オーデマ ピゲ グローバル ブランド アンバサダー、クローディオ・カヴァリエール氏 インタビュー

 By : CC Fan
今年のSIHHでブランドとして初となるフライングトゥールビヨンを発表したオーデマ ピゲ(AUDEMARS PIGUET)。
今回、グローバル ブランド アンバサダーであるクローディオ・カヴァリエール氏が来日し、これらの新作を含めたトゥールビヨンにフォーカスしたインタビューが行えるということでお話を伺ってきました。
インタビューは銀座のオーデマ ピゲ ブティック地下、特設スペースで行われました。



パーティーの準備が行われていました。
会場にはオーデマ ピゲ ミュージアムに所蔵された過去のトゥールビヨンピースも持ち込まれ、事由に拝見させていただけました。




オーデマ ピゲ初(ほぼ世界初)の腕時計トゥールビヨン。
11時の開口部がトゥールビヨンです。
最近の6時位置トゥールビヨンに慣れた目にはかえって新鮮に映りました。



発表は30年以上前で、なんと自動巻き。



一見するとただの丸型トゥールビヨンですが、何か違和感が…?



なんとリュウズを省き、ケースバック側から巻き上げる機構を搭載。
トルクが小さい腕時計でトゥールビヨンを回すために軽量なチタンをキャリッジ(ケージ)に使っています。



こちらはトゥールビヨンではないですが、個人的に興味のあるダイレクトインパルス式のオーデマ ピゲ脱進機を搭載したミレネリー ミニッツリピーター。
後述しますが、ダイレクトインパルス脱進機は今回凄いものが拝見できました。





ジュエリーピースやエングレーブピースなどトゥールビヨンに加えて様々な表現を行っているピースがあり、オーデマ ピゲの懐の深さを改めて実感します。

さて、インタビューが始まります。


グローバル ブランド アンバサダーのクローディオ・カヴァリエール氏、個人的には去年のスーパーソヌリ以来です。
手前にあるのは…?

まずはブランド初となったフライングトゥールビヨンについて、なぜこのタイミングでという理由を伺いました。



答えはシンプルで、立体的なデザインを強調するためにブリッジをなくしたかったから。

特に、今年の新作として女性向けのロイヤル オーク  コンセプト・フライング トゥールビヨンを発表しています。
これはケース・ムーブメントが雪の結晶をイメージしたデザインで、バケットまたはブリリアントカットダイヤモンドがセットされた作品で、トゥールビヨンケージ自体にもダイヤがセットされています。
これらのダイヤをブリッジの妨げなく堪能してほしいということが今回のピースに繋がったそうです。

研究開発部門ではフライングトゥールビヨンの研究も進めており、今まで出せなかった理由はなかったそうですが、ブリッジの方が原理的に安定することもあり、出していなかったそうですが、今回はデザイン部門からの働きかけで初のフライングトゥールビヨンが実現したそうです。

ブリッジトゥールビヨンと比較するとケージの下側のみで支えないといけないため、ケージの軸受けには強固なセラミックボールベアリングが用いられています。



ムーブメント側からは、がっちりと支えるための構造が。
原理的にはブリッジトゥールビヨンより不利ですが、実際にはスーパーソヌリ同様、過酷なテストを経ており、オーデマ ピゲの名にふさわしい耐久性を持っているそうです。


トゥールビヨンを見せるのであれば、サファイアなど、透明な部品でブリッジを作った方が安定度と見た目が両立できるのでは? と少し意地の悪い質問をしてみました。
しかし、サファイアは直接軸受けを設けられないので、結局ゴールドシャトンでルビーを打ちこまなければならず、あまり透けないこと、何よりあまり装飾ができないことから完璧な装飾を施すことを求めるオーデマ ピゲの美意識に合わないそうです。
透明なものをつけるなら、完全になくしてしまうか、完璧な装飾を施した金属ブリッジがオーデマ ピゲのデザインコードということです。


●時計作りの情熱について熱く語るカヴァリエール氏。

新素材についてはスーパーソヌリの時と同様、保守的なスタンスです。
ブリッジにチタンを使うぐらいで、そのほかは時計作りの伝統的なマテリアルのみを使い、将来的にも直すことができるものを作りたいと、一貫しています。

一軸のトゥールビヨンはもはや当たり前になり、一部他社は多軸トゥールビヨンに舵を切っているがオーデマ ピゲはどう思うか?と伺いました。
まず、多軸は魅力的であり技術的なチャレンジとしては素晴らしいと思うという前置きがあった上で、トゥールビヨンは一定方向でしか効果がないということは承知しているが、トゥールビヨンは機能のみではなく美しさも必要であり、オーデマ ピゲがやるのであれば独自の発想で、現在の多軸ブームはフォローしない…という回答でした。
確かに新機構に対しては石橋を叩いて渡るスタンスなので、全てを満たす機構を作るのは至難の業と言えそうです。



姿勢差について説明するカヴァリエール氏。
使われているのは、他の貴重なピースと共にミュージアムから運ばれてきたトゥールビヨンの模型!
詳細は不明ですが、昔の時計学校の教材か卒業制作で作られたものではないかとのこと。



巨大なトゥールビヨンケージ。
インタビュー中も"チッチッ"と鋭い音を立ており、こちらに存在を主張してきます。
一般的な"チクタク"ではありません。

…そう。



デテント脱進機です!
個人的な時計趣味の"Holy grail"であるデテント脱進機、トゥールビヨンと組み合わせたものは初めて実物が見られました(記事を書くと言ってまだ書いていないのはすみません)。
インタビュー後半はこれとオーデマ ピゲ脱進機の話で盛り上がりました。

特徴は"チッチッ"という鋭い音の基にもなっているシングルビート、すなわちガンギ車の回転方向とテンワの回転方向が一致する方向にしか衝撃を与えないこと、ガンギ車がテンワの軸に取り付けられた振り石を直接叩くダイレクトインパルスということです。
これにより脱進機誤差が少ない、駆動効率がいいなどのメリットがありますが、それを打ち消すほどのデメリットがあるため、腕時計の主流にはなれませんでした。

詳細は今度こそ記事にまとめますが、一番の問題は衝撃に弱いことで、この問題を解決しつつ、ダイレクトインパルスのメリットを最大限に活かした進化形がオーデマ ピゲ脱進機です(より正確にはデテント脱進機の進化形のロビン脱進機の進化形がオーデマ ピゲ脱進機)。

ガンギ車とアンクルのレイアウトを考えると、オーデマ ピゲ脱進機こそトゥールビヨンに最適では?と伺ったところ、意味深な笑顔が…期待してます!



残念ながらあくまで模型であり、精度はあまり期待できないとのこと…
ミュージアムピースが手に入るわけではないですが…

歴史を重視し、信頼性を第一に考えるオーデマ ピゲの時計作りの姿勢を実感できました。



ありがとうございました!

完全に私事ですが、チャペック(CZAPEK)のケ・デ・ベルクをつけていったところ、チャペックChairmanのHarry氏とカヴァリエール氏が知り合いということで、"自撮り"を撮って送っていました。
妙なところで縁があります…




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