Christophe Claret Allegro (With explain Minutes Repeater Mechanism)
By : CC Fan大掃除の続きです。
クリストフ・クラーレ(CHRISTOPHE CLARET)の現時点での最新ピースは2015年に発表されたアレグロ(Allegro)です。
これは2カテドラルゴングのミニッツリピーター・GMT・ビックデイトを備えたピースで、ムーブメントはおそらくですが、2011年発表のアダージョ(Adagio)のものをクラーレが好むシャルル10世様式に作り替えたものだと思われます。
2016年は新作が出ないことに落胆したりもしましたが、冷静に考えてみると2009年のDualtowから始まり、ほぼ1年に1ピース以上のコンプリケーションウォッチを発表している方が異常だったと言う事に気が付きます。
2017年は新作が出るようなので期待しています。
2017年の新作@SIHH2017の予告 (クリストフ・クラーレ公式サイトより引用)
2017年の新作については別の機会にして、今回はアレグロです。
Allegro WGケース スモークサファイヤ文字盤
一見してわかるように、カンタロス(Kantharos)と共通の左右対称のスモールダイヤル 6時位置の開口部で機構をアピールするデザインコードで作られています。
カンタロスでは文字盤そのものは不透明で開口部が設けてあり、そこにムーブメントのサファイアブリッジが嵌まり込む構造でしたが、アレグロは単一のサファイアクリスタル文字盤のコーティングを部分的に変えることで表現しています。
スモールダイヤルのインデックスはメタル加工プロセス(おそらくPVD)によって金属を堆積させたもので、上記の写真ではあまり見えませんが、光を当てることで反射して見えるようになります。
スモールダイヤルが光を反射する様子
細かく見るとカンタロスはスモールダイヤルを僅かに下げて3時15分と8時45分ぐらいの位置に配置していますが、アレグロはメインの時分針の真横に配置しています。
そのため6時位置の開口部はアレグロの方が大きくなっています。
再掲:Kantharos @ Noble Styling Gallery PALACE 2014
可視化されたアピールされる機構はカンタロスのコンスタントフォース機構に対し、アレグロの場合はミニッツリピーターのラックです。
例によってプロモーションムービーが作られています。
Christophe Claret - Baselworld 2015 - Allegro Film (YouTubeのクリストフ・クラーレ公式チャネルより)
これを見て気が付いたのですが、個人的にあいまいな理解だったミニッツリピーターの仕組みについてこの動画を見れば割とわかるのではと思いました。
ミニッツリピーターの基本的原理は時・クオーター・分の軸それぞれに取り付けられたスネイルカムにより時間を沈む深さに変換し、ラックでそれを読み取ります。
そしてラックが戻る際にハンマーを動かす爪を弾き、それによってハンマーがゴングを叩くことで音を鳴らします。
ただ、言葉としては知っていますが、いまいち詳細な動きまでは理解していませんでした。
この動画でリピーターの動作を時系列で見ればより深い理解ができるのではと思い、挑戦することにしました。
全体が目まぐるしく動くため、なかなか理解が追いつきません。
0:41~0:43
スライダが引かれリピータ用のゼンマイがチャージされる。
時ラック(左側の半円状の部品)はスネイルカムに近づいているが、クオーターラック・分ラック(右側の楕円が2つ重なった部品)はオール・オア・ナッシング機構のレバー(左下のレバー状の部品)によって押さえられており動かない。
クオーターラック・分ラックを駆動する軸(クオーターラック・分ラックの中心部)は戻るときのみ引っかかり、巻き上げの際は自由に動けるようなカムとピンで構成されている。
ゼンマイを最後まで巻ききると時ラックがオール・オア・ナッシング機構のレバーを押し、クオーターラック・分ラックが解放され、バネの力でそれぞれのスネイルカムに押し付けられる。
万が一、最後までまかずに離した場合はオール・オア・ナッシング機構が解放されないためクオーターラック・分ラックは動かず、時ラックは既定の動作をするが、分ラックにつけられたレバー(オール・オア・ナッシング機構の一部)がハンマーの爪を引っかからないように移動させているので音が鳴ることはない。
0:42~0:48
時ラックが戻りながら低音の爪を弾き、時の分だけ低音を鳴らす。
ゼンマイは常に12回鳴らすだけの距離を巻き上げられるため、実際には(空白)-(時の分だけの低音)となっている。
0:48~0:50
時間ラックが戻りきるあたりで、クオーターラック・分ラックを駆動する軸が引っ掛かり、クオーターラック(楕円状の部品のうち下側)だけが動き出す。
クオーターラックは低音・高音両方の爪を弾き、クオーターの分だけ和音を鳴らす。
一緒に鳴らして和音とするか、分けて鳴らして二音とするかはメーカーの好みな気がする。
時間の鳴り終わりのタイミングは軸で決まっているため、実際には(空白)-(クオーター分の和音)となる。
0:50~0:55
クオーターを鳴らし終わるとクオーターラックについているレバーが分ラック(楕円上の部品のうち上側)に引っかかり分ラックが戻るようになる。
分ラックは高音の爪を弾き、分の分だけ高音を鳴らす。
0:55~0:57
ラックが戻りきると、オール・オア・ナッシング機構が再びロックされ、最初の状態に戻る。
続いてムーブメント側です。
0:57~1:01
ゼンマイのチャージ、ムーブメント側は特に動かない。
慣性ガバナーは逆回転する気がするけど…
1:01~1:13
慣性ガバナーがリピーター輪列を調速しながらゼンマイが戻り、ハンマーが動作する。
鳴りはじめと鳴り終わりに注目して空白も入れて鳴る順番を表すと、下記のようになります。
(時間に依存する無音)‐(時間の低音)‐(クオーターに依存する無音)‐(クオーターの和音)‐(分の高音)‐(分に依存する無音)
時間の鳴り終わりは固定のタイミングのため、時間とクオーターの間にはクオーターが少ないほど長い無音が入ることになります。
他のブランドでクオーターとの無音部分を削除と言っているようなものはおそらくこれを削除しているのだと思われます。
原理的にはクオーターと分の間と同じように、終わり次第レバーが引っ掛かるようにすればよさそうですが、本当に可能かはわかりません。
やっぱり画面キャプチャに注釈入れないと分からないかなと思いました…
Allegro ムーブメント側
ムーブメント側のサファイアクリスタルにもメタル加工プロセスで五線譜が描かれています。
音は好みもありますが、個人的には好きな音です。
関連 Web Site (メーカー・代理店)
CHRISTOPHE CLARET
http://www.christopheclaret.com/
Noble Styling Inc.
http://noblestyling.com/
クリストフ・クラーレ(CHRISTOPHE CLARET)の現時点での最新ピースは2015年に発表されたアレグロ(Allegro)です。
これは2カテドラルゴングのミニッツリピーター・GMT・ビックデイトを備えたピースで、ムーブメントはおそらくですが、2011年発表のアダージョ(Adagio)のものをクラーレが好むシャルル10世様式に作り替えたものだと思われます。
2016年は新作が出ないことに落胆したりもしましたが、冷静に考えてみると2009年のDualtowから始まり、ほぼ1年に1ピース以上のコンプリケーションウォッチを発表している方が異常だったと言う事に気が付きます。
2017年は新作が出るようなので期待しています。
2017年の新作@SIHH2017の予告 (クリストフ・クラーレ公式サイトより引用)
2017年の新作については別の機会にして、今回はアレグロです。
Allegro WGケース スモークサファイヤ文字盤
一見してわかるように、カンタロス(Kantharos)と共通の左右対称のスモールダイヤル 6時位置の開口部で機構をアピールするデザインコードで作られています。
カンタロスでは文字盤そのものは不透明で開口部が設けてあり、そこにムーブメントのサファイアブリッジが嵌まり込む構造でしたが、アレグロは単一のサファイアクリスタル文字盤のコーティングを部分的に変えることで表現しています。
スモールダイヤルのインデックスはメタル加工プロセス(おそらくPVD)によって金属を堆積させたもので、上記の写真ではあまり見えませんが、光を当てることで反射して見えるようになります。
スモールダイヤルが光を反射する様子
細かく見るとカンタロスはスモールダイヤルを僅かに下げて3時15分と8時45分ぐらいの位置に配置していますが、アレグロはメインの時分針の真横に配置しています。
そのため6時位置の開口部はアレグロの方が大きくなっています。
再掲:Kantharos @ Noble Styling Gallery PALACE 2014
可視化されたアピールされる機構はカンタロスのコンスタントフォース機構に対し、アレグロの場合はミニッツリピーターのラックです。
例によってプロモーションムービーが作られています。
Christophe Claret - Baselworld 2015 - Allegro Film (YouTubeのクリストフ・クラーレ公式チャネルより)
これを見て気が付いたのですが、個人的にあいまいな理解だったミニッツリピーターの仕組みについてこの動画を見れば割とわかるのではと思いました。
ミニッツリピーターの基本的原理は時・クオーター・分の軸それぞれに取り付けられたスネイルカムにより時間を沈む深さに変換し、ラックでそれを読み取ります。
そしてラックが戻る際にハンマーを動かす爪を弾き、それによってハンマーがゴングを叩くことで音を鳴らします。
ただ、言葉としては知っていますが、いまいち詳細な動きまでは理解していませんでした。
この動画でリピーターの動作を時系列で見ればより深い理解ができるのではと思い、挑戦することにしました。
全体が目まぐるしく動くため、なかなか理解が追いつきません。
0:41~0:43
スライダが引かれリピータ用のゼンマイがチャージされる。
時ラック(左側の半円状の部品)はスネイルカムに近づいているが、クオーターラック・分ラック(右側の楕円が2つ重なった部品)はオール・オア・ナッシング機構のレバー(左下のレバー状の部品)によって押さえられており動かない。
クオーターラック・分ラックを駆動する軸(クオーターラック・分ラックの中心部)は戻るときのみ引っかかり、巻き上げの際は自由に動けるようなカムとピンで構成されている。
ゼンマイを最後まで巻ききると時ラックがオール・オア・ナッシング機構のレバーを押し、クオーターラック・分ラックが解放され、バネの力でそれぞれのスネイルカムに押し付けられる。
万が一、最後までまかずに離した場合はオール・オア・ナッシング機構が解放されないためクオーターラック・分ラックは動かず、時ラックは既定の動作をするが、分ラックにつけられたレバー(オール・オア・ナッシング機構の一部)がハンマーの爪を引っかからないように移動させているので音が鳴ることはない。
0:42~0:48
時ラックが戻りながら低音の爪を弾き、時の分だけ低音を鳴らす。
ゼンマイは常に12回鳴らすだけの距離を巻き上げられるため、実際には(空白)-(時の分だけの低音)となっている。
0:48~0:50
時間ラックが戻りきるあたりで、クオーターラック・分ラックを駆動する軸が引っ掛かり、クオーターラック(楕円状の部品のうち下側)だけが動き出す。
クオーターラックは低音・高音両方の爪を弾き、クオーターの分だけ和音を鳴らす。
一緒に鳴らして和音とするか、分けて鳴らして二音とするかはメーカーの好みな気がする。
時間の鳴り終わりのタイミングは軸で決まっているため、実際には(空白)-(クオーター分の和音)となる。
0:50~0:55
クオーターを鳴らし終わるとクオーターラックについているレバーが分ラック(楕円上の部品のうち上側)に引っかかり分ラックが戻るようになる。
分ラックは高音の爪を弾き、分の分だけ高音を鳴らす。
0:55~0:57
ラックが戻りきると、オール・オア・ナッシング機構が再びロックされ、最初の状態に戻る。
続いてムーブメント側です。
0:57~1:01
ゼンマイのチャージ、ムーブメント側は特に動かない。
慣性ガバナーは逆回転する気がするけど…
1:01~1:13
慣性ガバナーがリピーター輪列を調速しながらゼンマイが戻り、ハンマーが動作する。
鳴りはじめと鳴り終わりに注目して空白も入れて鳴る順番を表すと、下記のようになります。
(時間に依存する無音)‐(時間の低音)‐(クオーターに依存する無音)‐(クオーターの和音)‐(分の高音)‐(分に依存する無音)
時間の鳴り終わりは固定のタイミングのため、時間とクオーターの間にはクオーターが少ないほど長い無音が入ることになります。
他のブランドでクオーターとの無音部分を削除と言っているようなものはおそらくこれを削除しているのだと思われます。
原理的にはクオーターと分の間と同じように、終わり次第レバーが引っ掛かるようにすればよさそうですが、本当に可能かはわかりません。
やっぱり画面キャプチャに注釈入れないと分からないかなと思いました…
Allegro ムーブメント側
ムーブメント側のサファイアクリスタルにもメタル加工プロセスで五線譜が描かれています。
音は好みもありますが、個人的には好きな音です。
関連 Web Site (メーカー・代理店)
CHRISTOPHE CLARET
http://www.christopheclaret.com/
Noble Styling Inc.
http://noblestyling.com/
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