ウルベルク 「Naissance d’une montre2」 チャプター4 THE COMPLETE WATCHMAKER

 By : CC Fan

チャプター1
チャプター2チャプター3をお伝えしたウルベルクとTime ÆON Foundation(タイム イオン ファウンデーション:永遠の時財団)による次世代の時計師の育成を目指すNaissance d’une montre2(時計の誕生)、チャプター4では時計を設計し、部品を1から製造する「THE COMPLETE WATCHMAKER」の一部を紹介するという内容です。



例によって英語のみなので抄訳(むしろ意訳)で…

今日では、多くの時計メーカーは、最新の時計を作るために必要な専門家集団による長いサプライチェーンの最後にいるだけです。部品を製造するのではなく、組み立てているだけです。

ただし、THE COMPLETE WATCHMAKERと呼ばれるには、それぞれ異なるスキルを必要とする部品を計算して設計し作成できる必要があります。 それには、数学から冶金まで、幅広い知識が必要です。

以下は、THE COMPLETE WATCHMAKERが伝統的な方法で時計を作るために習得する必要があるテクニックとツールの一部です。


ネジの製造

ねじは標準化された最初の工業用商品の1つであり、今日の時計製造で使用されているすべてのねじはスイスの時計業界のNIHS規格に準拠しています。 今日、あらゆるピッチと寸法のネジが数セントで入手可能であるとき、ウォッチメーカーが独自のネジを作ることはありません。
それでも、THE COMPLETE WATCHMAKERにとって、たとえば、アンティーク時計に用いられている非標準のネジを交換する必要がある場合に備えて、ネジの作り方を知ることは重要です。


ネジをホルダーに固定します。


研磨用のダイヤモンドペーストを準備します。


研磨されネジの頭は鏡面に仕上げられます

ヒゲゼンマイの終端付け

アブラアン‐ルイ・ブレゲは、平ヒゲゼンマイのの外側の端を平面上でその中心に向かって曲げると、ヒゲゼンマイがより同心円状に伸縮することを発見したとされています。 振動するときに左右に揺れるヒゲゼンマイは、特に比較的周波数の遅い天びんの速度と振幅を乱すため、これは重要です。
いくつかのウォッチメーカーは、異なる振動周波数と慣性モーメントのために設計されたさまざまな計算された形状でばねの端を曲げることによって、ブレゲ巻き上げヒゲ改善しています。


BuserとDevantheyは、ヒゲゼンマイのさまざまな利用可能なパターンからNaissance d’une Montre 2にはフィリップスターミナルカーブを選択しました。


ひげぜんまいの終端曲線を曲げ、適切な長さを決定し、それをテンワに合わせるのは、伝統的に女性が行ってきました、繊細なタッチを必要とする仕事だからです。

弓を使う

Jacot toolは、最も有名な時計製造機械の1つです。滑車に巻き付けられた馬の毛の弦を手で動かしているシーンが特に有名でしょう。



何世紀にもわたって小さな部品、主にホイールシャフトとピボットの繊細な作業に使用されてきた小さな旋盤です。 硬化された軸を磨き上げ、受け石に合わせることは、ムーブメントの精度、信頼性、および寿命にとって重要です。


Dominic Buserは、Jacot toolのスピンドルを弓で回転させ、歯車のピボットを磨いて丸めます。

ピボットは最も壊れやすい部品の1つでもあり、時計に激しい衝撃が加わったときに最初に壊れることがよくあります。 ピボットは、非常に正確な寸法を持ち、信頼性の高いパフォーマンスを実現するために、硬く、まっすぐで滑らかでなければなりません。


クリップによってピボットはシャフトに保持されます、今日では馬の毛は化学繊維のナイロンにとってかわられています。

いかがでしょうか。
THE COMPLETE WATCHMAKERと言うのは組み立てだけではなく、設計に必要な数学と物理、機械の知識も兼ね備え、部品を1から作れる人材であり、永遠の時財団が目指す育成の形ではないでしょうか。

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