グルーベル フォルセイのインベンションピース3作、「発明」を象徴する作品

 By : CC Fan

2020/4/23:時系列が間違っていたので修正しました。 

2019年のバーゼルを振り返ったグルーベル フォルセイ
、見返してみると一昨年の工房ツアーにチラッと触れただけで終わっていたインベンションピースを紹介していなかったのでレポートします。
オンライン化したW&WGにあわせての新作は「脱退」済みのため、残念ながら無いようです。

ただ、インベンションピースは全て限定数完売のようですが…

まずはインベンションピースとは何か、インベンション(Invention)は発明の意味で、グルーベル フォルセイの「発明」(第1から第3第4から第7)を最大限可視化し、表現したピースです。
現在は第1の発明ダブルトゥールビヨン30°、第2の発明クアドラプルトゥールビヨン、第3の発明トゥールビヨン24セコンズそれぞれの象徴として作られています。

まずは、3つが並んでいるところを。



左がダブルトゥールビヨン30°のインベンションピース1、真ん中がクアドラプルトゥールビヨンのインベンションピース2、右がとルールビヨン24セコンズのインベンションピース3になります。
どれも「発明」を際立たせて、時分表示は控えめにするためにリング状の歯車を使った時分表示になっています。

数字の順では1→2→3の順番に作られたと思っていたのですが、バーゼルの年表を見ると実際は1→3→2のようです。



1が2008年、3が2009年、2が2011年で、1と2は先に「発明」を搭載したレギュラー作品が登場していますが、3は先にインベンションピースが発表されてから搭載機のGMTが登場していることが分かります
2007年の作品がトゥールビヨン24セコンズアシンメトリックで、先に出ていました、訂正します。



インベンションピース1、ダブルトゥールビヨン30°を象徴するピースです。
ダブルトゥールビヨン30°を時分針が妨げず、視認性の良さも両立するため、トゥールビヨンの外周部にリング状の時分針を設けています。
赤三角が時針、青三角が分針で、時針には分針と重なった時の為に穴が設けられています。

更に時針は24時間で1周、分針は120分で1周する代わりにインデックスが180度(半周)分しかなく二つの針が交互に表示する方法になっており、トゥールビヨンブリッジと時分針も干渉しません。

時分針の外周に独立したスモールセコンドと72時間のクロノメトリックパワーリザーブを表示するパワーリザーブインジケーターを配しています。
シリアル番号00は要するにプロトタイプですが、製品版と同じクオリティで仕上げているとのこと。



この立体感!
トゥールビヨンのブリッジはグルーベル フォルセイの歴史で最も長く、もちろん完全なブラックポリッシュで仕上げられています。
トゥールビヨンの受け石はオフセットされて配置されており、これによりインデックスの数字とトゥールビヨンブリッジをズラしています。
もちろん香箱や駆動用の歯車はムーブメント内にあるのですが、この高低差による視覚的なトリックでトゥールビヨンだけがどこにもつながらずに回っているような印象を受けます。



昔、「裏は公開しない」と聞いた覚えがあるのですが、公式の動画にも出てくるのでいいだろうという事で裏も。
「碑文」と創業者二人の名前が彫り込まれています。
ダブルトゥールビヨン30°の部分だけリング状のパーツで1段下げられており、「発明」を象徴しています。

エディションユニークとしてレッドゴールド11本、ホワイトゴールド11本、プラチナ11本の計33本が作られ、現在は全て完売です。



「発表順」という事で、次はトゥールビヨン24セコンズのインベンションピース3です。
基本的なデザインは共通ですが、トゥールビヨン24セコンズはダブルトゥールビヨン30°に比べ、コンパクトなため、時分針のセンターにトゥールビヨンを配置するのではなく、ダイヤルとトゥールビヨンにわけ重なった部分がサファイアクリスタルで透明になっているデザインになりました。
面白いのは時分針のうち、時針は24時間で1周のままで針は1つなので24時間表示になっており、分針は通常の60分に1周に改められています。



共通デザインの時分針機構とトゥールビヨン24セコンズのコンパクトさが伝わりますでしょうか?
13時半から16時半ぐらいまでがトゥールビヨンの開口部に重なりますが、サファイアクリスタルで透明なインデックスが作られているので読み取りに問題はありません。
よく見るとサファイアのディスクはミニッツインデックスと同じ高さで、一段高いアワーは途切れていることもわかります。



裏面も共通のデザイン。
トゥールビヨン24セコンズを中心に据え、香箱からトゥールビヨンまでの駆動輪列とインダイレクトスモールセコンドへの輪列を可視化しています。
もちろんケースサイドの開口部もあり、ここからトゥールビヨンの動きを眺めることができます。

インベンションピース1と同様に、エディションユニークとしてレッドゴールド11本、ホワイトゴールド11本、プラチナ11本の計33本が作られ、現在は全て完売です。



そして3作目のクアドラプルトゥールビヨンのインベンションピース2です。

香箱の上に時分表示、センターに2つのダブルトゥールビヨン30°に力を分配するためのスフェリカルディファレンシャルを可視化し、それぞれのダブルとルールビヨン30°も対称に配置されています。
2つのダブルトゥールビヨン30°が並ぶレイアウトだった通常のクアドラプルトゥールビヨンとは違い、GMTクアドラプルトゥールビヨンを思わせるレイアウトです。

時分表示は時間は三角マーカーによる表示、分表示はディスクになりました。



トゥールビヨンは向かって左が文字盤側に固定歯車、向かって右がムーブメント側に固定歯車の180°反転したレイアウトです。
これは文字盤上と文字盤下で誤差要員を等しくする(片方が文字盤上相当だったらもう片方は文字盤下)ための工夫で、最初期のクアドラプルトゥールビヨン以外はすべてこの方式です。
これは最後の一歩で、より影響が大きい縦姿勢と平姿勢はダブルトゥールビヨン30°で補正します。

十字状のサファイアクリスタル部品は4分間(ダブルトゥールビヨン30°の外周ケージの回転周期)のインデックスです。



ムーブメント側も共通のデザイン。
香箱からスフェリカルディファレンシャルへの輪列が可視化されています。

ダブルトゥールビヨン30°はケージに切られた歯と駆動用歯車が噛み合う構造で、ケージの高さを変えることでスフェリカルディファレンシャルに中間車無しで直接噛み合っています。

やはりエディションユニークですが、レッドゴールド11本、プラチナ11本の計22本しか作られていません、現在は全て完売です。

インベンションピース1に関しては公式動画があったので掲載します。



いかがでしょうか?

完売なので今更載せても仕方ないかもしれませんが、この素晴らしさが少しでも伝わればと思います。

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