Patek Philippe 2017 実機レポート⑤~最終章

 By : KITAMURA(a-ls)

パテック フィリップの新作レポート、そろそろ書き終えないと。。。。
この最終章では、速報で真っ先にご紹介したアクアノート、そしてキャリバー240の40周年関連作品などを一挙紹介・・・・するつもり。

まずはアクアノート。
昨年のノーチラス40周年に続き、2017年はアクアノート誕生20周年であるため意欲的な新作が予想されていたが、その期待を裏切ることなく、なんと新たなアドバンスト&リサーチの提示を告げる5650G-001とシリーズ初の18Kホワイトゴールド・ケースが採用された5168Gという、インパクトある2機種が投入された。

5168Gは過去のシリーズ中でも最大の42 mm径という大きなサイズ。

パテック フィリップの資料によると、「《ジャンボ》と愛称されたノーチラスのオリジナル・モデル(1976年発表)へのオマージュである」というのも頷ける新たなる存在感を放っている。




パテックフィリップ・アドバンストリサーチの500個限定製作モデルである、アクアノート・トラベルタイム5650。





こちらついては速報的なレポートは書き終えているので、デジカメの動画で恐縮だかバーゼル会場で回したものをUPして済ませてしまおうと思う(汗・・・)。





続いてはレディース・アクアノートだが、こちらも レディース・ウォッチとしての周年記念らしい貴石の華やかさを纏った5072R-001と、5062/450R-001 の2機種が発表された。

こちらが5072。








そして圧巻の5062/450。

針にまでバゲットダイヤがセッティングされているが、
もはや視認性を超越した宝飾の存在感がスゴイ。



ベゼルとラグに48個のバゲットダイヤ、
ダイヤルには160個のブリリアントカット・ダイヤと76個のバゲット・ダイヤなど、ダイヤの詳細は下記プレートを参照して。







次はノーチラスなのだが、昨年夏に40周年記念モデルが出ていることもあり、オフォシャルサイトにもレディース・ノーチラスの告知しかない。しかしバーゼルワールド会場のパテック・ブースの壁面には、こんなノーチラスが"NEW"と表示され展示されていた! リファレンスは5719/10。


18.73カラットって、いったいHow much ?

気を取り直して、レディース・ノーチラス。
7118/1A-010(左)と7118/1A-011(右)。




35.2mm径という取り回しの良いサイズに、日本ではメンズ使用する方も多いと聞く7118に新たなヴァリエーションの選択肢が増えたは喜ばしいことだ。


ここでごめんなさい。これまでのどこの括りにも入れてなかったコチラ、5960シリーズの新作もある。

青文字盤に改装され、パイロットウォッチ5524で賛否渦巻いたブラウンのカーフベルトが付いたWGモデル。

そして好評のステンブレスには黒文字盤が投入された。



さて、いよいよ最後となる括りは、すでにカミネさんのShopNewsでも紹介されているが、デヴューから40周年を迎える超薄型自動巻ムーブメントの名作、キャリバー240の記念的なヴァリエーションからである。

キャリバー240といえば、大人の時計Golden Ellipseから、5120や7200といったシンプルなカラトラバに搭載されるパテックフィリップの基本中の基本とも言えるムーブメントであり、前回の実機レポ―ト③で紹介した"Rare Handcrafts timepieces collection"に採用されることの多い5077や5089といった2針カラトラバもこのキャリバー240を積んでいる。


キャリバー240には、これをベースキャリバーとした様々な派生キャリバーがある。
たとえば、5054年次カレンダーからノーチラス5712へ転身した「240 PS IRM C LU」。
ワールドタイムに特化した「240 HU」。
天文時計5102のエンジンをつとめる「240 LU CL」、さらに6102へと進化した「240 LU CL C」・・・等々、シンプルなエントリー・モデルから超複雑なハイエンド・ラインまで、そのファミリーの幅広さは特筆に値する。


ブースの壁面にも並んで展示されていた永久カレンダー5940R(画像・左)と、カラトラバ6006G(画像・右)。
この2機種もキャリバー240系を搭載している。


5940には永久カレンダー機能を積んだ240 Q が、6006はスモールセコンドを5時位置に据えた240 PS C。 ケース素材チェンジの5940Rパーペチュアル・カレンダーに対し、6006は前作の6000シリーズを引き継ぐ新作。



6000シリーズから2 mmサイズアップし、39mm径となった6006G。
資料によると、ダイヤルの中央部にソレイユ仕上げ、ミニッツレールの部分には同心円模様、その外側はエボニーブラック、さらに外周の日付表示部分はソレイユ仕上げと、それぞれに異なる仕上げを施された凝った文字盤が素晴らしく、


特徴的な針によるデイト表示とあわせて、その視認性もデザイン性もさらなる向上を遂げている。


そして、「薄型」・「マイクロローター」をその特徴とするキャリバー240の性質を最も活かしたというか、ムーブメントそのものを時計に仕上げたような、まさに記念碑的モデルがスケルトンのカラトラバ5180/1R-001である!



彫金技術で装飾され可視化されたムーブメントは、スケルトン用に特化されたキャリバー240 SQU。
パテックフィリップ自ら、「微小な動く芸術品」と呼ぶカラトラバの至宝だ。香箱まで透けて見えるオープンワーク、動力を司る主ゼンマイは、カラトラバ十字のエングレーブの下に実に”象徴的”に仕舞われている。



ムーブメントにスケルトンの細工を施すのに1週間、さらにエングレーヴの装飾にトータルで130時間以上を必要とする手の込んだ工芸作品。


このキャリバー240記念作品には、前回の実機レポート④で紹介したレディースウォッチから、パーペチュアル・カレンダー7140G-001と工芸時計の極致4899/900G-001が加わることもお忘れなく!


さて、書き終えるまでに時間がかかってしまったが、今年のパテック フィリップの新作から受けた印象は、超複雑な新作はなくとも、作品としての圧倒的な仕上がりを持ち、そのすべてが明らかな”進化”を示しているというイメージだった。
考えてみると、パテック フィリップをコンペティターとするメゾンの多くは、パテック フィリップに打ち克つために新たな機構や新ムーブメントを数年がかりで構築し続けているが、そのためには莫大な開発費や、新ムーブに起こりがちな初期の動作不安定といったリスクも付きまとう。一方のパテック フィリップも新ムーブの開発に余念はないのだろうが、40年も現役を務められるような基幹ムーブが複数存在する分、その安定性は盤石だ。実際、同一系統のムーブメントが、ドレス・ウォッチであるカラトラバからスポーツウォッチのノーチラスまで、さらにはエントリーモデルからコンプリケーション・モデルまで、実に幅広く採用されており、当然、その実績や信頼は著しく高い。今回のキャリバー240の40周年記念作品に見られるような、ひとつの基幹キャリバーが40周年を迎えるという事実、おそらくこれは今日のパテック フィリップのスタンスを象徴する重要な事実のひとつのように思う。
つまり、頻繁に新ムーブを作る他社が負わざるを得ないコストやリスクを、パテック フィリップはクォリティの向上や技術者の人権費に振り替えることが出来るわけだ。ここ数年の顕著な傾向であるRare Handcrafts timepieces collectionのクォリティの進化やレディースモデルの外装の高級化などはまさにそれだ。
ケースの製造精度の進歩、工芸ダイヤルの飛躍、メタルダイヤルの立体化など、工芸的完成度が格段に高まり、その点による他社との差別化は年々加速している。バーゼル初日に工芸モデルの紹介動画が用意されている点などからも、意識的・戦略的に行なわれていることは明らかで、そしてそれこそが、パテック フィリップというメゾンの歴史の積み重ねが可能とした圧倒的なアドヴァンテージの成せるワザなのではないかと、このキャリバー240の40周年とその記念作品を目の当たりにして実感した次第である。










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