MING - 27.02 発表、27.01と共に限定数発売日決定、そして名機プゾー7001ベースのムーブを搭載した27シリーズは終了へ

 By : KIH

MING - 27.02 発表、27.01と共に限定数発売日決定、そして名機プゾー7001ベースのムーブを搭載した27シリーズは終了へ



遅れ馳せながら明けましておめでとうございます。

昨年最後のブログも、本年最初のブログもMINGとなってしまった。。このブランドについては、私が個人的に気に入っており、
何度か(何度も?)WMOで紹介した。あまり日本での評判が聞こえてこないが(-_-;)、今回も紹介させていただく。というのは、これは長年の時計好きたちによって設立されたブランドであり、彼らが欲しいと思った時計を作っている。筆者も保有することにより確認したが、普通以上にいい時計であり、さらにコストパフォーマンスは抜群。デザインに好き嫌いはあると思うが、個人的には斬新で秀逸だと思っている。一番最近のユニークなダイバー18.01 H41の拙レビューもお時間があれば参照されたい。


さて、彼らのウェブサイトで、ニュースレターを申し込んだ人にはすでにお知らせが行っていると思うが、昨年売り出した27.01の最後のバッチと、併せて新作27.02発売のニュースが発表された。興味がある人全員にお知らせが行っていて、一斉に発売するというのは、極めて公平である。ここまで透明度の高い販売方法で、手に入れた人に対して「ずるい」とは言えない。とは言え、一斉発売で、販売本数が少ないので、早い者勝ちになることは確かである。そこは、今年の運試し、というところだろうか。

まずは、大事な情報として、そのメールをもらっていない人のために販売スケジュールを以下に掲載しておく。購入はウェブサイトからのみ、である。当日は ming.watch でスタンバイしておくように。

1. すでにMINGの時計を買ったことのある方たちのみ ー 50x 27.01s and 50x 27.02s,
available 14 January 2021 at 1PM GMT, or:
5AM, 14 January in San Francisco
8AM, 14 January in New York
1PM, 14 January in London
2PM, 14 January in Geneva
5PM, 14 January in Dubai
9PM, 14 January in Kuala Lumpur
10pm, 14 January in TOKYO
12AM, 15 January in Melbourne
(*10:16、すべて売り切れ、というレポートメールあり)

2. 初めての方 ー 50x 27.01s and 75x 27.02s,
available 15 January 2021 at 1PM GMT, or:
5AM, 15 January in San Francisco
8AM, 15 January in New York
1PM, 15 January in London
2PM, 15 January in Geneva
5PM, 15 January in Dubai
9PM, 15 January in Kuala Lumpur
10pm, 15 January in TOKYO
12AM, 16 January in Melbourne

3. 初めての方 ー 50x 27.01s and 75x 27.02s,
available 22 January 2021 at 3AM GMT, or:
7PM, 21 January in San Francisco
10PM, 21 January in New York
3AM, 22 January in London
4AM, 22 January in Geneva
7AM, 22 January in Dubai
11AM, 22 January in Kuala Lumpur
12PM (noon), 22 January in TOKYO
2PM, 22 January in Melbourne

全部で27.01が150本、27.02が200本となる。そして、すでにMINGの時計を買ったことがある人は3回チャンスがあり、初めての人でも2回チャンスがある(時差があるので時間を変えて2回チャンスを用意)、ということである。前からのサポーターを大事にする態度には好感が持てる。いまや「昔からのサポーター? そんなことは今年の売り上げと関係ない」、という態度をとる大手ブランドのことが頭をかすめるが、気のせいか。。とは言え、知る人ぞ知る名機ETAというかプゾー7001をベースにしたこの27シリーズがこれで終了というのはやや寂しい。いまや、7001をかき集めるのは至難の業だったそうだ。古いムーブであるからやむを得ない決断だろう。しかし、このムーブだけでも持っている価値は十分ある、と古い人間の私は思うのである。

税抜価格は、27.01は昨年と同じ3,950スイスフラン(約46万円)、27.02は4,950スイスフラン(約58万円)。コストパフォーマンスは抜群、というのは間違いない。

さらに、今回はその運命の日はこのブログ掲載日の翌日であり、じっくりと以下のリリース概要や写真を見て考える時間がある。前回は、いきなり当日の受付開始時間に情報解禁だったので、どうにもならなかった人が多かったと思うが、今回はじっくりと考えて、翌日の「早押し大会」に備えて欲しい。1つアドバイスだが、クレジットカード決済なので、そこで「不審使用自動停止」がかからないように、あらかじめクレジットカード会社に連絡してこの日にスイスフラン建てで、「Horlogerie MING Kuala Lumpur」でいくらいくらオンライン購入をする予定であることを伝えておくといいだろう。ここで購入プロセスが詰まるとおそらく間に合わないだろう、という老婆(老爺?)心であるが(単に、日本人にもファンが増えて欲しいという気持ちであるが、MINGのウェブサイトでもそのようなアドバイスがされている)。

それでは、本日(1月14日日本時間午後10時解禁)発表のリリースを以下の通り要約する。

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MING 27.02: グラデーション ギョーシェ ダイヤル

---情報解禁 2021年1月14日 世界標準時 午後1時---

進化と回顧
デザインとは、簡単に思い付きでできてしまうものではない。平均して、18-24か月は思い付きから発売までかかるものである。この期間に、プロトタイプでのテストや、デザインの細部変更などをするわけである。「こうしたらどうなるか?」という自問も行われる。まさに、27.02はその自問の結果である。

グラデーション ギョーシェ ダイヤル
2020年のGPHGで最終選考まで残った27.01のケースを見直したところ、少しスペースがあることに気が付いた。そのスペースは非常に小さいながら、サファイヤでできた文字盤(真鍮でできた27.01の文字盤よりは明らかに厚い)と、ムーブメントの周りに青いクル・ド・パリのギョーシェ模様を入れるのには十分だった。文字盤の対称性、視認性、0時のマーカー、そしてケースから広がるようなラグに加えて、文字盤からケースラインに伸びる遷移を加えることに成功した。さらに、サファイヤ文字盤の下表面にグラデーション効果を加え、上表面にレーザーでマーカー(インデックス)を彫り込んだ。このことは、文字盤周囲のギョーシェ模様が単に模様としてフェードアウトするのだけではなく、色の深さもフェードアウトするという視覚効果も得ることが出来た。文字盤の中央は真っ黒であり、周囲のギョーシェ模様に変化していき、我々のいわばトレードマークである、光の角度によって色が反転する効果をもった文字盤が出来上がったのである。





ウルトラ・シン、そして必要最低限の機能
27.02は27.01と同じく、風防を含めた厚さが6.9㎜であり、必要最低限の「美」を持っている。また、モノブロックステンレスから削りだした「フライング・ブレード」ラグも同様である。サイズも同じく、38㎜ x 6.9㎜と、手首の上で大きすぎず、小さすぎず、意味のある存在感をはなつ。幸運にも、2020年の間に、我々が求めるスペックを持ったETA プゾー7001をある程度見つけることが出来た。これらを、我々のパートナー、シュワルツ・エティエンヌに、大幅な改造を行ってもらった。手を付けなかったのは名機を名機たらしめる輪列と脱進機くらいであり、受けや地板は大幅な変更を行い、裏側から見える姿を我々なりにデザインし直した。何と言っても、やはりこのムーブメントは隠すべきところはなく、できるだけ見える姿であるべきと考えたからである。


視覚階層
27.01と同様に、この27.02は我々の最もドレッシーな時計であり、蛍光塗料はどこにも使われていない。しかし、表面加工や文字盤の不思議な光への反応は、薄いケースと相まってやはりMINGなのである。微妙な表面加工はケースにもなされている。表側は軽く磨かれたスティールのベゼルが、青いクル・ド・パリに遷移していき、文字盤中央の漆黒に行きつく。横は、ポリッシュされた「フライング・ブレード」が横切り、彫り込まれた内側は黒く加工されている。そして、裏側はサテン加工されたスティールが黒いムーブメントを囲む形となっている。


パートナーシップ
今回も、ムーブメント加工と組み立てはシュワルツ・エティエンヌ、ストラップはジャン・ルソー・パリ、そしてトラベルパウチはスタジオ・Koji Satoとのパートナーシップを継続した。どのモデルでも手を抜かない一貫した品質基準の彼らとの協働を誇らしく思う。



MING 27.02 は、2021年1月15日世界標準時1pmからwww.ming.watchで販売(日本時間午後10時)。価格は、税抜で4,950スイスフラン(各国の税関で各国での税金を払ってください)、200本限定。デリバリーは2021年11月を予定。

<仕様>
• Functions:
 o Hours and minutes
• Case, dial & hands:
 o 38mm diameter, 6.9mm thickness
 o Stainless steel 316L
 o Mix of polished, brushed and blasted surfaces with ‘flying blade’ lugs
 o Sapphire crystal front and rear with double-sided antireflective coating
 o Gradient sapphire dial with laser etched and white-filled indices
 o Blue Clous-de-Paris ring with stamped guilloché
 o Rigid case without spacer rings
 o 50m water resistance
 o 20mm lug width
• Movement:
 o MING 7001.M1: heavily-modified ETA 7001 with new bridges and baseplate
 o Black chrome plated bridges and plates
 o ~42h power reserve at full wind
 o Movement adjusted to five positions
• Straps:
 o Smooth calf blue-grey leather strap by Jean Rousseau Paris
 o 20mm width, curved bars with quick release
 o 70/120mm length
 o Fitted with 2nd generation ‘flying blade’ stainless steel buckle
• Leather travel pouch handmade in Kuala Lumpur by Studio Koji Sato
• 2-year limited mechanical warranty
• Made in Switzerland
• Pricing & deliveries:
 o CHF 4,950
 o Total production limited to 200 watches
 o Deliveries expected to commence November 2021
• MING continually aims to improve product where possible to improve aesthetics and functionality; to this end we reserve the right to make minor changes prior to final delivery
www.ming.watch

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さて、どうだろうか。今回はゆっくりと考える時間があるが、今回も世界を相手にした「早押し競争」である。興味がある人は是非頑張ってほしい。個人的には、しつこいようだが、プゾー7001というのは大変魅力的である。

以下は、27.01発売の時に書いたブログの一部である。このモデルでも強調したいので再度掲載する。

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「ということであるが、個人的な注目は、ムーブメントにPeseux 7001を採用したところです。これは、その昔ブランパンが、7002というモデルを出しており、確かそのムーブメントはPeseux 7001だったと思います。





とてもスリムな、クロノメーター級ムーブです。これを、今回もシュワルツ・エティエンヌがカリカリにチューンしたようですね。大変薄く、かつ高性能なムーブとして、17.01で使われていたMiyotaよりも、値段も上がりましたが、相当のグレードアップと言えます。。。」
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ブリッジ(受け)が細くなり、内部の露出が増えているが、香箱、輪列やテンワの位置などが同じことがわかると思う。

筆者にとってはとても懐かしい。今ではJCBと呼ばれる、かの「ジャン・クロード・ビバー氏(現ウブロ会長)」がブランパンにいたころに出した時計だったそうだ(本人談)。これはクロノメーターとして売られていた。すなわち、それだけのポテンシャルのある名機ということである。MING 27シリーズは秒針もなくし、よりドレッシーな時計となった。

些末な話だが、サファイヤクリスタルは上も下も両面非反射コーティングであり、ここも私の好みである。表側のコーティングは剥げやすい、という理由で内側だけコーティングしているブランドも多いが、それではコーティングしているのかどうかもわからないくらい、反射が激しく、個人的には好きではない。某ブランドでは、昔はコーティングなしだったが後になって両側コーティングのガラスに変更し、それに交換するのに2-3万円だったので、表側のコーティングがはげ始めたところで(何年も後のことだろうし)、そんなにコストがかかるものではないはずだ。もちろん、文字盤の色が緑・青っぽく変わるのが嫌だ、というのであればそれは話は別ではあるが。

立派な薄型ドレスウォッチをお持ちの人であれば、これを必要とはしないであろう。しかし、そうではなく、ちょっと大人っぽい使い方ができるがデザインは目を引く、みたいなリーズナブルな値段の薄型ドレスウォッチをお探しの人であればこれは、個人的にはおススメである。38㎜というサイズも、ドレスウォッチとしては今日では極めてふさわしいサイズだ。無論、ご自分の手首の太さによるが。

昨年の27.01が125本。今回27.01は150本。この27.02は最初で最後の200本。全部でプゾー7001を475個。おそらく、今後プゾー7001を使った時計は出てこないだろう、という気がする。上記ニュースリリースの訳はやっつけ仕事の意訳ではあるが、MINGのデザインコンセプトの一貫性とその進化、そしてプゾー7001を使った薄型ドレスウォッチという、非常にユニークな組み合わせであることは確か。無論、これでこのシリーズは終了なのでもったいない話ではあるが、まだまだ若いブランドゆえ、今後様々なモデルを作ることだろう。その中で、またドレスウォッチと出会うこともあるだろう。これが11月デリバリーということは、今年これからまたいくつか新作が発表される予定だろうと勝手に想像している。引き続き注目していきたい。

プゾー7001の歴史については勉強する時間が足りなかったのだが、詳しい方がいらっしゃれば、コメント欄で是非もっと教えていただきたい。

皆さんの本年のご多幸を祈ると共に、本件ご興味があるのであれば、購入できるよう幸運を祈る。

私は、今年は自分の心に刺さる時計といくつ出会えるだろうか、ということ、そしてこの趣味を通じてどんな人たちと出会えるだろうか、と楽しみにしている。