Marine chronometer

 By : Daiwatokeiten
今回はMarine chronometerの修理に関するお話です。




普段修理をしている腕時計や懐中時計に比べて、
構造的には各部品が大きいので、修理も少しは楽なのでは?を思うかもしれませんが、
実際は手間暇がかかるのは同じです。




この時計は鎖引きの構造で


富士山のような山の形のフュージーという車に鎖を巻きつけて駆動します。





このフュージーの部分を分解した状態の写真です。




ちなみに、この時計はパワーリザーブ付き。


上の大きな歯車にインジケーターの針がつきます。
この歯車に動力を伝えるのが香箱真についているカナです。
ゼンマイが解ける力をダイレクトに伝えてくれる役目です。


バラバラにした状態はこんな感じです。


何故なのか、兎に角色々な箇所が錆びております。
特に鎖の錆びが本当に酷過く、可動部分が全然動かないような状態でした。

その為、色々な液体に暫く浸け置きしたりなど、
色々と工夫して錆を分解した後、
錆取り作業に数時間費やし続け・・・

おかげで指がとても痛くなり、
その日は指先に力が全く入らなくなり、軽い物すらポロっと手から滑り落ちてしまうほど。
かなり苦労しましたが、結果的には動きが滑らかになりました。
 
 
分解修理も完了。
鍵巻きの為、このようにひっくり返して左巻きに巻きます。


ゼンマイを巻いて1週間ランニングテストをした結果、
日差+2秒に収まりました。