Fritz・Piguet

 By : Daiwatokeiten
その昔、スイスには数多くの時計メーカーが存在していました。

ちなみにこの本には1775~1975年までのスイス国内に存在した時計メーカーがほぼ掲載されています。



数百社ほどあった時期もありましたが、時代の流れの中で淘汰され、
今はもう現存しない時計ブランドが多々あります。



この時計も今では無名と呼ばれてしまう類の時計ブランドですが、
機械が凄いんです。




今でも超有名ブランドとして名高いPatek Philippe。
そのパテックの超高級ラインのゴールドトレインでは
2番車から4番車まで金無垢の歯車が使われています。


なお、かなり高級ブランドの機械でもこれら歯車は真鍮製が主です。
ちょっと見栄を張ってメッキして金無垢歯車に見せかけた機械もありますが
そういうのは大体ダメダメなんです…。

しかし、この機械の歯車は多分金無垢。
試金石で確認することが出来ないので確実ではありませんが、
色合いや質感等から間違いないかと。
少なくてもメッキではありません。

また、アンクルの手間の掛けようも素晴らしい。
鏡面仕上げで角もしっかりと面取りされています。
しかもカウンターウェート(平衡錘)も少々珍しい形。



爪石はもちろん天然のルビーです。

マルテーゼ・クロス(ゼンマイの巻き止め機構)は当時のオリジナルで間違いないと思います。



この部品が無くても時計は動きますので、取っ払われて個体も多いのですが、
この時計のように当時のままの物がそのまま入っているのはなかなか珍しいんです。


地板ですが、



このように3番車からテンプ板が別になっている構造は高級機械によく見られます。


なぜこのような別の作りになっているのかは分かりません・・・(^^;;
勉強不足ですみません。

ところで、この時計には秒針が無いんです。



その為、実際に携帯して日差何秒なかは正確には分かりませんが、精度はかなり良いです。
ゼンマイ全巻き時の5姿勢(文字板上・12時上・3時上・6時上・9時上)の最大姿勢差は30s/d以内。
ちなみに約130年ぐらい前の時計なんですよ。





今では知られていない当時の超高級時計はホントにお買い得。



年に数回渡欧して仕入をしますが、
これほどの機械は年に何本も出会えるようなレベルの時計ではありません。