レベリオン イベントレポート サプライズ続きと長い夜

 By : CC Fan
"アーミン・シュトローム(Armin Strom)シフト"で先送りしていた、10月15日のレベリオン(Rebellion)イベントのレポートです。

通常であれば火曜日か木曜日に行われるのが常であるイベントが月曜日に行われたのは、前日14日の日曜日にFIA WEC富士耐久6時間レースが行われ、その流れでイベントが開催されたからです。
レースでレベリオンチームは3位入賞、1位と2位はワークスのトヨタなので、プライベーターとしてはトップです。





会場に展示された富士のVIPパス。

レベリオンチームの監督であり、レベリオンタイムピースのCEOも兼任するカリム・ボハドラ(Calim Bouhadra)氏がプレゼンテーションを行う予定ですが、ここでサプライズが。



レベリオンレーシングのレーサー達が駆け付けました!
これは"レース前はレースに集中するためにNG、レース後も結果が悪かったら来ない"という理由で公式には全く告知されていなかったため、完全なサプライズとなりました。
向かって一番左がボハドラ氏、その隣がブルーノ・セナ(BRUNO SENNA、かのアイルトン・セナの甥)、マチュエス・ベシェ(MATHIAS BECHE)、グスタボ・メネゼス(GUSTAVO MENEZES)、セナ氏の彼女(奥さん?)、そして見切れているのはノーブルスタイリング葛西氏。



別ショット。
以前も書きましたが、レベリオンの母体はスイスでも5本の指に入る巨大コネクタメーカー、レモ(LEMO)社、オーナーはやはりスイスで5本の指に入る超お金持ちです。
レモ社は絶対的な信頼性を必要とする医療や研究分野で圧倒的な支持を得ています、逆にコストが優先され信頼性が最優先でない民生用ではあまり見かけません、個人的に本業で使ってみたいと思って調べたのですが、なかなか難しい…
ボハドラ氏はレモ社のバイス・プレジデント(副社長的なポジション)も兼任しており、名刺の肩書はレモのVPでした。

異業種からの参入という来歴や、レースカーをモチーフにしたデザインは、一見すると"イロモノ"扱いされてしまいそうですが、豊富な資金やレモ社の金属加工技術をバックボーンにした製品作りは実に丁寧、押しの強いデザインの好き嫌いはともかく、作りには一切の手抜きが感じられません。

レベリオンは4つのカンパニーからなります。


  • レーシング…耐久レースに参戦し優勝を目指す、中核組織
  • タイムピース…レーシングの世界観をそのまま表現した時計を作る、モチーフではなく"そのまま"
  • モーター…アンティークカーのレストア、テイラーメイド・ラグジュアリーなカスタムを行うガレージ
  • ラボ…レモと協業し、様々な新技術を開発するR&D組織
レーシングカーをモチーフにしたタイムピースはほかにもありますが、同一組織内で"そのまま"の時計作りを目指すという試みは私はレベリオン以外に知りません。
世界観だけではなく、サービスも車のように細かいカスタムに対応するそうです。
一言で言うと"Car technology on your wrist"とのこと、もちろんそれだけではなく、時計業界の優れた才能とも協力し、時計の"定石"や"不文律"を外したようなものは作っていません。

また、ラボの説明で映し出されたインダストリー4.0に対応したラボの工場(レモの工場?)は300以上の工作機械を備え、時計業界の常識とは桁違いの規模!是非とも次のSIHHでレモのあるローザンヌまで足を延ばして見学したくなります。



特徴的な三又のロゴマークはレベリオンの精神を表す三つのPを表しており、
  • PERFOCMANCE(性能)
  • PROFESSIONAL(専門性)
  • PASSION(情熱)
を示しているそうです。

個人的に独立系の時計作りは面白い半面、どうしても資金と時間がないためにおこる検証不足は如何ともしがたいと考えていました、しかしレベリオンは母体が強力無比、無限とはいかないでしょうが、間違いなく"余裕"は感じられます。



超ロングパワーリザーブ機、T1K・T2K・T3Kシリーズ。
名前の通り約1000時間(K=Kilo=1,000)のパワーリザーブを誇り、約40日動き続けます。
数字は大きくなっていますが、全部1,000時間巻です。
巻き上げのために特別な外部デバイスも必要なく、内蔵されたレバー機構によって巻き上げることができます。
6つの香箱は計時側が歯車、巻き上げ側がチェーンで連結され、チェーンはレバーからダイレクトに駆動されます。
香箱の配置はまさにV型エンジンを彷彿とさせ、ユニークな縦型の輪列を通って斜めに配置されたテンワを駆動し、時分表示はシリンダー状。
シリンダーやムーブメント地板・ブリッジなども含めカスタマイズが可能とのこと。

ムーブメントの組み立てを担当したのはAHCI所属の独立時計師デビット・カンドー(DAVID CANDAUX)だそうです。



今年のバーゼル新作、T2M。
MはMega(100万)ではなく、Month(月)で、2ヶ月パワーリザーブ、約1400時間ということを示します。
基本システムはT1Kシリーズと同じですが、ムーブメントを横方向に拡大、稼ぎ出したスペースに追加で2つの香箱を格納することで合計8個の香箱を備えたムーブメントとしました。



複雑な形状の風防はサファイアクリスタルの塊から削り出したもの。



ムーブメントは全て文字盤側から見られるため、ケースバックは潔いソリッドバック。
ラグからラグへのレール状のパーツが腕から浮かせるため、接地面積は適度で、装着感は悪くありません。
とんでもないテクノロジーとこのような細かい"小技"が両立した時計作りが行われています。



立体トゥールビヨンのウェップ・ワン(WEAP-ONE)、立体トールビヨンを可視化し、サイドにシリンダー時分針表示を付けたピースです。
シリンダー状の風防はやはりサファイアクリスタルの塊から削り出して作られています。



こちらはリュウズ巻き、通常の時計と同じくサイドのリュウズで巻き上げ、一段引いて調整です。



流石にすごい存在感。
ただ、厚みは笑えてしまうサイズですが、ベルトとしての装着感はやはり悪くありません。
Tシリーズ同様に設置面積を最小にする工夫がなされているためだと思われます。

ちなみに腕時計として使うだけではなく、ヘッド部分だけ取り外して専用の台座にセットすることでデスククロックとしても使える設計です。
残念ながら台座は来日していませんでしたが、使うならデスククロックでしょうか…



ワンタッチ装着システム。
サイドのプッシャーを押すことでヘッド部分が外れます。



よりノーマルなラウンドケースモデルも。
こちらもフォージド・カーボンやチタンといったレーシングカー由来の素材を使い、"そのまま"の時計作り。



小型のスクエアケースも。
これはもう少しよく見ておけばよかったです。



さて、もう一つサプライズ。
この日はブルーノ・セナの誕生日!
招き猫の色紙が送られました。



更にサプライズ。
時計業界が長く、物持ちの良い葛西氏が倉庫から出してきたアイルトン・セナウォッチのイメージ。
当時取り扱っていたユニバーサル・ジュネーブとアイルトン・セナ財団のコラボレーションで作ったもので、ブルーノ・セナの母親(アイルトン・セナのお姉さん)にもその時にお会いしたとのこと。
氏曰く、"面影がある"とのこと。



記念撮影を。



もう一枚。

さて、イベントも終了。
今回のイベントは共栄産業株式会社さんとの共催だったので、打ち上げはいつもの"チキン・フォアグラ"こと焼き鳥ではなく、恵比寿ガーデンプレイスタワーの屋上!
ご好意で、しれっと参加させていただきました。



一番"やんちゃ"なマチュエス・ベシェ。



打ち上げ後、まだまだ物足りないということで。



バーにて薬草酒でパワーをチャージ!
ちなみに、この時点でノーブルスタイリング葛西氏以外のスタッフ、共栄産業株式会社さんは解散、私は楽しそうなので巻き込まれることに。
この写真を撮っているあたりで終電が終わり、帰れないことが確定。

何かメールをやっているな…と思っていたらイベントにお越しいただいたオーナー候補の方が再度合流!
レースの話題や車の話題で盛り上がります。



ブルーノ・セナの誕生日が祝われます!





おめでとうございます!

更に、オーナー候補氏がおススメする凄いバーに行こう!ということになりブルーノ・セナを残し、移動します。



オリエンタルなムードのバー。
オリエンタルということで壁には畳が貼られています。



リンゴのカクテルをいただきました。

この後、葛西氏とボハドラ氏は帰宅、やんちゃな二人はダンスクラブに行きたいということでオーナー候補氏が案内することに、放置するのも微妙だったので私もついていき、鞄(本業の帰りなので)を持ったまま不慣れなダンスを明け方まで踊っていました。
その後、マチュエス・ベシェをホテルまで送り、オーナー候補氏としばらく談笑、別れてからは歩いて本業の会社までたどり着き、オフィスの床で寝ていたら、"死んでるんじゃないかと思った"という同僚に起こされそのまま仕事にとりかかりました。

いろんな意味で規格外だったイベント、これ大丈夫か…と思うことはありましたが、終わってしまえば楽しい思い出です。
これ書いていてローザンヌに行きたくなりました、まずは問い合わせだ!

関連 Web Site

Rebellion Racing
http://www.rebellion-racing.com/en/

Rebellion Timepices
https://www.rebellion-timepieces.com/en/

共栄産業株式会社
https://www.kyoeico.com/

Noble Styling
http://noblestyling.com/