ベルナルド・レデラー セントラル インパルス クロノメーターのニューバージョンを公開、ジュネーブウォッチデイズに合わせて展示!

 By : CC Fan

約1年前に強烈な「セントラル インパルス クロノメーター」を引き下げ、カムバックを果たしたAHCI所属の独立時計師、ベルナルド・レデラー(Bernhard Lederer)、ブレゲのナチュラル脱進機として考案され、ジョージ・ダニエルズが改良に取り組んだ2つのガンギを使い両方向からインパルス(衝撃)を与える脱進機をさらに進化させた「セントラル インパルス クロノメーター エスケープメント(CIC)」を搭載したクロノメーター作品でした。

その衝撃から上記のリンクの抄訳として作品を紹介、その後「いつもの」でムーブメントを詳細解析、更にレデラー本人とのメールのやり取りによって判明した「安全機構」についてレポートしました。
GPHG2020のクロノメトリー部門の最終候補にノミネートされるものの、残念ながら入賞とはなりませんでした。

さて、今回ニューバージョンを今月末からジュネーブで行われるジュネーブウォッチデイズに合わせて公開!というプレスリリースが届きましたが、昨今の状況では行くことも叶わず…こうなったらこの情熱だけで速報を書く!という事でブログ形式でレポートします。



「デモンストレーター」感が強かった去年のバージョンに対し、よりデザインを高めたフェイス。
ロジウムカラー文字盤は、レデラー専用のギロッシェパターンで彩られた中心部とシンプルで視認性が高い周辺部が良いコントラストです。

3時位置にあったやや主張の強かったLEDERERのレターは4時と5時の間に控えめなものに変更され、「クロノメーター」として時刻が読み取りやすくなりました。



CICを駆動する2つの輪列のうち、文字盤側から見て時計回りのみ可視化していましたが、今回のバージョンでは両方に針を取り付け、「同期具合」をチェックできるようになりました。
8の字、または∞をイメージされる重なり合った二つのサブダイヤルは時計回りの方には詳細に秒単位まで読み取る1秒ごとのインデックス、逆時計回りの方には大まかな位相をチェックでうるさくなりすぎない20秒ごとのインデックスが振られています。

この開口部により、2つのガンギ車が独立にテンワを駆動する様子や、ルモントワール機構をコントロールする4番車同軸のルーローの三角形カムと読み取りレバーも余すことなく観察できます。



今回のデザインで2つの輪列から独立に駆動される、CICの「主題」が2つのスモールセコンドにより明確になったと感じました。
ぱっと見で気が付くこととしてはテンワのマスロットの数が増え、より高い慣性モーメントを獲得していることが伺えます。



もう一つのバージョンはダークブルー文字盤。
文字盤の色以外のデザインは共通で、開口の有無があった去年のバージョンよりもより統一感を出し、キャラクターを確立したのではないでしょうか?



前述したマスロットの増加とスポークが4本に増えた新しいテンワに変更されたムーブメント。
細かい所も色々変わっていそうです。

3番車同軸で10秒ごと(60秒で1回転するルーローの3角形によって60秒でレバーが3往復=6回爪が外れる)に解放されるルモントワールガンギ車によってルモントワールひげゼンマイの巻き上げ行われ、定力化されたエネルギー4番車に供給されます。



ドーム状のケースバックによりムーブメントは裏だけではなく「横」からも見ることを意識した仕上げに。
CICのガンギ車やレバーの動作範囲を制限する土手ピンは立体的なブリッジによって支えられ、横からも観察することができます。



ソヌリなどに見られる古典的なコハゼと巻き上げ回転方向を逆転するための中間車、レデラースタイルの接線曲線スポークの各歯車…と見どころに事欠かないムーブメントの眺め。
中間車によって僅かに非対称になる部分はロゴを模したブリッジでうまく処理しています。

よく見ると慣性モーメント調整用のマスロットは2パターンあり、租調整と微調整で追い込めることが伺えます。

アトリエと組み合わせた写真をいくつか。



横位置だと∞を思わせるダイヤルのレイアウト。



開口部のバランスはかなり絶妙でしょうか。



「クロノメーター」としては過剰にも見えますが、機能としての意味も持っている開口部。
ミニッツインデックスはかけてはいますが完全に消えてはいないため分の読み取りも問題ないかと。
またスモセコ軸は8時と11時のインデックスを兼ねるようです。

オフィシャルリストショットも。





ケースは直径44mm、厚み12.2mm。
ムーブメント自体が直径39.3mm、厚み5.98mmもある大型機なので、これでも結構ギリギリな感じでしょうか。



ガッチリとしたレデラーには似合ってますね。



スケルトンありき、というか見せることを前提としたムーブメントはプレートから背の高いブリッジが立ち上がっているような独特のデザイン。
現在の加工技術があってこそかなと思えます。



そして、CIC自体もかなりの変化が、これは、時間を取って改めて見てみます…

最後に公式スペックを。

CENTRAL IMPULSE CHRONOMETER

Technical Details


Name: CENTRAL IMPULSE CHRONOMETER
Reference: 9012

Functions: Hours, minutes, small seconds at 8 and 11 o’clock

Case:
Diameter: 44 mm
Thickness: 12.2 mm
Case back: Open, sapphire glass with anti-reflective coating
Water resistance: 3 ATM

Dial:
Guilloché (exclusive Lederer motif) with two circles interlocked in a figure eight.
Available in two colors, rhodium and dark blue.

Movement:
Mechanical, hand-wound
Number of components: 210
Number of jewels: 45 rubies
Frequency: 21,600 vibrations per hour (3 Hz)
Diameter: 39.3 mm
Thickness: 5.98 mm

Special features:
Two barrels
Two independent gear trains
Two constant-force remontoirs
Two escapement wheels with central impulses

Winding & setting:
Two-position winding stem:
Position 1: manual winding
Position 2: setting the time

Finishing:
Frosted with hand-beveled bridges, wheels with circular graining and handbeveled spokes, steel parts black polished.

Power reserve:
42 hours

ジュネーブウォッチデイズに合わせて公開!という情報も掲載します。

On the occasion of the Geneva Watch Days,

We are pleased to invite you to discover our new

CENTRAL IMPULSE CHRONOMETER


a groundbreaking technical concept offering

a poetic and symbolic vision of time.


August 30th to September 2nd 2021
from 10am to 6pm

Hôtel Beau-Rivage Geneva
Quai du Montblanc, 13

Salon Petit Musée
Hotel ground floor

とのこと…
お近くの方は是非…


https://bernhard-lederer.com/