ユリス・ナルダン、Geneva Watch Days 2020で発表の新作、実機レポート

 By : KIH
さて、Geneva Watch Days 2020(ジュネーブ ウォッチ デイズ 2020)が行われると発表されて以来数か月となるが、このウイルス禍の中で、在宅勤務を続けているうちにあっという間にその日は来てしまった。尤も、当時から「まだ無理だろうなあ・・・」感はあったので、現地にいないことをことさら寂しくは思わないが、それでもスイスやその他欧州の周辺国の人たちだけでやっているらしい、とのこと、現地もやや寂しいのでは、という気がする。

とは言え、こうやって先にローカルマーケットにサンプルを送り込む方法あり、突然流行りだした動画会議アプリでプレゼンテーションなど、人間はなんでも思いつくものである。が、動画のプレゼンテーションだったら、やはり今日のように現物を見せてもらって触って、世界共通のEmbargoタイムを過ぎてからここに投稿し、読者の皆さんにご覧いただく方が楽しい。読者の皆さんも現物を是非触ってほしいが、それは店頭に並ぶまで少しお待ちください。WMOのモットーである、「ユーザー目線」で実物を見て触った感想をレポートしたいと思う。

では、先に今日夕刻発表されたプレスリリースを見ていただこう。

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スイス時計メーカー、ユリス・ナルダンが
果敢に 地球のマグマに触れ
火山の爆発的なエネルギーを表現した「ブラスト」を発表


炎と氷、マグマと氷河、荒々しい溶岩の噴出と折り重なる棚氷。
冒険家たちは常に地球の極地に魅了されてきました。地球の両極に位置する壮大なブルーの氷河から太平洋の火山島に至るまで、究極の熱帯と寒帯の危険に満ちた圧倒的な自然は、何世紀にもわたって探検家たちを魅了してきました。陸や海から突出した硬く黒くなった火山のマグマや氷河の古代の氷、陸や海から突出したとても大きい形状は、私たちの地球がいかに雄大で激しいもの、また人々を魅了するその極地がいかに手の届かない危険なものであるかを思い出させてくれます。



ジュネーブ、2020年8月25日 – ユリス・ナルダンはメゾンが持つ伝統的なサヴォアフェール(ノウハウ)をたっぷりと注ぎ込んだ、自然の強大な力を象徴する時計ブラストを発表しました。岩のように固く、力強いラインを備えた技術力を集結した傑作、この最新のスケルトン トゥールビヨンは、人々の心の炎に火をつけ、時計製造の世界から地を揺るがす衝撃与えます。複雑で幾何学的なモザイク模様のラグは、偵察機をイメージし活気に満ちあふれた印象的な傑作になりました。

随所に見られるシンプルでエッジの効いた「X-factor」(未知の要素)とステルスデザインの新しいブラストは、何十年にもわたってユリス・ナルダンの主力製品であるスケルトン トゥールビヨンにリニューアルを加え、新鮮で逞しい頑強なスケルトンデザインを備えて成層圏へと飛び立つことになります。ブラストは、デザインを一新した大胆なX字型のケージから眺めることができるパワフルな自動巻きシリシウム製トゥールビヨン(2.5Hz振動)で、人々を瞬時に魅了します。光がレーザーのように時計のオープンワーク・ムーブメントを通過していきます。ユリス・ナルダンを象徴するあらゆる要素、長方形のフレーム、シグネチャーのストラップを固定する3つのラグ、滑らかなカラーベゼル、12時位置の香箱と6時位置にフライング トゥールビヨンを縦に並べたムーブメントなどを採用しています。


レーダーをかわすデザインとモザイク模様の力強いラグ


ステルス機のラインを取り入れた特徴的な見た目は、ユリス・ナルダンの傑出した美的センスの証といえます。航空および軍の技術者たちは、レーダーに検知されず電波をそらすために、整列したエッジと鋸歯状の三角形を備えた偵察機を製造しました。ユリス・ナルダンのデザイナーたちは、嵐を切り裂くステルス機の鋭い翼の頑丈さと幾何学模様を参考に、時計のラグの形を見直し新たに作り上げました。滑らかでありながら力強さのあるラグは、火山から突出した鋭い岩のように空中を躍動する堂々としています。三角形にはそれぞれ異なる仕上げを施し、ラグの表面はポリッシュ仕上げ、サテン仕上げ、サンドブラスト仕上げを交互に装飾しています。その結果、火山を囲むように黒く冷たいマグマが広がる月下のきらめく風景のような、印象的で効果的な空想の世界を作り出しました。

フリーク X、スケルトン X、およびダイバー Xと同じく、ブラストにも誇り高く傑出した証、「X」がついています。「X」はユリス・ナルダンのコレクションをまたいで進む基本的なテーマで、この4つのブラストにも「X」要素を確認することができます。印象的で幾何学的な模様 - 長方形に囲まれた「X」、そのどちらも円の中に入れられている - は目を楽しませてくれます。

爆発的な力を秘めたこの時計は、UN-171ムーブメントを進化させた最新のUN-172ムーブメントで駆動、3日間のパワーリザーブを備えています。ユリス・ナルダンのスケルトン コレクションで初めての自動巻きトゥールビヨンを搭載、時計の正面から見て12時位置からのみ見える小型でパワフルな新しいプラチナ製マイクロローターを持つブラストは、構想から制作までに18か月を要しました。三本歯の円形ベゼルやシークレットエージェント・スタイル」のサンドイッチ構造でムーブメントを固定するダブルの「X」、クリックするだけで簡単に開放できる自己展開型バックルなど、そのどれを取ってもすべてを巧みに考案した驚きの仕上がりです。特許取得済みのバックルは、同時に操作することで開く3枚歯の新しい構造で、カップルが踊るダイナミックで艶かしいタンゴの動きのようにパチンと開きます。驚くほど簡単で、力強く、安全です。


カーステン・ペーター、嵐を追いかけ火山に飛び込み、パラグライダーで滑空する現代のユリシーズ


この変化に富む生命力を体現するために、ユリス・ナルダンは自然写真家でありXtreme(極限)の語り手であるカーステン・ペーターとパートナーシップを結んでいます。破壊力のある彼の画像は、氷河の上や竜巻の内部、火山周辺の強烈な高熱の場所のすぐ近くなど、ほとんどの人が決して近づかないような場所へと見る人を連れていってくれます。カーステンは、受賞歴のある写真家で、地球上で最も人里離れた危険な場所のこれまで誰も見たことがない風景を捉えることを専門にしており、『ナショナル ジオグラフィック』誌に定期的に寄稿しています。彼は革新的な技術を用いて自ら開拓者となり、有毒ガスが発生する洞窟や高温の洞窟、溶岩湖を探り出し、そして世界と共有するのです。登山家、パラグライダー、洞窟探検家、ダイバー、峡谷探検家でもあるカーステンは、世界で最も荒れ果てた環境でも画像を捉えることができる独自の写真技術にこだわっています。カーステンは、ユリス・ナルダンの精神と私たち自身の冒険に乗り出したいという欲望を体現しています。

ブラストには4つのモデルがあり、自動巻きトゥールビヨンと新しいセルフオープン型バックルを備えた自社製UN-172ムーブメントが搭載されています。ブレスレットには、専用ラバー、レザー、ベルベットの3つのオプションがあります。またこれ以外にも特定のオプションがあります。



アイス:ホワイト ブラスト、45㎜
ホワイトセラミック、メタリックグレー、ダークブルー、美しい透明感を持つこの時計のカラー構成は、南極大陸そのものを表現していて、まるで凍った湖のようです。氷河を連想させるこのモデルには、滑らかなチタン製ベゼルが備わっており、「Silicium Technology」ダークブルーの文字を刻んだ香箱が内側で鼓動しています。ダークブルーの「ユリス・ナルダン」のロゴは、長方形フレームに目立つように配置されており、ダークブルーの刻印が施されたインデックスと針にはスーパールミノバが塗布されています。ムーブメントに使っている爪石は雪の結晶のように透明です。






白いセラミックのトップ部分と、チタン製のミドル及びケースバック。




ファイア:ローズゴールド ブラスト、45㎜
地球上で最も貴重な金属のひとつであるローズゴールドを用いたこのモデルは、ブラックDLC加工が施されたミドルケースとソリッドゴールド製のラグ、ブラックセラミック製のベゼル、バイカラー(ローズゴールドとブラックPVD)のトゥールビヨンケージ、スーパールミノバが塗布された刻印入りのローズゴールド製インデックスと針を備えています。石は透明を用い、ブラックのXと長方形フレームのデザインです。


ローズゴールド チタン ケース


「Silicium Technology(シリコン・テクノロジー)」


プラチナ製(全モデル)のマイクロローター。


ラバー・ヴェルヴェットストラップ


ファイア:ブラック ブラスト、45㎜
このシリーズのアイコニックなモデル、ブラック ブラストにはセラミック製の上部ミドルケースとベゼル、ブラックの長方形のブリッジ、レッドとブラックのダブル「X」パターン、見事な新しいレッドのテン輪(ユリス・ナルダンが初めて開発したカラー テン輪)が付いています。留石は赤い石を使用、香箱には刻印「Silicium Technology」、グレーの「ユリス・ナルダン」のロゴで長方形のフレームを完璧に仕上げています。幾何学的なラグには、全体にポリッシュ仕上げとマット仕上げのサンドブラスト加工を施しています。








ここが、ステルス戦闘機っぽい、というわけですね。


これは、ラバーストラップ


アイス:ブルー ブラスト、45㎜
氷山の内側のようなクールなブルーをしたブルー ブラストは、チタン製ミドルケース、ブルーのチタン製ベゼル、ブルーブラス製の長方形ブリッジ、ブルーのトゥールビヨンケージ、ブルーとグレーのダブル「X」、スーパールミノバを塗布したメタリックグレーの針とインデックスを備えています。


これが、一番個人的にはお気に入り。


ストラップ交換は、自分ではおそらくできません。この3つの小さなネジを外して、というところでしょうが、買ったお店でやってもらいましょう。


これも、よくできた両開きのバックル。










約17㎝の手首周りに45㎜はやや大きいか。うーむ。


しかし、ラグの処理や、薄くできていることから、サイズの数字ほどの大きさは感じない。




存在感と、ファッション性、中身に思いっきり技術を詰め込んだ時計、というバランスは非常にいい。センター両開きバックルと共に、着け心地は問題ない。何しろ、薄くて軽い。口径は大きいが、着けている時には気にならない。忘れるほどだ。


ラグの上にはストラップ交換のヒントはない。




トゥールビヨン。今や、お手頃値段での装備が当たり前になってきたか。もはや、重力に対する挑戦という役目は今の部品製造・組み立て技術をもってすれば、すでに終えているだろう。機能というよりは、これも重要なデザインの一部、と言った方がいいのかもしれない。で、この値段でこの中身。優秀なコスパと言えるだろう。もうちょっと大きくてもよかったかな、とも思うが、「X」の脚の間に入らなければならないので仕方がない。

ついに、Xの「eXplode」を超えて、「Blast」と名付けられた2020モデルだが、今年はエナメルモデルは出てこなくて残念ではあるが、今までの「X」シリーズより格段に「重厚」になったし、「おっ」と思ったというのが正直な感想。自分が着けてる姿も想像できる。あとちょっと小さかったら、というのが一番の残念な点ではあるが、これも慣れてくるものだろう。。



さて、最後に動画をご紹介しよう。「Blast」のイメージがよく出ている動画だ。




TECHNICAL SPECIFICATIONS

ムーブメント
 キャリバーUN-172
 自動巻きマイクロローター付きトゥールビヨン

機能
 時、分
 長方形ブリッジ、スケルトン
 シリシウム製テンワ、アンカー、ヒゲぜんまい
 12時位置プラチナ製マイクロローター 、25石
 18’000 V/H、 2,5 Hz トゥールビヨン

パワーリザーブ
 約72時間

ケース
 チタンにPVD/DLCコーティング、RG、セラミック

ケース径
 45 mm

ケースバック
 サファイアクリスタル

防水
 50m

ベルト
 一体型ラバー、アリゲーター、ヴェルベットストラップ

品番/税抜き予価
 ブルー ブラスト:1723-400/03 5,100,000円
 ブラック ブラスト: 1723-400/BLACK 5,330,000円
 ホワイト ブラスト:1723-400/00 5,330,000円
 ローズゴールド ブラスト: 1725-400/02 6,260,000円




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ユリス・ナルダンについて - 自由を尊ぶマニュファクチュール


ユリス・ナルダンは海の世界からインスピレーションを得て、自由な精神を尊ぶ方々のために革新的なタイムピースを製作する先駆的なマニュファクチュールです。

1846年に自身の工房を創業。2014年11月からは世界的なラグジュアリーグループ、ケリングの一員として名を連ねています。ユリス・ナルダンは高級時計の歴史にいくつもの優れた功績を残しており、極めて早い時期から海の世界とのつながりで名を馳せていました。当時制作したマリンクロノメーターはこれまで作られたものの中でも最も信頼性が高く、現在でも世界中のコレクターたちから求められる製品です。最先端技術のパイオニアであり、シリコンなどの革新的な素材を積極的に利用するユリス・ナルダンは、自社で高精度部品およびムーブメントを製造できる技術力を備えた数少ない時計ブランドの1つです。このたぐい稀なる時計製造レベルの卓越性によって、ユリス・ナルダンはスイス時計製造業の中でも最も権威ある団体、高級時計財団(FHH)のメンバーに選ばれています。現在スイスのル・ロックルおよびラ・ショー・ド・フォンに工場を構えるユリス・ナルダンは、マリーン、ダイバー、クラシコ、エグゼクティブ、フリークの5つのコレクションで高級時計製造を探求し続けています。2020年、ユリス・ナルダンはXtremes(極限の)Xplores(探求で)時計にX-factor(未知の要素)を導入しています。www.ulysse-nardin.com