5370P

 By : Ay&Ty Style
2016年のパテックフィリップ新作群の中で最もアイキャッチングなモデルといえば、Ref.5370Pを置いて他にないだろう。

カレンダーのない「シンプルな」スプリットセコンド・クロノグラフとしてはRef.5959以来。Ref.5959が少々特殊なモデルであることを考慮すると、実質的には唯一といって良い。
そして文字盤には、今最も旬といえるブラックエナメルに、ブレゲ数字のアプライドインデックス。
ケースはP。
外角の変化球から入ることの多いパテックフィリップが1球目から投げ込んできた高めの直球だ。

世界的にもデリバリーを受けた愛好家から歓喜の声が上がり始めている注目のモデルの納品式に、昨年末に立ち会うことができた。


開封の儀の前にはクリュッグロゼで乾杯。

私自身、5370Pの実機は初見であったが、ブラックエナメルの艶と、期待通りのクオリティに圧倒された。
3、4年前は極めて制作が難しいとされていたブラックエナメルダイヤル。しかし少なくともパテックフィリップにおいては、もはや完全に新時代に入ったと言わざるを得ない。今年のSIHHやBASELWORLDにおける他ブランドの動向が楽しみである。


ムーブメントは手巻きキャリバー CHR 29-535 PSは、Ref.5204で使われているCHR 29-535 PS Qから永久カレンダー機構を除いたものである。何と言っても凝縮感が素晴らしい。比較のため同機能のA.ランゲ&ゾーネ ダブルスプリットのムーブメントと比較してみたのでご覧いただきたい。

クロノグラフ針のスプリットは、竜頭と同軸のプッシャーで行う。
かつてのパテックフィリップのクロノグラフは非常に柔らかな操作感であり、Ref.5959でもそれが維持されていたが、Ref.5370Pの場合、スプリットのプッシャーは比較的硬い印象を受けた。ただし、この点は個体差があるかもしれない。


総じて、やはりパテックだと大きく頷かされる1本。
オーナー様、おめでとうございました!




パテックフィリップでは納品前にビニールパックを開封するのが「お約束」だ。
今や開封の儀は、愛好家の愉しみになっている。


ビニール越しに見えるブラックエナメルダイヤル。


そして、、、


おめでとうございます!の瞬間。


この艶!


ケースサイズは41ミリ。永久カレンダーが付いていないため、重心が低く装着感は良好だ。


非の付け所の無い文字盤!


パテックフィリップに関しては、ブラックエナメル文字盤のクオリティは完全にコントロールできる段階に入った。


凝縮感のあるスプリットセコンドクロノグラフ。


ダブルスプリットとの対比。どちらも素晴らしいですね!


5959Pとのサイドバイサイド


ブラックエナメル文字盤のペア


アワーグラス銀座さんからのお祝い。
KRUGロゼは特別感がありますね!