第21回 三越ワールドウォッチフェア ラング&ハイネ マルコ・ラング氏 トークイベント

 By : CC Fan
第21回 三越ワールドウォッチフェア、ラング&ハイネ(LANG & HEYNE)、マルコ・ラング(Marco Lang)氏トークイベントのレポートです。
昨日は夜なべでしたが、流石に今回は帰宅後にダウン、奇跡的に目が覚めたので早朝作業でお送りします。



ドイツ時計の伝統を受け継ぐ高品質なブランドとして、注目度はまさに"横綱級"、例によってあらかじめ最前列を確保しつつ待っていると、開始前より座席は満員となり、椅子が追加されていくという状態に。



各タイムピースの名前の由来でもある、ドレスデン城の君主の行列の写真が飾られ、三越の北澤氏よりブランドの紹介が。



ラング氏登場!
今回のトークイベントはドイツ語で行われるということで、ドイツ語通訳の方も。



ラング&ハイネ社のスタッフは現在12人、年産わずか50本、大量生産ではなく、高品質にフォーカスした時計作りを行っています。
その中でも3人の時計師の男性は時計作りの中心を担っているそうです。



ドレスデンにおける時計作りの歴史とブランドについての説明。
ザクセン州の州都であるドレスデンでは時計作りに限らず、高度な文化が育まれていました。



ラング氏の家系は5代続いた時計師一族、幼いころから時計作りに触れて育った彼は当然のように時計作りの道を志します。



先祖代々のマイスター(時計師資格)の免許状。



時計作りの様子。
流れ作業ではなく、一人の時計師が全行程を行う伝統的な方法を用いています。



彫金師も在籍し、顧客からの様々な要望に応えることができる体制になっているとのこと。
顧客の思いも実現方法も千差万別、より理想に近づくためには手間を惜しみません。



彫金の様子。
実体顕微鏡を使いながら緻密に彫り込んでいく様子がわかります。



時計師一人が全行程を行う伝統的な時計作り。



しかし、伝統的な19世紀の手法だけではなく、ハイテクも使用しています。
これは以前もお伺いしたように、ハイテク・伝統的な技法というのはあくまで"手段"であり、"目的"ではなく、"目的"である時計の品質を向上するためには使える"手段"は積極的に使っていくという考え。
非常にロジカルなドイツ的な考えです。
美観も重要ですが、時計である以上精度も重要であり、ハイテクによる部品作りにより精度も向上させることができます。

以前の言葉を再掲すれば、『アブラアム=ルイ・ブレゲは当時の最先端の技術を使って時計を作っていました。しかし、もし彼が現在に生きていたとしたら、間違いなく、CNC旋盤(Computerized Numerical Control=コンピュータ数値制御)や3D CAD(3‐Dementional Computer-Aided Design=三次元コンピュータ支援設計)を使って、芸術品のような作品を作っていたことでしょう。わたしたちは現在の最先端のテクノロジーを使って時計を製作しますが、その完成度を高める姿勢や時計に対する情熱は、当時のブレゲとまったく変わらないのです』とのこと。



部品のチェックには伝統的な手法も用いられています、これは影による歯車歯形の検査。



完成した時計はボックスに収納され、オーナーに届けられます。
ボックスが肥大化する昨今、個人的にはコンパクトなボックスには賛成です。

しかし現在の生産数ではオーナーにお待ちいただくことが多く、何とかしたいということで新工房の話に。



新工房はラング氏も関わっている部品・ムーブメントサプライヤーUWB(Uhren Werke Dresden:ドイツ語でClock Work Dresdenの意)の工房と統合されました。
サプライヤーとして社外にも供給する体制をとることで、生産能力を余らせることなく設備投資が行え、より高度な製造設備を導入することができます。

これらにより現状50本/年の生産を最終的には200本/年まで向上させ、待たせることなく作品を届けられるようにしたいとのこと。
もちろん、数を増やすために品質を落とすことは絶対にしないそうです。



今回導入された最新鋭のCNCマシン。
木製の床とのコントラストがユニークです。
設置されている場所は元ダンスホールで、大人数が踊っても大丈夫な床の剛性があり、"ダンスのステップを刻むように"生産が立ち上がってほしいというジョークも。



最後にマクロ撮影された各部のディティールが説明されます。
ネジ一本取ってもポリッシュや面取りが徹底され、溝の部分にも面取りが施されています。



テンプに設けられるダイヤモンドの飾り石。
実用上、テンワの軸には衝撃を吸収するための緩衝装置(インカブロック・キフショック)が必要だが、工業的な見た目で古典的な意匠にはふさわしくないということから、純粋な見た目のための飾り石を追加し、古典的な見た目にしています。
この考え方は美観にこだわるのであれば、もっと普及してと欲しいと思うのですが、他にはクラーレぐらいしかやってるのを知りません。
緩衝装置むき出しが当たり前すぎて気が付かないのかもしれません。



彫金の例。
ケースは裏蓋を持つハンターケースにすることも可能で、キャンバスのように使い、自由な意匠を加えることができます。



美しい歯車。
大きな歯車はゴールド(14金)、小さな歯車(ピニオン)は鉄という組み合わせで、真鍮の歯車よりも硬く、耐久度は高いとのこと。
ちなみにこのブリッジは撮影が難しいコンラート(Konrad)のコンスタントフォースからステップセコンドへ接続するための中間車ブリッジ。



今年の新作で初のトゥールビヨンピース、アントン(Anton)
ドイツ時計の伝統を引き継ぐフライングトゥールビヨン。



美しいトゥールビヨンケージ。



ということで、あっという間に30分のトークイベントは終了。
キッチリ30分に合わせるのもさすがのドイツ気質?

イベント後、ブースは大盛況で、具体的なカスタムについての相談を行う方も多数いらっしゃった模様。
我々は既に撮影済みなので今回は静観します。

あっという間にワールドウォッチフェアの終了時間、独立時計師ブースを出展しているシェルマン(Shellman)さん主催のパーティーにご厚意で参加させていただけることに。





名古屋のTANAKAさんにてイベントのための荷物のパッキングを待つ間、しばし待機…
なかなか強行軍スケジュールです…

すぐ近くのクラフトビールバーにてパーティー開始。
ご無沙汰している方ともお話でき、楽しんでいると…



サプライズで三越の北澤氏のお誕生日祝いが、おめでとうございます!

パーティー後、結構酔っていましたがとことん行こうとノーブルスタイリングさんの二次会へ。





新橋まで移動し…



伝説的なカラオケ



ドイツ語の曲を歌うラング氏。



クドケ夫妻のデュエット。

毎回、葛西氏赤いという話で締めるのもアレなので、今回はこのあたりで…
非常に楽しいイベントでした!
そしてやるならとことんということで、本日のクドケ氏のイベントにも行こうと思います。

まずは昨日ダウンしてしまったリカバリーから…

「第21回 三越ワールドウオッチフェア~時の伝道~」
会期:8月15日(水)~8月27日(月)10:30~19:00 
(※最終日は18:00終了)
会場:三越日本橋本店 本館7階催物会場

https://premium.lavida.jp/wwg-page/wwf

関連 Web Site (メーカー・代理店)
Lang&Heyne(本国サイト・日本語)
http://www.lang-und-heyne.de/ja/

Noble Styling
http://noblestyling.com/