ファーブル・ルーバ: ビバーク 9000 お披露目会

 By : KIH
先日編集長から予告があったように、都内某所で ファーブル・ルーバ創立280周年を記念する新作時計「ビバーク 9000」の発表記念メディア会見及びパーティーが行われました。











やはり、繰り返しになりますが、この価格でこの機能。今や、電子高度計やGPSやレーザーによる高精度の高度計がある中で、登山家による実用を目的として、機械式の腕時計を開発したというのはすごいことではないでしょうか。280年の歴史の重みと共に、おさらいの意味も込めて、以下やや長くなりますが、ご覧ください。



<ビバーク 9000>  最高峰への挑戦

「2017年、創業280周年を迎える「 ファーブル・ルーバ 」は、時計製造の世界で間違いなく注目を集めることになる画期的な腕時計を発表します。それは、技術の限界をかつてないほどに押し上げることで、不可能と思われたことを可能にし、新しい基準を打ち立てる、そんな時計です。新作「ビバーク 9000」は、海抜9,000メートルまでの高度を計測することができる世界初の機械式腕時計であり、ファーブル・ルーバの創造力および現状に満足しない挑戦する姿勢を体現するものです。



ファーブル・ルーバは創業以来280年にわたり、時計のデザインやエンジニアリングにおいて新しい基準を設けると同時に技術的な可能性を再定義する、時計製造界に重大な進展をもたらすようなアイコニックな時計を製作し続けてきました。スイスで二番目に長い歴史を有するこの名門時計ブランドは、創造力と無類の革新性がインスピレーションの源となっていることを、改めて証明しています。ビバーク 9000は、これまで不可能と思われたことを可能にすることで、他の時計が持つキャパシティを文字通り遥かに凌ぐ、まさに新境地を開く時計です。



ブランドの280周年を記念するこの画期的な作品の製作にあたり、デザインチームはブランド独自の歴史から着想を得ることにしました。1962年、ファーブル・ルーバは海抜3,000mの高度および気圧を計測することのできる世界初の機械式腕時計を発表しました。その傑出した信頼性と精度、また高い操作性および視認性によって、この時計はたちまち登山家やパイロット、探検家、そして度胸と粘り強さによって壁を乗り越えてきたパイオニアたちの腕に欠かせないものとなったのです。」




こんな言葉で紹介された、ファーブル・ルーバの新作「ビバーク 9000」は、まさにここに書かれている通り、期待を裏切らない性能を持ち、これでファーブル・ルーバは、50気圧(500m)の防水機能を持つダイバーウォッチ、シングルハンド(1本針)の「ハープーン」と併せて、人間が生身で行ける高低差を、フルにカバーできるラインアップを揃えてしまいました。無論、500mの水深までフリーダイビングの記録は届いていないものの、手を動かせば時計にかかる圧力は上がるので、500m程度の防水は当然と言えば当然である(だから、例えば50m防水の時計をしてシャワーを浴びたり、水泳をしたりすることはおススメではないのである)。





さて、この腕時計、このお値段(税込 918,000円)でこの機構を搭載しているが、どうやって、この機構を開発したのでしょう? 読者の皆さんが登山家でエベレストを目指しているとは思いませんが、富士山くらいなら行かれる方も多いでしょう。もちろん、飛行機に乗れば現在の高度が対地速度情報と共に個人画面に出てくるようになっていますね。高度計って、どういう仕組みなんでしょうね? しかもそれが腕に乗るということは、すごいことのような気がします。私は怠け者なので行きませんが、この時計をつけて、富士山に登って、高度がきっちり合ってたら、驚きますね・・・。うーん。誰かに試して欲しい!


実は、このビバーク 9000は、同じ名前を持つ1962年のモデルにささげるオマージュである一方で、改良および再設計されたモデルです。新しいビバーク9000も、アネロイド気圧計を用いて高度を計測しますが、旧モデルでは3,000mまでだったものが、新モデルでは9,000mまでの高度を計測することができます。また、様々な技術革新も採用されています。9,000mまでの計測を可能にするためには、気圧計に革新的な素材を用いることや、カプセルの高さや直径を決める精密計算、そして高度計への新しい変換メカニズムが必要でした。また、1962年モデルとの違いは、防水性能にも表れています。これは、気圧計に不可欠なケース上の吸気口を、薄いながらも頑丈な疎水性微細穿孔膜で保護することで実現しました。この薄膜は空気を通す一方で、水や塵埃粒子は通しません。


1962年モデル


機能性を満たす上で、薄膜の穿孔は空気を循環させるための大きさを確保しながら、最小限にしなければなりませんでした。そのため、穿孔の大きさは、極限までの精度で計算および分析されました。これにより、ヘリコプター飛行中のような高度の上昇や下降が急速な場合でも、気圧の変化が瞬時に高度計に伝達されるようになったのです。また、薄膜は二つのスクリューで留められたプレートによってカバーされ、両脇に空気のみ通すベントが設けられることで、さらなる保護が施されています。こうすることで、硬く鋭い器物や砂等による物理的損傷から、繊細な薄膜を守ることができます。





気圧計の中央には、特別な合金でつくられた気密カプセルが入っています。時計の着用者の高度が上がることで気圧が下がると、このカプセルは膨張し、着用者の高度が下がることで気圧が上昇するとカプセルは縮小します。カプセルの膨張および縮小が直線運動を生み出し、それが高度表示のための回転運動に変換されます。高度は、ストーングレーのダイアル上で、赤い針によって表示されます。高度計測のために不可欠な大気は、ケースに設けられた穿孔薄膜で保護された3mmの開口部を通じて、気圧計カプセルを擁する空間に入り込みます。





表示の読み方は、センターにある赤い針が、50mごとに3,000mまで目盛が振られた両方向回転ベゼル上で、高度を指し示します。つまり、センターの赤い針が1回転すると、3,000mの高度まで登ったことになります。登山中は、3時位置にあるサブダイアルの小さな赤い針も進行を続け、センター針が3回転したところで、最高高度の海抜9,000mを表示します。回転ベゼルは、双方向のラチェット機構によって、誤操作が防止されています。




実際にはどう使うのでしょうか? 当然気圧は常に変化しますから、それに合わせて調整する必要があります。例えば、登山家が海抜高度3,260mにあるヘルンリヒュッテのベースキャンプからマッターホルンの高度を計測する際は、まずビバーク 9000のサブダイアル上の小さな赤い針が、3,000m を意味する3の目盛を少し過ぎたところを指し、赤いセンター針がベゼル上の260を指しているように調整します。こうすることで頂上までの上昇中、ゆっくりと時計回りに回る赤いセンター針を確認しながら、登山中上昇し続ける高度をモニターすることができるのです。登山者が頂上に達する頃、ビバーク 9000は4,478mの海抜高度を指し示している、とのことです。 勇者よ来たれ! 是非、着用して登山していただきたい!




「ビバーク 9000はまた、同じ高度における気圧の変化を表示することもできます。3時位置にあるヘクトパスカル(hPa)表示が、1013 ~ 300hPaの間の現在気圧を表示します。着用者が上昇前の晩に、マッターホルンベースキャンプの正しい高度を設定すると、高度計針の反対側にある小さな赤い気圧計針が、この高度の平均気圧である680hPaを指し示します。夜間に気圧が下がると、センター針は時計回りに回り、翌朝小さな気圧計針は、低い数値を指すことになります。これは、この野心的な登山家がその時点で低気圧のエリアにいること、つまり天気が悪くなっていることを意味します。嵐が接近しているような過酷な気象条件下では、実際の気圧とその地の平均気圧の差が150hPaにもなります。反対に、センター針が反時計回りに回り、小さな気圧計針が前夜よりも高い数値を指している場合は、マッターホルン周辺地域が高気圧に覆われ、気候が好転していることを意味します。このような情報を表示することのできるビバーク 9000は、登山家たちが危険な上昇を実行するのか、別の日に延期するのかを決定するための手助けをする、大切な計器にもなるのです。」


という機構をもち、なおかつこのお値段、技術力なのか、周年記念戦略価格なのか、とにかく登山を趣味とする方に試していただきたいと思うのである。

では、最後にこの時計の紹介動画をご覧いただきましょう。




夜のパーティーの部には、開発者と、ファーブル・ルーバ本社CEO、日本代理店SwissPrimeBrands日本支社長、それからファーブル・ルーバのもうひとつの特徴であるダイバーズ・ウォッチのアンバサダーをつとめる、日本女子フリーダイビングの第一人者、木下紗由里選手も参加した。


暗くてスミマセンが、ビバーク 9000をしたトーマス・モルフ CEO。



右から、トーマス・モルフ CEO、開発担当 パトリック・クリー氏、マーケティング/セールス担当 デビッド・ヴァラタ氏。CEOと開発担当は、ビバーク 9000を、マーケティング担当はハープーンをしていて、これだけ揃うとなかなかの存在感でありました。



木下紗由里選手と、Swiss Premium Brands日本支社 ルカ・オルデューナ社長












65時間 パワーリザーブ計が12時位置に。赤い針が視認性を高めている。



48mmはやはり普通の腕には大きい。しかし、登山するなら当然厚着していくはずで、その時には視認性も考えれば決して大きいサイズではないのであろう。

















BIVOUAC 9000(ビバーク 9000)

Ref.:00.10105.06.45.45
ケース径:48.0mm
ケース厚:18.7mm
ケース素材:チタニウム
防水性:3気圧 (30m)
ストラップ:レザー、ピンバックル
ムーブメント:手巻き、65時間パワーリザーブ

仕様:
時、分、スモールセコンド、1回転で3,000mの高度を示すセンター針、9,000mまでの高度および気圧(hPa)を表示するサブダイアル、パワーリザーブ計、日付表示、両方向回転ベゼル、ねじ込み式リューズ、ストーングレー文字盤、アプライドインデックス、発光インデックスおよび時分針、レッドハンド採用の高度計、両面反射防止加工サファイアクリスタル風防、ねじ込みおよび位置調整されたケースバック

価格:850,000円+税





【お問合せ】
Favre-Leuba JAPAN
C/o SwissPrimeBrands Co. Ltd 
〒104-0061 東京都中央区銀座1-16-7 5F 
Tel:03-4360-8669 / Fax:03-4360-8611

http://favre-leuba.com/jp/











Bivouac 9000 ( ビバーク 9000 )
創業280周年記念 発表モデル