Armin Strom (アーミン・シュトローム): ミラード フォース レゾナンス 実機拝見

 By : KIH

東京恵比寿のウェスティン東京内にある、Noble Stylingさんのギャラリーでのイベントに行き、CC Fanさんによるレポートが続いていた、Armin Strom(アーミン・シュトローム)の新モデル、ミラード フォース レゾナンスの実機を拝見してきました。(CC Fanさんは、本業のご出張により参加できず)

CC Fanさんの前回までのレポートはこちら

さて、仕組みはCC Fanさんのレポートをご覧いただくとして、本日のイベントにはアーミン・シュトロームのオーナーである、Serge Michel(セルジュ・ミシェル)氏と、技術面の責任者(Director)の、Claude Greisler(クロード・グライスラー)氏も来日しており、主に、技術責任者のグライスラー氏から直接聞いた話をお伝えしたいと思います。





直径43.3mm、高さ13㎜、防水50mのケース。右上2時の位置にあるボタンは、上下の秒針を同時にゼロリセット(0秒に戻す)する機構を備えています。

限定50本!



キャリバー ARF15
43石
25,200振動 / 時 = 3.5ヘルツ、という珍しい振動数。共振する2つのテンワをじっくりと見て堪能してもらえるよう、28,800にはあえてしなかった、とか。
パワーリザーブ 48時間




グライスラー氏曰く:
「時計業界にはレゾナンス機構について、様々なセオリーがあるが、どれも計測不可能な状態ではその実効性には常に疑問があった。誰も正しいかどうか検証しようがないからだ。だから、我々は2年半前にそれらの世の中のセオリーをすっかり忘れ去った状態で、1からこの機構を考え出した。その実証の為に、最初はiPhoneのカメラでスローモーションで撮って確認をしていたが、結局自分たちで、両方のテンワの音をそれぞれ独立して拾うタイムグラファーを制作し、共鳴現象を確実にとらえることができた。」

さて、こちらが筆者が本日iPhoneで撮ったものです。縦で撮ってしまったので、ちょっとみにくくてすみません。。。




スローモーションだとよくわかりますね。


2つのテンワをつないでいるように見えるのが、「レゾナンス クラッチ スプリング」と呼ばれるものですが、この形状が極めて微妙で、完ぺきにするためにすべてインハウスで作っているそうです。

しかし、なぜ共鳴現象(レゾナンス機構)が時計の精度に関係あるのか? 言ってみれば、バックアップエンジンのようなものですね。片方のテンワにある種のショックがかかり、スピードが落ちたとしても、共鳴現象により、もう片方のテンワのスピードに戻ることができます。すなわち、両方のテンワがお互いにバックアップとなり、精度を保つ、ということですね。簡単に書いてしまいましたが、それを実現するのは大変なことのようです。

ちなみに、この「ミラード フォース レゾナンス」は両方のテンワが完全に同期するまで約10分、とのこと。



上下のテンワでは、秒針が反対周りになります(秒針の目盛りにご注目)。



構造については、CC Fanさんのブログを再度じっくり読んでいただくとして(ムズカシイ)、では他のアーミン・シュトロームの時計をご紹介しましょう。




みんな、ダイヤル配置など、なんとなく似ていると言えば似ていますね。現在、9種類のムーブメントをラインアップしていて、それぞれもちろん違いますが、効率的に基本デザインは似た作りにして、いわば車で言えばシャーシは共通、と言った感じでしょうか。やはり独立系がきっちりと成長していくためには、効率的にやらないといけないということでしょうね。




オーナーのセルジュ・ミシェル氏(左)と、技術責任者のクロード・グライスラー氏(右)


年間生産量も少なく、まずは欧州、そして米州へと拡大していったアーミン・シュトローム社。ようやく、つい最近アジアに販路を伸ばしてきています。日本での知名度はまだ低いですが、技術力が確かなブランドとしてしっかり成長している、という証でしょう。日本への本格進出を果たし、今後が楽しみなブランドです。


関連 Web Site

Armin Strom
https://www.arminstrom.com/

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https://www.youtube.com/user/arminstrom

Noble Styling
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