ルイ・モネ CEO ジャン・マリー・シャラー氏 日本限定『ジャパン ロケット』を携え来日

 By : CC Fan


2004年に当時ほとんど知られていなかった時計師ルイ・モネの名前を復活させることを目指して設立されたルイ・モネ、復活を手掛け現在に至るまで一貫してブランドを率いているジャン・マリー・シャラー氏の強烈なリーダーシップによって時計作りを行っています。

WATCH MEDIA ONLINEでもSIHH(現在のWatch & Wonders)のシーズンにホテルで行っていたイベントを取材しています。

シャラー氏は「隕石収集家」としての顔も持ち、隕石コレクションを活かした「コズミック・アート」シリーズも展開、様々なメテオライトを文字盤に用いた作品です。
この「コズミック・アート」コレクションから20本限定の日本限定作品、「ジャパン ロケット」が製作されました。



久しぶりの再会となったシャラー氏、今回は奥様も一緒に来日しています。いつも奥様を気遣っていて、とても愛妻家とお見受けしました。



付属するプレゼンテーション資料を広げながら説明するシャラー氏。
宇宙ステーション補給機「こうのとり」を打ち上げたH-IIBロケットのフェアリング(打ち上げ時のガード)由来の部品と複数のメテオライトを組み合わせています。



ロケットの仕様と使用されたメテオライトの詳細が記されたプレゼンテーションシートが豪華な革製のバインダーに留められています。
限定20本のそれぞれにこのバインダーが付属するそうです。



特徴的な「ネオ・ケース」を説明するシャラー氏。
オープンワーク(肉抜き)が行われた別部品のラグ部品を本体にねじ止めする方法で、一体型では不可能な部分までエッジを仕上げることを狙っています。
また、ラグ自体をオープンワークにするブランドが最近増えてきているが、ルイ・モネは先駆けだった、とのこと。



拝見。
ロケットのフェアリング部品から取り出された金属パーツと月由来の隕石から取り出したメテオライトが3時位置に装着され、日本国旗からインスピレーションを受けた日の丸のデザインを作り出しています。
赤色に仕上げるのはワニス仕上げ、隕石の模様はそれぞれ異なるユニークなものとなります。



センターの青い部分もメテオライト、鉄とニッケルが組み合わさったギベオン隕石(ギベオンは採取地の地名)で、宇宙の特殊な状況下で100万年に1℃ずつ冷却されることでニッケルが鉄から分離して結晶化することで独自の表情を生んでいます。

9時位置のスモールセコンドと10時位置の文字盤はくりぬかれ、4番車とテンプの動きを見ることができるルイ・モネ流のオープンワーク(スケルトンウォッチ)です。



ネオ・ケースの特徴のオープンワークラグ。
ケースの立体感を強調しています。



ケースサイドにはルイ・モネのレターが。
分割して仕上げてから組み合わせることで入り組んだ凹面のエッジもきっちりと仕上げられています。
もちろん、噛み合わせの精度もバッチリです。



ムーブメントは、高級時計製造の伝統的な技法による仕上げを強調しています。

個人的に共感できるポイントとして、『ルイ・モネは「マニュファクチュール」ではなく、アトリエもその地位を主張しません。」という一文がシャラー氏の紹介にありました。
これは何でもかんでも自社、といった昨今の風潮ではなく、スイス伝統の水平分業(プロフェッショナルの協業)による時計作りを感じることができます。



時計氏ルイ・モネの「歴史」だけではなく、シャラー氏の強力なリーダーシップによって現代にも一貫した世界観を持つルイ・モネを改めて拝見できました。



そのほかにもいろいろ持ってきている…と出されたのはダブルトゥールビヨンが公転(オービータルトゥールビヨン)するコンプリケーションのアストロネフ。

ユニークピース仕様で、文字盤は現代社会を支えるIC(集積回路)を実現するためのシリコンのウェハー(薄板)を使用しています。



シリコンウェハー上に作りこまれた微細な構造は光の波長に近く、反射された光が干渉して虹色のような色を生みます(回折格子の原理)。
これはCDが虹色に光るのと同じ原理、というたとえですが、最近はCDはもはや死語かも…

各トゥールビヨンは上側が時計回りに5分で1回転、下側が反時計回りに10分で1回転し、3分20秒ごとにすれちがい、1時間で18回すれちがいます。
すれちがう位置が刻々と変化し、様々な表情を見せます。



このウェハーに作られた回路は何?と伺ったりします。
「不明」とのことですが、ある程度は推測できそう?



虹色に光る様子を比較的うまくとらえられたのはこの1枚でしょうか。



ケースはチタン製、「普段使いできる軽さだよ」とのことで、確かに超コンプリケーションとは思えない軽さでした。
ケースバックからは複雑なオービタルトゥールビヨンを動かすための強力そうな香箱が見えます。

リュウズの根本にレバーのようなものはファンクションセレクターで、竜頭を引く代わりにこのレバーを操作して巻き上げと時合わせの機能を切り替えます。



アートピースとして、サバンナ トゥールビヨン エレファント。
細密画(ミニアチュールペイント)ですが、字盤があらかじめジグソーパズルのように分割されています。

フラットな状態に組み立てた状態で絵を描いたのち、いったんバラバラにしてわざと凹凸するように組み立てることで絵に立体感を与える試みだそうで、確かにフラットな絵よりも象が手前に迫るような迫力を感じます。

写真では伝わりにくそうですが…



アートピースが好きな編集長も興味津々な様子…
バラバラにしてわざと凹凸をつけて組み立てる、と言いましたがそのままでは色を塗っていないサイドが目立ってしまうため、ばらした状態でサイドを黒く塗る必要があり、この塗装と凹凸を付けた組み立てに高い技能が必要だそうです。

ミニアチュールペイントを行える職人は何人もいるものの、現状シャラー氏が満足する「パズル」を作れるのはその中でもただ1人しかおらず、結果的にパズルはレアな作品になっているそう。



そして、「クロノグラフの発明者」の時計師ルイ・モネに捧げるメモリス スピリット。

2004年の初作から一貫してリーダーシップをとってきたシャラー氏、作品基準だと来年は20周年ですが、まだまだ様々なアイディアがあり、プロジェクトが並行して走っていると語り、非常にエネルギッシュです。

ありがとうございました!

最後に、「ジャパン ロケット」のスペックを掲載します。



【仕様】
ジャパン ロケット
品番:LM-45.10.JP
価格:¥3,850,000(¥3,500,000+税)
限定本数:日本限定20本

◆ムーブメント
キャリバー:LM45
機能:時、分、秒
種類:自動巻き(チラネジ式)
パワーリザーブ:48時間
振動数:28,800振動/時
石数:22石

◆ケース
サイズ:径43.2mm
防水性:5気圧/50m
ケース素材:316Lステンレススティール
風防:サファイアクリスタル(両面無反射コーティング)

◆文字盤
特徴:ギベオン隕石、月の隕石、H-IIBロケットのフェアリングのパーツをセット

◆ストラップ
素材:ルイジアナアリゲーターレザー
バックル:フォールディングクラスプ(両開き)


【お問い合わせ】
株式会社ジーエムインターナショナル マーケティング&コミュニケーションズ
住所:〒110-0008 東京都台東区池之端1-6-17 本館2F
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[ルイ・モネ]
ルイ・モネ(1768~1853)は、世界で初めてのクロノグラフ機構を作った偉大な時計職人であり、芸術や天文学といった様々な分野でも才能を発揮した、類稀な天才でした。フランスのブールジュに生まれた彼は、幼い頃から趣味で時計作りを嗜んでいました。アートに興味を持つようになると、20歳でローマに移り、建築・彫刻・絵画を5年間学びました。その後パリで美術アカデミーの教授を務め、様々な著名な芸術家と交流するなかで、時計への情熱が再燃しました。1800年からスイスで本格的に時計製造の訓練を始めると、たちまち頭角を表し、王室御用達の時計職人として名を馳せました。ナポレオン・ボナパルトやトーマス・ジェファーソン、ジェームズ・モンロー、ロシア国王、フランス王妃など、世界中のVIP顧客に時計を製造し、その腕を発揮しました。100年後の未来を先取りしていると称された最高峰の技術に、アートのエッセンスを融合するスタイルが、彼の作品の最大の特徴でした。1816年に製造した天体観測用の毎時216,000振動のクロノグラフは、世界初のクロノグラフ・高振動時計として2種類のギネス世界記録に認定されています。20年の歳月をかけて執筆し、1848年に発表した時計製造の論文“Traité d’Horlogerie”は、時計職人 ルイ・モネの集大成であり、その後の時計界における最良のバイブルでした。しかしながら、地位や名声を得ることではなく、最高の時計製造に全てを捧げた彼の名は、いつしか人々の記憶から忘れ去られていったのです。

[時計ブランド ルイ・モネ]
時計職人 ルイ・モネの精神を宿した時計を再び世に送り出すために、ジャン=マリー・シャラーが2004年にスイスのヌーシャテル州 サン・ブレーズに創業したのが、独立時計ブランド ルイ・モネです。
ルイ・モネの全ての時計は、一点物もしくは限定品として生産され、『コズミック アート』と『メカニカル ワンダーズ』に分類されます。多くの作品に、宇宙からの隕石や太古の素材を用いた希少なパーツを使用しています。 独自性」 創造性」 アート&デザイン」 希少性」の4つのバリューを掲げており、UNESCOやグッドデザイン賞、レッド・ドット・デザイン賞を始め、数々の権威ある機関・大会から30以上の表彰を受けています。
スイス オフィシャルサイト: https://www.louismoinet.com/