カンタロスのコンスタントフォース機構
By : CC Fan前記事に引き続き、カンタロス(Kantharos)のことを記します。
クラーレは独立系マニュファクチュールの中では比較的規模が大きく、部品やケースに至るまで社内で作成しています。
特にユニークなのは時計そのものだけではなく、バーゼルワールドなどの展示会で流すためのプロモーションムービーも社内に専任のスタッフを配して作っていることです。
カンタロスもムービーがありますので、まずはこちらをご覧ください。
YouTubeのクリストフ・クラーレ公式チャネルより動画埋め込み
カンタロスのムービーは相当気合が入っており、映画"TRON"をイメージした世界観(?)の説明パートが半分ぐらいを占めます。
見ての通り、音が鳴ったりはしていますが、機能的には自動巻きのモノプッシャークロノグラフです。
積算計の部分に、機能・特徴が記されており、以下の3つです。
これは、定力装置とも呼ばれる、主ゼンマイのトルクを一定量ずつ別のゼンマイにチャージし、脱進機にはチャージしたゼンマイからトルクを供給することで、精度を向上させることを狙った機構です。
機構のすべてをクラーレが得意とするサファイヤクリスタルを使った透明なブリッジの直下に配し、動きを楽しむことができようになっています。
構造を見てみましょう。
コンスタントフォース機構の図解(文字盤側から上面図)
このユニットは通常の時計の四番車(1分で一周する歯車)に相当し、秒の歯車(RS)の右下の部分にガンギ車のピニオンが噛み合っています。
主ゼンマイからのトルクは輪列を伝わり、始動歯車(D)に供給されます。
秒の歯車(RS)と始動歯車(D)は同軸ですが、軸はつながっておらず、コンスタントフォース機構のゼンマイ(S)のみでつながっています。
周辺に書いてある動作を時系列順に並べると、
1秒ごとにエネルギーをチャージする回転角度はアンクルの爪で規定されるため一定となり、ゼンマイはバネ特性のため、角度が一定であれば、蓄え/解放されるエネルギーも一定となります。
ゼンマイにチャージされなかった余剰のトルクはどこに消えたのか?というのが疑問でしたが、観察すると爪石に始動歯車がぶつかる時の衝撃音として放出されているようです。
主ゼンマイが巻き上がっているほど、音が大きく、トルクが足りなくなるとぶつからなくなる為、音がしなくなります。
これは簡易的なパワーリザーブインジケータとして使えます。
実際には、秒の歯車(RS)12時位置のアームにつけられたピン状の部品は、始動歯車(D)の3時位置の溝に入っています。
これは主ゼンマイからのトルクが始動歯車(D)に供給されなくなって回転しなくなった場合に、秒の歯車(RS)が回転しすぎてゼンマイのトルクを使い切ってしまうことを防止するための部品です。
トルクを使い切ってしまうと、カムが回らない→アンクルが振られない→爪が解放されない→トルクがチャージされない→カムが回らない…となってデッドロックを起こします。
これを防ぐために始動歯車(D)が回転しなくなった時点で、ピンが引っ掛かることで秒の歯車(RS)がそれ以上回転することを防ぎます。
等角図ではピンが溝に入っている様子を確認できます。
コンスタントフォース機構の図解(アンクル側から見た等角図)
向かって左側にピン上の部品と溝が見えます。
先ほどのプロモーションムービーでも連続して動く秒の歯車と、1秒ごとのステップで動く始動歯車を確認できます。
関連 Web Site (メーカー・代理店・図案記載のプレスシート)
CHRISTOPHE CLARET
http://www.christopheclaret.com/
Noble Styling Inc.
http://noblestyling.com/
CHRISTOPHE CLARET Download
http://www.christopheclaret.com/en/download.php
Kantharos日本語プレスリリース(図版はここから引用)
http://www.christopheclaret.com/uploads/downloads_document_file/CLARET_Kantharos_JP.pdf
クラーレは独立系マニュファクチュールの中では比較的規模が大きく、部品やケースに至るまで社内で作成しています。
特にユニークなのは時計そのものだけではなく、バーゼルワールドなどの展示会で流すためのプロモーションムービーも社内に専任のスタッフを配して作っていることです。
カンタロスもムービーがありますので、まずはこちらをご覧ください。
YouTubeのクリストフ・クラーレ公式チャネルより動画埋め込み
カンタロスのムービーは相当気合が入っており、映画"TRON"をイメージした世界観(?)の説明パートが半分ぐらいを占めます。
見ての通り、音が鳴ったりはしていますが、機能的には自動巻きのモノプッシャークロノグラフです。
積算計の部分に、機能・特徴が記されており、以下の3つです。
- CHRONOGRAPHE SONNERIE (ストライキング付きクロノグラフ)
- FORCE CONSTANTE (コンスタントフォース機構)
- 75 RUBIS (75石)
これは、定力装置とも呼ばれる、主ゼンマイのトルクを一定量ずつ別のゼンマイにチャージし、脱進機にはチャージしたゼンマイからトルクを供給することで、精度を向上させることを狙った機構です。
機構のすべてをクラーレが得意とするサファイヤクリスタルを使った透明なブリッジの直下に配し、動きを楽しむことができようになっています。
構造を見てみましょう。
コンスタントフォース機構の図解(文字盤側から上面図)
このユニットは通常の時計の四番車(1分で一周する歯車)に相当し、秒の歯車(RS)の右下の部分にガンギ車のピニオンが噛み合っています。
主ゼンマイからのトルクは輪列を伝わり、始動歯車(D)に供給されます。
秒の歯車(RS)と始動歯車(D)は同軸ですが、軸はつながっておらず、コンスタントフォース機構のゼンマイ(S)のみでつながっています。
周辺に書いてある動作を時系列順に並べると、
- 秒の歯車(RS)がゼンマイ(S)の引っ張りによって回転し、その分エネルギーがゼンマイから失われる
- 秒の歯車(RS)によってカム(C)が回転する
- カム(C)により、アンクル(A)が振られ、1秒ごとに始動歯車(D)を止めている爪が解放される
- 始動歯車(D)がアンクル(A)のもう片方の爪に引っかかるまで回転し、ゼンマイ(S)にエネルギーを与える
- 1に戻って繰り返す
1秒ごとにエネルギーをチャージする回転角度はアンクルの爪で規定されるため一定となり、ゼンマイはバネ特性のため、角度が一定であれば、蓄え/解放されるエネルギーも一定となります。
ゼンマイにチャージされなかった余剰のトルクはどこに消えたのか?というのが疑問でしたが、観察すると爪石に始動歯車がぶつかる時の衝撃音として放出されているようです。
主ゼンマイが巻き上がっているほど、音が大きく、トルクが足りなくなるとぶつからなくなる為、音がしなくなります。
これは簡易的なパワーリザーブインジケータとして使えます。
実際には、秒の歯車(RS)12時位置のアームにつけられたピン状の部品は、始動歯車(D)の3時位置の溝に入っています。
これは主ゼンマイからのトルクが始動歯車(D)に供給されなくなって回転しなくなった場合に、秒の歯車(RS)が回転しすぎてゼンマイのトルクを使い切ってしまうことを防止するための部品です。
トルクを使い切ってしまうと、カムが回らない→アンクルが振られない→爪が解放されない→トルクがチャージされない→カムが回らない…となってデッドロックを起こします。
これを防ぐために始動歯車(D)が回転しなくなった時点で、ピンが引っ掛かることで秒の歯車(RS)がそれ以上回転することを防ぎます。
等角図ではピンが溝に入っている様子を確認できます。
コンスタントフォース機構の図解(アンクル側から見た等角図)
向かって左側にピン上の部品と溝が見えます。
先ほどのプロモーションムービーでも連続して動く秒の歯車と、1秒ごとのステップで動く始動歯車を確認できます。
関連 Web Site (メーカー・代理店・図案記載のプレスシート)
CHRISTOPHE CLARET
http://www.christopheclaret.com/
Noble Styling Inc.
http://noblestyling.com/
CHRISTOPHE CLARET Download
http://www.christopheclaret.com/en/download.php
Kantharos日本語プレスリリース(図版はここから引用)
http://www.christopheclaret.com/uploads/downloads_document_file/CLARET_Kantharos_JP.pdf
BRANDS :
MODELS :
COMMENTS
コメントを投稿する
※ 匿名(ニックネーム可)での投稿も可能となっております。