシンプルですが、塗装後の研磨で失敗できないという意味ではかなりの技量を要求しそうな作り方です。
”全部俺”だからこそできることかもしれません。

針は、ソードハンドと呼んでいるスタンダードなデザイン(左右の2つ)と、ライネオリジナルのスケルトン針。
視認性はソードの方が良いかな?と思いますが、ライネオリジナルは重なり方が面白い。



ムーブメントのメッキ仕上げも選べ、左からローズゴールド、ロジウム、イエローゴールド。
洋銀製の4分の3プレート状のブリッジやスチール素材のテンワとガンギ車のブリッジは工房内で新規製造とのこと、価格を考えるとポン乗せでも文句は言えませんが、ここまで作っているのは驚愕です。
ベースに使っているETA6497(ユニタス)はもっとも精度が高いクロノメーターグレードを使っているそうで、ほぼそのままでクロノメーター(COSC)を取得できる実力を持っている…”はず”ですが、検定をとっていないので謳うことはできません。
ベースムーブメントが直径36.6mmもあるので、ケースに対してはぎっちりという表現がぴったりの詰まり方、特徴的な点としてムーブメントにLaineと書かれた銘板が固定されている以外はケースには一切文字が書かれていません。
もちろん限定番号やシリアル番号もなし、”数字”ではなくライネが作ったと言う事だけがわかればよい…と理解しました。



追記、ムーブメントの固有番号はテンリンの下に記録されているとの情報をいただきました。



ライネデザインの針。
薄い色の文字盤だと埋没するかな?と思いますが、逆に濃い色の文字盤には合いそうだと思いました。
インデックスと針の距離感を見ると、相当”考えられている”とも見受けられます。



こちらはソードハンド。
文字盤のインデックスは機械加工によってわずかに凸になっているのがわかりますでしょうか?
浮彫りのような作りなので、耐久性も高いと思われます。
スモールセコンドとメインのダイヤルの高さも変えてあったり、細かいところまでケアされた構造です。
が、そういうディティールよりも全体のバランスを見れば普通にきれいな時計です。



ケースライドはサテン仕上げで、ラグ部分にムーブメントと共通の縁取りとサンドブラスト仕上げ、ラグの表面とベゼルは鏡面仕上げ、面ごとに仕上げを変えてコントラストを強調する構造です。

正直、一番表現に悩んだのがこのケースです。
ケース造形は適度に丸められた曲面が有機的につながっている…と表現すればいいのかなんとも不思議なケースです。
相応に手間はかかっているのでしょうが、その手間を感じさせないというか、日常的に使いやすいケースを手作りで作ったらこうなったというか、ライネが考える使いやすいケースをそのまま形にしたとか、彼の人柄が現れたケースという表現が良いのか…
一見すると特徴がないケースで、ここがすごい!とは言えないのですが、全体としてはバランスが取れている、とんでもなく奥が深い作りです。

”べき論”で、エッジが立っていることを良しとする考え方もありますが、日常的に使うことを考えると滑らかで引っかからないこういう方が良いかなと思いました。
ケースバックのあたりも滑らかです。



グラスバックの周囲も鏡面仕上げ。
ストラップはアビエシステムによってワンタッチ交換が可能です。



ムーブメントのアップも。
これはロジウム。



イエローゴールド。



ローズゴールド。



収まりもいい。
私はライネオリジナル針が好きですが、同席された方の好みはソード針、ムーブメントもローズゴールドが良いという私に対しロジウムが…好みは分かれ、なるほどこれがオーダーメイドにする意義かと再認識。



表現しづらい”普通に良い時計”という表現がまさにぴったりなライネ。
奇をてらってはいないけど、オーナーが決めた仕様で”全部俺”なライネ氏が作り上げ、オーナーの生活に寄り添う…
最近のテーマ、"Buy the watchmaker, not the watch."がぴったりかなと思った次第。

見ようの会…のつもりでしたが、なんとオーダーが入りました、しかも複数!
基本的なオーダーシートはあるのですが、それを見ただけでも各人の好みは千差万別、なるほどこれがオーダーメイドの意義かと再び確認しました。
”お仕着せ”ではなく、自分の好みと向き合うのは難しいですが楽しいと思います。

ライネ氏がバケーションから帰ってきたら”嬉しいお知らせ”になるのかな?

ライネ、当分は恵比寿のノーブルスタイリングギャラリーのみの専売として、定価は78万円(税別・カスタムオーダーは都度相談)で展開するそうです。
まずは見るだけでも、ぜひ…

在庫の3本は”見本”の予定で、基本的にはそれを見て考え、オーダーシートを記入してほしい…とのことなので、”我こそは”というビジョンがある方の挑戦をお待ちしています。



このほか、バーゼルで拝見したHLスフィアが入荷済みと言う事で拝見。



レトログラードの動力で動く、スフィア(球)ディスプレイ。



”オートランスらしい”ムーブメント。



デイトレス
フォーブル・ド・クラコヴィも入荷済み。
こちらも興味があればぜひ…

関連 Web Site

Laine Watches - Independent watchmaker in Switzerland
https://www.lainewatches.com/

Noble Styling
http://noblestyling.com/