Ay&Ty Style in Geneva #4 -Gronefeld-

 By : Ay&Ty Style

SIHHはカルティエグループによる新作展示会ですが、昨年より独立時計師のために CARRÉ DES HORLOGERS(時計師の広場)が設けられ、今年は13のブランドがブースを構えました(昨年は9ブランド)。

その中で、Voutilainenと並び、じっくりと訪問したかったのが、Gronefeld(グローネフェルト)。
オランダの兄弟、Bart GronefeldとTim Gronefeldによる気鋭のブランドです。

2010年発表の初作 One Hertzは、テンプ自体を0.5振動にすることでデットビートセコンドの動きをさせるという独特の機構で注目を集めました。2014年にはセンターセコンド付きのトゥールビヨン Parallax Tourbillon を発表。両作ともプッシャータイプの竜頭を押すと秒針が停止して時刻合わせモードに切り替わるという便利な機構が付いています。Parallax Tourbillonは2014年のジュネーヴウォッチグランプリでベストトゥールビヨン賞を受賞しました。

そして昨年、3作目となる 1941 Remontoire が発表されます。8秒ルモントワール、すなわちトルクを蓄積し8秒毎に放出するという定力機構。放出されるトルクで分針を動かします。秒針はスイープ。
1941 Remontoireは、ジュネーヴウォッチグランプリのメンズウォッチ賞を受賞。つまり過去3作のうち2作がカテゴリー賞を受賞という快挙で、今最も勢いのある独立時計師なのです。



今年は完全な新作というものはありませんでしたが、驚くべき、そして非常に歓迎すべき試みが発表されました。
文字盤のビスポークサービスです。
まずはこちらの美しいギョウシェダイヤルをごらんください。



比較のため、通常のプレーンなダイヤルも写真も載せておきましょう。
こちらは昨年撮影したもの。


プレーンな文字盤も魅力的ですが、これほどまでに印象が変わるとは!
この只者ならぬ雰囲気はギョウシェが極めて精巧であるため。



ムーブメントは従前と同じもの。
機構はもちろん、ステンレススチール製のブリッジが極めて印象的。



ビスポークダイヤルは、様々なギョウシェパターンが選べるほか、シャンルベ・エナメルをオーダーすることも可能。
こちらは、グレーのベースにブルーを組み合わせ、それぞれ異なるギョウシェ彫りを施したうえで、ブルーの部分にエナメルを入れたツートーン。






そしてグレー/赤の組み合わせ。こちらも素晴らしかったです!





最後にこちら。ブルーのギョウシェ。エナメルなし。
このギョウシェパターンで気づいた方も多いと思いますが、このダイヤルは、カリ・ブティライネンさんの工房によるもの。Voutilainenでは以前から文字盤のビスポークを受け付けていますが、これがGronefeldに展開されたのです。独立時計師好きからすると、贅沢すぎるコラボ!



1941 Remontorieは188本限定で、昨年だけですでに40本ほど売れているとのこと。今回のビスポークシリーズは、ぜひぜひ利用してみたいものです。
個人的には、このSIHHで見た時計の中で購入したいと思った時計トップ5に入る1本でした。



ここまでじっくりGronefeldを堪能できる機会は日本では難しいですよね。ジュネーヴに来て本当によかった!
次回は、ヴァンクリーフのオートマタ時計をご紹介します。