セイコー プロスペックス メカニカル ダイバーズ の歴史と、今年最後の55周年記念特別モデル発表

 By : KIH
さて、1965年に国産初のメカニカル ダイバーズが出されてから今年は55周年。ややきりの良くない数字ではあるが、力の入った復刻版の限定モデルが発表されている。セイコーのダイバーズは世界的にも人気があり、その歴史の長さもさることながら、やはり質の高いデザインや作り込み、精度が人気の秘密だろう。

今回は、1965年の「国産初のダイバーズ」の復刻版2つ、1970年の「植村直己に選ばれたダイバーズ」の現代版が、この55周年の最後を飾る限定モデルとして発表された。

過去の限定復刻モデルは実機レポートをいくつかここでも紹介しているので、皆さんの記憶のリフレッシュも兼ねてご参照されたい。
https://watch-media-online.com/blogs/3029/
https://watch-media-online.com/blogs/2103/
https://watch-media-online.com/blogs/508/


これら以外にもニュースなどを含めて振り返ってみると、復刻版モデルは多く、今年は特にダイバーズモデルの復刻版、あるいはその現代解釈版の発表が多かったように思う。

これら復刻版の中で特に私が一番感心したのは、2017年のSBDX019(ニュースはこちらのページの下の方にある)である。1965年の国産初ダイバーの比較的忠実な復刻版である(52周年という中途半端な年になぜあんなにオリジナルに忠実な素晴らしいものを?)。中古市場では発売時定価の2倍近くの値が付いている。WMOは決して、時計を投資として見ることを意図しているサイトではないが、これはセイコーとしても非常にいい意味でのサプライズだったろうし、我々にとっては改めてセイコーの時計の本来の価値を再認識する機会となった。あっという間に売り切れて買い損ねた人も多数いたのではないだろうか。やはり、オリジナルに近ければ近いほど人々は飛びつく、ということが復刻版への答なのだろう。

今回発表の新モデルの中には、そんな人たちが興味を持ちそうな、「おっ」と言わせるようなものもあり、非常に充実している。SBDX019を発表した2017年に比べれば、セイコーを取り巻く世界も変わり、値段も変わってしまったが・・・。

では、まずは、プレスリリースというか、今般用意された特別ページを見て、セイコーのダイバーズの歴史や新モデルの特徴を追っていこう。
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写真左:SBDX039 SEIKO PROSPEX    写真右:SBDC123 SEIKO PROSPEX


CONCEPT

セイコーのダイバーズウオッチは、1965年に国産初のダイバーズウオッチとして誕生して以来、独自のテクノロジーを搭載したエポックメーキングな商品を次々と世に送り出してきました。50年以上に渡って弛まぬ進化を続け、世界中のプロフェッショナルダイバーや冒険家から高い評価と信頼を獲得しています。

また、JIS(日本産業規格)やISO(国際標準化機構)におけるダイバーズウオッチ規格制定には、セイコーが技術開発の基準にしてきた性能規格が大きく貢献するなど、
セイコーは常に世界をリードし続けてきたダイバーズウオッチのパイオニアです。

これまでに発売されてきた数々のダイバーズウオッチは、
ダイバーや冒険者たちと数々の極地へと赴き、その信頼性を実証してきました。

そして誕生から55周年を迎えた2020年のフィナーレにふさわしい特別なアニバーサリーモデルが登場。セイコーダイバーズヒストリーのマイルストーンである、1965年と1970年発売のヒストリカルモデルをベースに、55周年にふさわしいスペックとデザインにアップデートした数量限定のコレクションです。




1965
Mechanical Diver's Watch
Re-creation
1965 メカニカルダイバーズ 復刻デザイン

 

Original model
1965 メカニカルダイバーズ オリジナルモデル(6217-8001 あるいは「62MAS」)

1965年、セイコーは国産初のダイバーズウオッチを発売しました。1960年代に南極の過酷な環境下で使用されることで、その信頼性を実証したこのモデルは、ダイバーズウオッチのみならず、アドベンチャーウオッチやパイロットウオッチに通ずる、セイコー特殊時計開発の原点といえます。



写真:SBDX039 SEIKO PROSPEX



セイコーオリジナルのピラミッド状のパターンがユニークな強化シリコン製ストラップを採用。偉大な冒険者達の不屈のスピリットを感じることのできる魅力的な意匠の一つです。
一方で、ケースには世界最高レベルの耐食性能と美しさを兼ね備えた「エバーブリリアントスチール」を、搭載するムーブメントには、雫石高級時計工房において製造されているメカニカルキャリバー「8L35」を採用するなど、現代の高級機にふさわしい美観と耐久性を与えています。
荒々しい氷山の浮かぶ南極海の情景を精緻なヘアライン仕上げのケースと深いマリンブルーのダイヤルで表現しています。


写真:SBDX039 裏ぶた
Case back
スクリューバックの裏ぶたには、オリジナルモデルの再現としてイルカを模したマーキングが施されています。
また、数量限定の証として0001/1700~1700/1700のシリアルナンバーが表記されています。

※実際の製品では、製造上の理由により、裏ぶたの向きが異なる場合があります。


写真:SBDX039 スペシャルボックス
Special box
ピラミッド状のパターンがユニークなマリンブルーの強化シリコン製のオプションバンドが同梱されたスペシャルボックスが付属します。



<仕様>

SEIKO PROSPEX
1965 メカニカルダイバーズ 復刻デザイン
SBDX039 SEIKO PROSPEX

SBDX039
[ キャリバー8L35搭載 ]
528,000円 (税込)
(480,000 円 税)
数量限定 1,700本
裏ぶたシリアルナンバー入り
2020年11月7日 発売予定

この製品はセイコーグローバルブランドコアショップ専⽤モデルです。


ムーブメント
キャリバーNo: 8L35

駆動方式
メカニカル 自動巻(手巻つき)

精度
日差+15秒~-10秒

駆動期間
最大巻上時約50時間持続

外装
ケース材質: エバーブリリアントスチール

ガラス材質
ボックス型サファイア

ガラスコーティング
内面無反射コーティング

ルミブライト
あり(針・インデックス・ベゼル)

バンド材質
シリコンバンド

その他仕様
防水: 200m潜水用防水
耐磁: あり

ケースサイズ
厚さ: 14.1 ㎜、横: 39.9 ㎜、縦: 47.9 ㎜
重さ: 112.0 g
腕周り長さ(最長): 210 ㎜

その他仕様: 
 ねじロック式りゅうず
 シリコン替えバンドつき
 スクリューバック (製造上の理由により、裏ぶたの向きには個体差があります)
 裏ぶた「LIMITED EDITION」表記
 裏ぶたシリアルナンバー入り
 逆回転防止ベゼル
その他特徴:
 カレンダー(日付)機能つき
 振動数:28,800振動/時(8振動/秒)
 石数 26石
 秒針停止機能




1965
Mechanical Diver's Watch
Re-creation
1965 メカニカルダイバーズ 復刻デザイン
男はつらいよ ビームス篇

写真:SBDX041 SEIKO PROSPEX

名作映画『男はつらいよ』シリーズから着想を得たビームスジャパン限定モデルも登場。
セイコーダイバーズウオッチと『男はつらいよ』の主人公・寅さんの間には縁があり、第一作をはじめとした初期の作品において、寅さんが「1965 メカニカルダイバーズ」を着用していたことから、映画公開から半世紀を経て、ビームス ジャパンとのコラボレーションにより、再び共演を果たしました。

BEAMSでは、10月1日(木)より公式サイトにて先行予約をスタートしています。


写真:SBDX041 スペシャルボックス
©1970 松竹株式会社

映画『男はつらいよ』シリーズとは1969年の公開以来、日本中を笑いと感動の
渦に巻き込み、国民的人気を誇った映画シリーズ。
渥美清氏演じる主人公・車寅次郎、通称「寅さん」が、
日本中の旅先で出会うマドンナや柴又に住む家族とともに
騒動を巻き起こしていく人情活劇。
破天荒な変わり者だが、誰より暖かく優しい人柄は
人々を魅了し、今もなお愛され続けています。

この写真の拡大ではわかりにくいが、インターネットを探してみれば確かに寅さんがこの「62MAS」をしている姿を見つけることができる。

Color

1965メカニカルダイバーズのダイヤルを、映画館の劇場内が暗転された際の高揚感にインスパイアされたブラックカラーにアレンジしました。
エバーブリリアントスチール製の美しいケースや本格ダイバーズウオッチとしての性能はそのままに、人情に厚く義理堅い寅さんがふとした時に見せる、どこか懐かしい魅力を感じられる1本です。
 


Case back
コラボレーションモデルならではの特別仕様として、スクリューバックの裏には寅さんのトレードマークである帽子とトランクをまとった遊び心溢れるイルカマークが施されています。
また、数量限定の証として001/300~300/300のシリアルナンバーが表記されています。

※実際の製品では、製造上の理由により、裏ぶたの向きが異なる場合があります。


Optional strap

寅さんの代名詞とも言えるベージュカラーのセットアップをイメージした強化シリコン製のオプションバンドが付属しています。
気分によって付け替えていただき、寅さんが日本各地を旅したあの頃に想いを馳せてはいかがでしょうか。


SEIKO PROSPEX
1965 メカニカルダイバーズ 復刻デザイン
男はつらいよ ビームス篇

SBDX041
[ キャリバー8L35搭載 ]
528,000円 (税込)
(480,000 円 税)
数量限定 300本
裏ぶたシリアルナンバー入り
2020年11月20日 発売予定

*製品スペックは、上記SBDX039と同じ

BEAMS のみで予約受付中




1970
Diver's Modern Re-interpretation
1970 メカニカルダイバーズ 現代デザイン


セイコーダイバーズウオッチの歴史の中でも最も重要な初期3大ヘリテージのひとつである、1970年に発売された150mダイバーズウオッチの現代デザインに、南極の海を想起させるマリンブルーのダイヤルを纏った55周年記念限定モデルが登場。



Original model
1970 メカニカルダイバーズ 現代デザイン オリジナルモデル
1970年発売のオリジナルモデルは、1965年の国産初のダイバーズウオッチに続く150mダイバーズウオッチとして誕生。ユニークな流線型のフォルムとタフなスペックを両立していたこのモデルは、世界中のファンに長く愛され、なかでも冒険家・植村直己氏が1974年~76年にかけて行った北極圏12,000km犬ぞりの旅に携行され、過酷な環境における高い信頼性が実証されたことで知られています。


THE HISTORY OF SEIKO DIVER'S WATCHES

冒険家・植村直己氏
1941年、兵庫県豊岡市生まれ。60年明治大学へ入学後、山岳部へ入部し冒険家としての道を歩み始める。70年には、日本人として初めてエベレストに登頂、同年マッキンリーも制したことで、世界初の五大陸最高峰登頂者となった。その後、74年~76年にかけて北極圏12,000kmを犬ぞりで走破、78年には単独の犬ぞりで北極点に到達、グリーンランド3,000km縦断と世界の冒険家の第一線を駆け抜けたが、84年に挑戦した冬季のマッキンリー単独登頂で世界初の偉業を成し遂げた後、登頂成功を伝える無線交信を最後に消息を絶った。同年、歴代4人目となる国民栄誉賞を受賞するなど、厳しい自然の中でたったひとり、人間の可能性に挑戦し続けたその姿と人間味あふれる温かい人柄は、今もなお多くの人を惹きつけて止まない。

植村氏が実際に着用していた時計



Design
現代の技術で蘇る往年のデザイン
オリジナルモデルがもつ流麗なフォルムのケースを継承しつつオールラウンドな42.7mmの程よいケース径にアレンジしたことで、偉大な冒険者のスピリットを現代のライフスタイルの中でも感じることのできるモデルに仕上げました。素材本来の美しさや繊細な表面仕上げを長く保てる独自の表面加工技術「ダイヤシールド」も魅力の1つです。


Spec up
最新技術によるスペックアップ
防水機能や素材の進化だけでなく、時計の心臓部であるムーブメントにも最新技術を取り入れました。
オリジナル同様、ぜんまいを動力源として針を動かす、腕時計の原点である駆動機構を採用。
約70時間のロングパワーリザーブを実現した自動巻ムーブメント6R35を搭載し、高い実用性を確保しました。
金曜日の夜にぜんまいを最大まで巻き上げておけば、月曜日の朝にも時計は時刻を刻み続けています。
*使用状況によって、異なる場合もあります。


Special box
スペシャルボックス
マリンブルーの強化シリコン製のオプションバンド同梱のスペシャルボックスが付属します。



<仕様>

SEIKO PROSPEX
1970 メカニカルダイバーズ 現代デザイン
写真:SBDC123 SEIKO PROSPEX

SBDC123
[ キャリバー6R35搭載 ]
165,000円 (税込)
(150,000円 税)
数量限定 5,500本
裏ぶたシリアルナンバー入り
2020年11月7日 発売予定

この製品はセイコーグローバルブランドコアショップ専⽤モデルです。

ムーブメント
キャリバーNo: 6R35

駆動方式
メカニカル 自動巻(手巻つき)

精度
日差+25秒~-15秒

駆動期間
最大巻上時約70時間持続

外装
ケース材質: ステンレス(一部硬質コーティング)

ケースコーティング
ダイヤシールド

ガラス材質
カーブサファイア

ガラスコーティング
内面無反射コーティング

ルミブライト
あり(針・インデックス・ベゼル)

中留
ワンプッシュダイバーエクステンダー方式

その他仕様
防水: 200m潜水用防水
耐磁: あり

ケースサイズ
厚さ: 13.2 ㎜、横: 42.7 ㎜、縦: 46.6 ㎜
重さ: 180.0 g
腕周り長さ(最長): 200 ㎜

その他仕様:
ねじロック式りゅうず
シリコン替えバンドつき
スクリューバック (製造上の理由により、裏ぶたの向きには個体差があります)
裏ぶた「LIMITED EDITION」表記
裏ぶたシリアルナンバー入り
逆回転防止ベゼル
その他特徴:
カレンダー(日付)機能つき
石数 24石
秒針停止機能
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という感じなのだが、ここで個人的に注目は、BEAMSでの販売のみとなるが、限定300本と、最近のセイコーにしては非常に少ない限定数のSBDX041。多くの人が入手できなかったSBDX019やオリジナルに非常に近いデザインとなっていて、むしろ黒ダイヤルの方がかなりキリっとした顔のハンサムに見えるし、また日付の白黒が逆転しており、文字盤は針とルミインデックス以外は黒がメインとなり引き締まって見える。復刻版ではない新モデルだったとしても、魅力的なデザインとなっている。私は世代的には「男はつらいよ」ではないのだが、その中で寅さんがこの初代ダイバーをしていた、と言うこと自体が驚きであり不思議である(渥美清さんが時計好きだった?)。ケース裏の、「男はつらいよ」の文字や、イルカが寅さんの帽子とカバンを持っているというところは、まあいろいろご意見はあるだろうが、表から見た感じは、オリジナルへの「忠実度」はSBDX019が勝っているとは言えるが、SBDX041のカラーリングも個人的には大いに魅力的で「あり」だと思う。基本、時計は表からしか見ないし。300本という最近にない少なさもいい。この価格帯の時計の限定数としては久しぶりの少なさではないだろうか。

SBDX019が2000本で35万円(税前)、このSBDX041が300本で48万円(税前)。中身は同じだが、ケース素材がスチールか、「エバーブリリアントスチール」か、という違いはある。とは言え、この3年でこの価格のジャンプアップは、経営面とSeikoの世界的な人気という面ではうれしい限りだが、ほぼインフレがゼロの国で給料をもらっている身としては複雑な心境だ。少し前に発表されたSBEX009は、8L55というハイビートムーブメントで、1100本限定、60万円(税前)であったが、ハイビートであることを考えるとある程度納得感はあろう。

SBDX019もSBEX009もすでに入手困難だし、今回のSBDX041はやや高いと感じる人もいるかもしれないが、特に019を逃した人だけでなく、ダイバーズファンの人たちにとってもそれだけの価値はあるように思う。また、スペアのストラップの色もなかなか渋くていいが、ストラップは自由に楽しむ人も最近は多い。販売はBEAMSのみなので、BEAMSのサイトで予約状況を確認した方がいいだろう。ちなみに、転売ヤーを防ぐためか、1人1本しか買えないようになっているようだ。こういう時には日本的なフェアな扱いは助かる。

結論めいたことを言うと、国産機械式ダイバー55周年という、なんとなくきっちりとした数字ではない周年記念であったが、かなり力が入っていた2020年だったと、まだ10月になったばかりであるが、思う。60周年には何が出てくるのか、はたまた来年の新作は何をメインテーマに、どこでどういう形で発表されるのか。世の中が変なウイルスによって大変革を求められながらも、Seikoの時計は豊作だった2020年。2021年も楽しみである。



【お問い合わせ】
セイコーウオッチ(株)お客様相談室 0120-061-012(フリーダイヤル)

セイコーウオッチ(株)の公式Webサイトアドレス
www.seikowatches.com

<セイコー プロスペックス>の公式Webサイトアドレス
www.seikowatches.com/jp-ja/products/prospex