パネライ ラジオミール 1940 ミニッツリピーター カリヨン トゥールビヨン GMT

 By : CC Fan
パネライのユニークなコンプリケーション、ラジオミール 1940 ミニッツリピーター カリヨン トゥールビヨン GMT の実機を拝見させていただきましたのでレポートします。



この作品のミニッツリピーターの特徴は下記の点です。
  1. 10分と1分の分割で分を知らせるデシマルリピーター
  2. 10分単位を3音で知らせるカリヨンリピーター
  3. 時間帯を切り替えることができる二時間帯リピーター
各要素も前例が少なく珍しい機構ですが、組み合わせとしてはおそらく世界初ではないかと思われます。
機構的な点で気になっていたのは下記の点です。
  1. 時間帯の切り替えはどうやって行っているのか?
  2. プッシュ起動のリピーターの方式について
1についてはイタリアから来日した技術者の方からお話を伺い、CAD図や詳細な説明はまだできないが、”クロノグラフの垂直クラッチのような機構”というヒントをいただきました。



恐らく、時間を示すスネイルカムが2つあり、それを高さで切り替えているのを”垂直クラッチのような”と表現しているのではないか…と推測しました。



切り替えはリュウズ同軸のプッシュボタンで行い、9時位置のスモールセコンドの下にあるインジケーターでホームタイムとローカルタイムどちらが鳴るかを知らせます。



安全機構として、リュウズが特定のポジションに無いとプッシュボタンが押せないようになっており、リュウズの黒い印が表に見えている時だけ押すことができます。

押した感触と音としてはカムかコラムホイールを押しているような感触でした。
手巻きなので、巻き終わったときにインジケータを見えないようにするよう習慣づけておけば、誤動作することはないと思われます。



2について、”プッシュボタン”ということでソヌリベースのリュウズから巻き上げる別香箱で起動タイミングだけボタンで与えるタイプなのかと思っていました。
しかし、技術者の方と話した結果、通常のリピーターと同じスライダで起動時に巻き上げるタイプをショートストロークにしてプッシュボタンで巻き上げるようにしたタイプだとわかりました。

3音を最大5回鳴らさなければ行けないカリヨンとデシマルリピーターのため要求トルクが多いのか、リピーター用の香箱は2つ搭載されており、計時用の香箱2個と併せて”4個の香箱”と評されていました。
このデシマル・カリヨンに関しては、パネライ社内の独自開発だそうです。
スライダと違い開口部が開かないため、3気圧の防水性能も確保されています。

リピーターの音は、船鐘をイメージしているそうで、2時間帯機能と併せ、船旅で使ってみたいと思わせる作品です。
ベースとなっているムーブメントはパネライの高速30秒トゥールビヨンで、スケルトナイズされ各要素を眺めることができます。



関連 Web Site

オフィチーネ パネライ
http://www.panerai.com/ja/home.html