HUMBERT-RAMUZ & CIE

 By : Daiwatokeiten
手巻きの時計の場合、通常は竜頭を回してゼンマイを巻き上げるのが一般的ですが、
 アンティークの懐中時計の中にはとても珍しい機構の物があります。

この時計、何処でゼンマイを巻くのか、分かりますか?
実はここなんです。



ゼンマイの巻き上げを竜頭では行わず、
ハンターケースの蓋の開け閉めで行うシステムなんです。
おまけにこの竜頭、通常は隠れていて、分からなくなっているとても珍しい機構の時計です。



その為、LowBEATでも紹介されています。


http://daiwatokeiten1.cart.fc2.com/ca8/964/p-r-s/

ちなみに1回の蓋の開け閉めで、約3時間分くらい巻き上げます。
 
一般的に手巻きの時計の場合は竜頭でゼンマイを巻き上げる際
ゼンマイが全て巻き上がるとちょっとした抵抗が感じられ、
それ以上巻けない状態になります。
しかし、この時計は何度か蓋を開け閉めして
ゼンマイが全巻き状態になった後も蓋の開け閉めは問題無く出来ます。
そうじゃないと、時間を確認出来なくなっちゃいますからね。
 
さて、どういう構造になっているのか、お分かりですか?
ゼンマイが巻かれて、ある程度のトルクがかかるとスリップします。
要は自動巻きのようにスリッピングアタッチメントが付いているのです。



しかし、これはもう130~140年前の時計なので、香箱の内壁が大分減っています。
全巻きでも約20時間の駆動時間しかありません。
ですが、これ以上すり減らさない為に敢えてこれで「良し」としました。