YOSUKE SEKIGUCHI、アワーグラス銀座店で扱い開始、関口陽介氏インタビュー

 By : CC Fan
アワーグラス銀座店でも扱いが開始されたYOSUKE SEKIGUCHI Le Locle、扱いに先立ち本人が来日し、イベントが行われました。

スイスでは何度もお話は伺っているのですが、改めて時計作りについて正式にインタビューさせていただく機会を得ました。良い機会なので、改めてYOSUKE SEKIGUCHIというブランドについて、そして関口さんの経歴について振り返ります。
関口さんの時計作りの哲学について、少しでも伝われば幸いです。

まず、ブランドについて、今回のインタビュー前に提供された紹介文を引用します。

Yosuke Sekiguchiについて:
独立時計師の関口陽介氏は16歳の頃、動かない掛け時計を独学で修理した原体験から25年間、学校にも組織にも属さず、単身スイスへ渡り、ほぼ一人で試行錯誤を重ねています。
関口陽介氏の製作哲学は100年前の職人仕事に根差しており、CADや理論先行ではなく、現物を手作り、組み、動かし、そこで初めて寸法を詰めます。
歯車は自作し、ネジは一本ずつ焼き入れ、計測は1/100mmを目安にしながらも、最後に信じるのは自身の手の感覚です。フィリップ・デュフォー氏との25年越しの縁、運命的に辿り着いたル・ロックルの工房、そして現在制作中のガーネットダイアルやアール・ヌーヴォーの記念作。その全てが、彼の生き方と分かちがたく結びついています。

特徴的なのは古典的な時計作りに根ざした手作業による仕事と一人で行っている事でしょう、ここに非常に強いこだわりがあると感じているため、改めて伺います。
「独立時計師」に至るまでの経歴も見てみましょう。

1980年:群馬県伊勢崎市に生まれる。
2004年:明治大学卒業後、23歳で単身渡仏。
2007年:独学でフランスの国家時計技師資格(CAP)を取得。
2008年:スイス時計ムーブメント製造会社ラ·ジュー・ペレ社に入社。
2011年:スイスメゾン時計ムーブメント製造会社クリストフ·クラーレ社に入社。
2016年:スイスラ·ショー·ド·フォンにあるjuval horloserieの専属時計師の仕事を行いながら大手時計ブランド数社からのアンティーク修理を請け負う。
2020年:独立し【YOSUKE SEKIGUCHI Le Locle】立ち上げる。
2021年:一作目となるモデル“Primevere(プリムヴェール)”を発表。

一般に時計師になるためには時計学校で学んで資格を取ります、関口さんもフランスに渡った後、語学を経て時計学校(職業訓練校)に通おうとしたものの、入学後に「実は入学できる資格がなかった」と言われて通えなくなってしまったそうです、そこから独学で技術を磨き、個人で資格試験を受けて見事合格、キャリアをスタートさせます。

ラ·ジュー・ペレ社を経て、今は亡きクリストフ・クラーレ社に採用され、コンプレケーションムーブメントの組み立てに従事します。
クラーレ社在籍時に、カンタロスを購入してワークショップ見学に訪れた私と知り合い、「問題児」だったカンタロスを何とかするための「インプルーブメントプロジェクト」で交流を深めました。

その後、クラーレ社を退職、アンティークショップJuvalの修復時計師としてアンティークの修復を手掛けていました。
退職後もクラーレ社と私がバトルする際の日仏通訳としてお願いしたり、展示会の度にお会いしたりしていたのですが、あまり表に出たくないという事だったので記事にはしていませんでした。
独立して自身の名前を冠した【YOSUKE SEKIGUCHI Le Locle】を設立、その後はWMOでも取り上げて今に至ります。

それでは以下インタビューをご覧ください。



――改めまして、時計作りについてお話を伺わせていただければと思います、関口さんの時計作りで最も特徴的な所としては徹底的な手作業による仕上げ、そしてすべてを一人で行うことと認識しています、どのような気持ちで時計を作ってるか?という事を教えていただけますか?
『そうですね、極端な話かもしれませんが、手をかけて作り出したこれ(時計)が私自身という感触です。こっち(人間としての関口氏)はもはやオマケなんですよ。たまたま人間として生まれ、表現として何かを残したい、絵を描いたりなんかもしたんですが、最も磨けば光ると思ったものが時計で、それを自分を表現したい、作りたいと思って取り組んできました』

――最初に時計を作りたい、と思ったのはおいくつの頃でしょう
『16歳ごろだったと思います、壁掛け時計を弄ったりしていて、自分ももっとこう綺麗にしたいなと思う思いを込めれば込めるほど輝くんじゃないかなこのオブジェクトはと思いました、それですごく惹かれていったわけですけど。自分が納得できるものを求め続けてるものなので、精度が出るとか、いろんな人にもやってもらうとか、そういうものではないとじゃないと考えていましてね。ましてや、最新技術を使って全て自動で完璧なものできたとかいうものじゃ全然なくてですね。
自分でやると壊してしまうかもしれないし、各分野の専門家に任せた方が全体としては綺麗になるかもしれない、でもそれはYOSUKE SEKIGUCHIと銘を付けた私の時計じゃないんですよ、一つずつ仕上げていくことによって私の一部となっていく、だからそれなんでこっち(時計)を私と思って見てほしいっていう気持ちです。人間としての私はいずれ居なくなってしまいますが、時計として私が残ってくれれば良いかなと思っています。何を作りたいと思ったかっていう人間がいたっていうのが、こことして残っていくと、だからか他の人に任せるのではなく全て私の責任で作りたいと思っています』

――以前もアンティークのムーブメントを集めて昔の職人の仕事に感銘を受けたお話を伺いました
『有名でもなんともない名もないムーブメントをあけてみると、隅々まで手がかけられている、と何度も経験しました。アンクルの爪石を面取りしてアンクルとの接触面積を最少にしたり、全体を面取りしたり…と様々な工夫を見てそれでだけでこうやってなるほどなーって学んだんですね。古典の時代にはそこまでやっていた、みていて楽しいんです。だから、自分の時計にもできる限りのものの集大成っていうのをここに入れたい、そういう気持ちで作ってますね。なので、その自分が作らなくなったら、他の人には作り続けられないものだと思います。』



――その感覚は日本人的なもの、と言われそうですがどうでしょう?
『いや、私自身が頑固という事だと思います(笑)。自分は日本人だったからどうだかっていう気持ちは全くないんですよ、私自身の性格なんですよね。スイスに移って長いので日本人ってこともだいぶ忘れてますし、かといってスイス人という感覚も違いますね。たまにね、向こうの友達と話しているときにふとガラス窓をみて、あ、そういえば、私アジア人の顔してるんだなと、思ったりはします。でもむこうの協力者とかと話しているときは国籍がどうこうとかは関係ないですね。私は日本人の大使じゃなくて、たまたま時計をやりたいだけのたまたま日本人だった、という事でしょうか。』

――今後の展望など、お伺いしてもよろしいですか
『考えているものはあるんですよ。技術的にどのぐらい時間かかるか、とか経験上多分実現可能だと思うんですけど、じゃあそれが半年後 1年後 3年後に出てきますか?と言われると、まず作らなくちゃいけないのもあるので、同時進行で…ですかね。まだなんとも言えないです。より詳細が決まったらお話しますね。これが実現できたら誇れるんじゃないか、って構想はありますがそれができたとしても、時計自体はずっと作り続けると思います。」



独立時計師的な時計作りを表現するために「buy tha watchmaker, not the watch.」すなわち、「時計を買うんじゃなくて、作り手の時計師を買う」という表現を使っていましたが、それを正に体現しているのではないでしょうか?
過度に美化するのではなく、「そういうもの」という等身大の関口氏の時計作りが伝われは良いのですが…

今年の新作は以前レポートしたローマンとアラビアインデックスの2作品、改めてスペックを引用します。



【概要】
プリムヴェール

Ref.39WG-GAWG
参考価格:CHF 80,000税抜
ケース:18Kホワイトゴールド
・直径:39.5mm
・高さ:12mm
・防水 30m
ダイヤル :ガーネット グラン·フー シャンルベ エナメル
・ホワイトゴールドローマンインデックス
・針 ホワイトゴールド
ムーブメント:YS-Y01(手巻き)
・機能 時、分、スモールセコンド
・毎時:18,000振動
・パワーリザーブ約40時間


Ref.39YG-BKPAWG
ケース:18Kイエローゴールド
・直径:39.5mm
・高さ:12mm
・防水:30m
ダイヤル:ブラック グラン·フー·シャンルベ エナメル プリムヴェール
・アラビア数字インデックス
・針:イエローゴールド
ムーブメント:YS-Y01(手巻き)
・機能:時、分、スモールセコンド
・毎時18,000振動
・パワーリザーブ:約40時間





【お問い合わせ】
アワーグラス銀座
〒104-0061 東京都中央区銀座6-6-5 HULIC &New GINZA NAMIKI6 8階
営業時間:12:00〜19:00
定休日:日曜・月曜
TEL:03-5537-7888
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