ウルベルク 「Naissance d’une montre2」 チャプター3 フィリップ・デュフォーに聞く、シンプルな木製スティックの重要性

 By : CC Fan

チャプター1
チャプター2をお伝えしたウルベルクとTime ÆON Foundation(タイム イオン ファウンデーション:永遠の時財団)による次世代の時計師の育成を目指すNaissance d’une montre2(時計の誕生)、チャプター3で「独立時計師の中の独立時計師」、フィリップ・デュフォー氏が登場、人類史最古の道具である木製スティックがいまだに高級時計製造の世界では重要という事を彼の工房で学びます。



例によって英語のみなので抄訳(むしろ意訳)で…

木製スティックは人類の最も古い道具です。高級時計などの洗練された機械の製造に木製スティックがまだ使用されているという事実は、特に魅力的です。木材は複雑ではありませんが、自然の力と多くの魔法に近い性質を持っています。特に興味深いのは、高級時計の最も重要な側面の1つである美しい手仕上げに木製スティックが使用されていることです。



時計マニアは、ピニオンの歯を磨くために使われるツゲやブナの違いやメリット、面取りを行うリンドウの茎とニワトコの棒の違いと利点について、無限の議論を楽しむことができます。最高の仕上げを実現するには、原料となる木材を収穫するのは春でしょうか秋でしょうか、または満月の真夜中でしょうか?正解は1つではないので、議論は終わりがありません。



Dominique BuserとCyrano Devantheyは、マスターであるPhilipe Dufourが手仕上げのために木材を使用することについてさらに学ぶ機会を得ました。彼らは、ジュウ渓谷のDufour氏の側でワークベンチに着席し、彼の知識と経験を共有しました。Cyrano Devantheyは、「Dufour氏の信頼を得るためには、熱意と真剣さを示さなければなりませんでした。しかし、一度、彼が納得し心を開いた後は、自由に知識を共有します。Dufour氏は、私たちに何も隠さず、彼は非常に求められている秘密と技術の多くを明らかにしました。Dufour氏は、完璧さを目指すときは触覚と聴覚を含むすべての感覚を使わなければならないことを説明しました。」



最後の磨きにはリンドウの木を使用しています。そのハードシェルはそれを耐性にし、そのソフトコアは最終的な輝きに最適です。アルコールが入ったニワトコの骨髄は、その下のキラリと光る表面に印を付けないため、研磨残留物を取り除くために使用されます。



リンドウの枝、ここで使われている木は、フィリップ・デュフォー自身からのプレゼントです。



面取りの最終仕上げ。
リンドウの枝を使って作られた手作りの道具を使い、面を整えます。



適切な密度の木製ディスク。
回転する木製ディスクがホルダーで保持されたほとんど見えない極小のピニオンの歯を磨きます。
容易に破損してしまうギリギリを見極めるのは指先の感覚のみが頼りです。



腐った木。
Philippe Dufourから学んだこと:乾いた腐った木を使用して、鏡面仕上げ損なわずに、ネジから研磨ペーストを取り除きます。

いかがでしょうか。
古典的な手仕上げによる高級時計の装飾には必ずと言っていいほど登場する木製スティック、古の技法が今でも使われていること、永遠の時財団が残そうとしている技法のひとつだと考えられます。

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