2022年 各ブランドからの干支モデル一挙紹介~ヴァシュロン・コンスタンタン、ピアジェ、ユリス・ナルダン、ブランパン、スウォッチ

 By : KITAMURA(a-ls)

年末が近づくと目に付くのが来年の干支をテーマとした干支時計(いわゆるゾディアック・モデル)だ。

企画の性格上、当然アジア市場がメイン・ターゲットとなるが、今年は東南アジアでの新型コロナの感染拡大の影響もあってか、例年よりもモデル数は少なく思える。そうなってくると頼りは中国マーケットで、ブランドによっては中国市場限定に絞り込んでいて、その場合、他国には発売情報を流さないケースもあるので、より少なく感じるのかもしれない。
まぁ干支自体が古代の中国暦を発祥としているので、近年急激に成長した中国市場に向けたアイテムであるのは無理もなく、たとえば限定本数が"8"にちなんだ数になっていたりすることが多いのも、そういう事情を反映している。

さて、WATCH MEDIA ONLINEはすでに今年も、幾つかのモデルを紹介している。
・ショパール 「L.U.C XP 漆 寅年」 https://watch-media-online.com/news/5156/
・ブレゲ 「クラシック 7145」 https://watch-media-online.com/news/5158/
・タグ・ホイヤー 「カレラ イヤー オブ ザ タイガー リミテッド」 https://watch-media-online.com/news/5162/

2021年も押し迫ってきたので、まだ未紹介・未掲載のモデルを一挙に掲載して、あと数時間に迫った2022年、寅年のスタートを祝福しようと思う。

干支モデルの特徴として、文字盤表面に動物の絵柄が描かれるため、そこには各社の工芸力というか、ブランドの技術力が明確に表れる。紹介済みの中では、ショパール、ブレゲのパターンだが、粋を極めたメティエダールを披露する場として、毎年毎年、高い完成度を誇っているのが大御所、ヴァシュロン・コンスタンタンだ。その特徴は、ダイヤルの全体の視認を高めるために時分針が不要のキャリバー2460 G4を採用、時、分、日付、曜日をすべて窓表示としている点だ。



ヴァシュロン・コンスタンタンのすごいところは、たとえばこのダイヤルのように、彫金とエナメルなど複数分野の高度な専門技術を必要とする作品制作に際して、その分野の熟練マイスターが、メティエダールという同じ部門に所属していて、それら製作段階のすべてが統括されることで、さらに高い完成度の追求が可能なのだ。




ダイヤル円周にある図柄モチーフは、19世紀にヨーロッパでも流行した中国の古典的な民間芸術、剪紙(せんし)に由来するもので、まず金属に直接エッチング、その後、日本でいう高浮彫、透かし彫りのエングレーブ技法でアクセントを加え、彫金された立体感のある造形を中心に据えたのち、ようやくグラン・フー・エナメル職人の工程に移る。



ガラス質の顔料を何層にもに塗布するたびに、800〜900℃の温度での焼成を繰り返し、色を定着させるのだが、その顔料の配分と熱の温度、熱する時間によって結果が異なってしまうため、エナメル技法に必要な熟達を得るには、長年の経験でしか得られない専門知識が必要とされる。

時刻は、ドラッグ式による「時」、「分」、ジャンピング式による「曜日」、「日付」の4つの小窓によって表現され、メゾンが長年培ってきた独創的な表示方を採用。プラチナまたはピンクゴールド製ケースの2モデルが、それぞれ12本のブティック限定となっている。

【お問い合わせ】
ヴァシュロン・コンスタンタン
0120-63-1755


続いてこちらも工芸パターンで、ともにエナメル文字盤に虎を描いた作品、ユリス・ナルダンの「クラシコ・タイガー」とピアジェの「アルティプラーノ イヤー・オブ・タイガー」を紹介する。
 
シャンルベとパイヨンという2つのエナメル技法の融合であるユリス・ナルダンの「クラシコ タイガー」。
シャンルベは表面にくぼみを作り、その後に鮮やかなガラス質の顔料を流しいれる技法で、パイヨンは金または銀から切り取った小さな箔で絵柄を構成する技法。どちらも高度な技法だが、ユリス・ナルダンはその傘下に高い技術力と長い歴史を持つ文字盤製造の名工房ドンツェを擁しているために、非常に高度なエナメル文字盤モデルの製作を可能としている。

この文字盤は最終段階で半透明のエナメルの層でコーティングして完成される。ローズゴールド・ケースのこの作品は88個限定で、自動巻きの自社キャリバー、UN-815ムーブメントを搭載している。

 
一方のピアジェは、クロワゾネ(有線七宝)と呼ばれる技法を採用、製作者は2006年からピアジェとコラボレーションしているエナメルの匠、マスター・エナメラーとして名高いアニタ・ポルシェだ。

クロワゾネとは、金のリボンを使用して文字盤の表面にデザインを転写し、パーティションまたはクロワゾンと呼ばれる間仕切りを作成し、そこに様々なエナメル顔料を塗布していく技法。

時計は78個のブリリアントカットダイヤモンド(約0.71カラット)がセットされたWG38mm径ケース、ピアジェの超薄型手巻きムーブメント430Pを搭載。ピアジェブティックのみで、限定38個の販売となる。


【お問い合せ】
ピアジェ コンタクトセンター
0120-73-1874



動物が全面に出ることで、逆に着けづらさを感じるような方に向けた、さりげないモチーフを活かしたモデルもある。紹介済みの中では、タグ・ホイヤーのパターンといえる。

ブランパン「ヴィルレ トラディショナル チャイニーズカレンダー」寅年モデル。
この作品の大きな特徴は、時、分、グレゴリオ暦のデイト、ムーンフェイズと、そして同時に中国暦も表示されること。この中国暦には、伝統的な2時間刻みの時辰、日付、月、閏月の表示、十二支、五行と十干が含まれている。



表示項目の多彩さからも、ダイヤルの表面にこれ以上の絵柄は避けざるを得ず、主役の虎はタイムピースの裏面から覗くローター上にさりげなくエングレーヴされている。



ホワイトのグラン・フー・エナメルダイヤルに45mm径プラチナケース。心臓部は自動巻きムーブメント3638。某サイトではこのチャイニーズ・カレンダーを新機構のように扱っていたが、こちらも毎年恒例の作品で、50本の限定エディション。



【お問い合わせ】
ブランパン ブティック銀座
電話番号:(03)6254-7233


さて、ここまで、各社が技術力を誇示する"名品"を見てきたが、限定というハードルはもちろんのこと、お値段のほうもそれなりである。

そこで最後に、誰にでも手の届きそうな ゾディアック・ウォッチのご紹介。
スウォッチの新作「Chinese New Year Special TIGER POWER 2022 」である。



虎のグラフィックが入ったゴールドトーンの文字盤は繁栄のシンボルであり、針のレッドは喜び、幸運、元気を象徴。バイオ由来素材のストラップと BIOCERAMIC ケースとベゼルのブラックが、不滅、知識、安定性、パワーを表わすなど、多彩なシンボルが盛り込まれていて、スウォッチさんいわく『寅年生まれでなくても身に着けてみたくなるような、スタイリッシュなタイムピース』とのこと。


ケース径は47mm。メタライズ処理されたマイクロストラクチャーの3D プリント技術でグラフィックが輝きます。ベゼルには「Year of the Tiger」の文字、そしてストラップ内側には漢字で「虎年」とプリントされている。スウォッチストアとオンラインで販売中。
 
【お問い合わせ】
スウォッチ コール
0570-004-007


以上、駆け足でのご紹介となってしまった感もありますが、他にも2022年の干支時計をご存知の方はぜひご一報ください。

さて、2021年もあとわずか、時間があれば今年中に書いておきたいブログはまだまだあったのだけれど、これが年内最終投稿となる可能性もありますので、ご挨拶を・・・・。WATCH MEDIA ONLINEをお読みくださっている皆さま、今年一年PV数も順調に増えまして、心より感謝申し上げます。

来たる2022年、どうぞ良いお年をお迎えください。そして来年も(人によっては"来年こそ!")素晴らしい時計との出逢いがありますように。。。。本当にありがとうございました。