オーデマ ピゲ - 「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」について

 By : KIH
SIHHでの衝撃の発表から約2週間。
日本はともかく、世界でも賛否両論の嵐である。まずは、海外の反応としてネガティブな意見を拾ってみよう。

・ 丸い時計はオーデマ ピゲらしくない。
・ ケースが良くできてると言っても、どうしてあんなに分厚くないといけないんだ?
・ ダイヤルのデザインが今一つ。もっと、「らしい」デザインがよかった。
・ デザインも中身も中途半端。

などなど、枚挙にいとまがない。



しかし、筆者は速報でも触れたように、このチャレンジは大きな意味があり、結果はよくできている、と思っている。特にクロノグラフのプッシャー感覚は素晴らしいし、3ピース構造のケースの真ん中の八角形は「らしさ」が出ていると思う。それをロイヤルオークへの郷愁ととらえる人もいるだろう。それはそれでもちろん構わないが、多少の流れを残すことはいいことだと思うし、それ以上の工夫がなされている。

ダイヤルデザインも、見やすくスポーティーなフォントのインデックスであるし、防水性能こそ劣るものの、貴金属ケースでクロノグラフであのお値段はお買い得とさえ思う。



しかし、多くの人が「しっくりこない」と感じるのもまた当然である。今まで、オーデマ ピゲと言えば、ロイヤルオーク、あるいはオフショアだったからだ。時は流れる。時計の世界だからではないが、常に新しいことに挑戦しなければモノづくりビジネスの「死」はゆっくりと訪れる。オーデマ ピゲは遅かれ早かれ勇気ある挑戦をしなければならなかったのだ。現在の成功にあぐらをかき続けるという選択肢もあったはずだ。しかし、現在の経営陣は挑戦することを選んだ。そういうタイミングだと思わせるものがあったのだろう。

筆者はこの新しい挑戦についてこう思う。というか、ネガティブに反応している人たちにこう言いたい。まずは、じっくりと実機を見て触って腕に乗せてほしい。時間をかけて角度を変えて触りまくってよーく見てほしい。



時計の新作と言うのは、瞬時に判断しなければいけないことではないのである。ロイヤルオークだって、発売当初1日目から売り切れ御免、という状態ではなかったのだ。オーデマ ピゲのアイコニックピースになるまで長い時間がかかっているのだ。だから、悪いことは言わない。時間をかけて判断してほしい、と思う。

筆者はいい時計だと思う。ケースもよくできてる。中身もよくできてる。分厚いかも知れないが、それは許せる範囲。ガラスを通したダイヤルの見え方の変化が面白い。よくできている時計である。私だって今判断できているわけではないが、「慎重にポジティブ」という状態である。




アイコニックピースのステータスになるには時間がかかるものである。
最終判断はもうちょっと先にすべきであろう。余裕があるブランド、という証拠であるし、「独立資本」という強みもある。
期待しつつ実機を是非また見たいと思う。