Rudis Sylva RS16 & RS10
By : CC Fan師走も佳境に休日出勤中でしたが、NXONE様にルディ・シルヴァ(Rudis Sylva)の新作のサンプルが到着していると報を受け、抜け出して拝見してきました。
ルディ・シルヴァは複雑時計の故郷として名高いジュウ渓谷(Valle de Joux)のレ・ボワ(Les bois)に設立されたブランドで、ジュウ渓谷の各種専門職人と小規模工房の力を合わせ、作品を作り出しています。
手仕事による仕上げに拘りながら失われつつある技術を継承し、エナメル装飾やギロッシェ、面取り仕上げなどは伝統的な方法で仕上げられているそうです。
ルディ・シルヴァという名前は、14世紀にジュウ渓谷を開墾した伝説の人物、ジャン=ルディン(Jean Ruedin)とラテン語のSylva(森)を合わせた名前だそうで、開墾した丘にあったモミの木をブランドのアイコンにしています。
複雑機構として見ると、姿勢差を打ち消すために"調和"するハーモニアス・オシレーター(HARMONIOUS OSCILLATOR)という機構を特徴としています。

HARMONIOUS OSCILLATOR (Rudis Sylva資料より引用)
私も完全に理解できているわけではないですが、公式サイトの解説資料から仕組みを探ります。
まず、姿勢差を打ち消す機構としてトゥールビヨンから考えます。
テンプに使用されるヒゲゼンマイはかかる重力の方向によって、日差がプラスになる方向とマイナスになる方向があります。

トゥールビヨンの時間[s]-日差[s/day]のグラフ (Rudis Sylva資料より引用)
トゥールビヨンはキャリッジを回転させることで、重力がどの方向にも均等にかかるようにし、トータルで日差がゼロになるように打ち消します。
(グラフのプラス領域の面積とマイナス領域の面積が等しければ誤差は打ち消される)
これに対し、ハーモニアス・オシレーターは2つのテンプをに対してヒゲゼンマイにかかる重力が180度反対になるように配置しています。

ハーモニアス・オシレーターの時間[s]-日差[s/day]のグラフ (Rudis Sylva資料より引用)
180度反転した配置によって、重力が逆方向にかかるので日差は逆方向に発生し、黄色(Balancier-spiral no1)と紫(Balancier-spiral no2)の線で表される軌跡を描きます、その平均(Moyenee des 2 balanciers)を取ると、ちょうど打ち消しあって常に0になります。
トゥールビヨンが60秒間の蓄積(面積)で誤差を打ち消すのに対し、ハーモニアス・オシレーターは瞬間(瞬時値)ごとに打ち消すというわけです。
もちろんこれは基本理論であり、実際にはもっと複雑だとは思いますが、理屈としては納得できます。
これが"調和"と言う事のようです。
180度回転させて配置されたテンプのテンワには直歯の歯が切られ、直接噛み合うことで力の伝達と2つのテンプの平均化を行っています。
以前も書いたように、個人的にはよく行われているディファレンシャルギアによる平均化の効果には懐疑的ですが、直接嚙合わせるというのはまたずいぶんと思い切った設計です。
信頼性と耐久性に関しては2009年に登場し、今まで充分にテストされているので問題ないとのことでした。
アンクルが駆動するのは片方のテンワのみで、もう片方は完全に自由振動しているそうです。
眺めて気が付いた副次的なメリットとして、キャリッジのセンターにテンワの軸を備えたトゥールビヨンの場合、アンクルがかなり無理な設計になりますが、ハーモニアス・オシレーターではテンワの軸が中心からずれるため、設計が素直になっているように見えます。
原理だけ聞くと、別にキャリッジが回転する必要はないとも思えますが、念には念を入れているのかもしれません。
さて、実機です。


RS16 RG(左) RS10 WG(右)
RS16の方が新作で、ムーブメントの基本設計は同じですが、各部が洗練され、現代的な意匠になっています。
これは、新しくブランドに加わったEric Giroud氏というデザイナーによって、重厚だった既存のデザインをそぎ落とした結果だそうです。
個人的にはカンタロスのようなベゼルが太いデザインが好きなのでRS10も好きですが、内部のデザインに関してはRS16の方が洗練されていると感じました。



RS16 RG
私の写真のせいで分かり辛いですが、RS16の風防はドーム状に盛り上がったサファイヤクリスタルを使っています。
これにより必要な高さをドームで稼ぐことができ、ケースを薄くしています。
リング状の文字盤はエナメル(グランフー)で、特徴的な針はブランドのアイコンであるモミの木をモチーフにしています。

RS10 WG
RS10は風防が平らなサファイヤクリスタルなため、RS14に比べるとケースが厚く、重厚な感じです。
どちらのモデルもムーブメント地板に手作業で彫られたギロッシェは極めてシャープで光をキラキラと反射します。

RS16 RG ムーブメント側
機構の大部分を文字盤側に可視化した手巻き時計のため、ケースバック側はシンプルです。
下側に描かれているのはレ・ボワに昔から伝わる日時計をモチーフにした模様で、グランフーエナメルで描かれています。

RS10 ケースバック
保護シールが貼られていますが、RS10のケースバック側です。
見ての通り、ソリッドバックでRS16ではムーブメントに描かれていた日時計の模様がケースにエナメルで描かれています。
風防形状の違いとグラスバックとソリッドバックの違いにより、両方とも同じ18金ケースを使っているとは思えないほど持ち上げたときに感じる重さに差があります。
また、スポーティーなブラック&レッドのカラーを纏ったチタンモデルもあると言う事で、非常に選択肢は広がっています。
チタン好きとしてはかなり気になります…
NXONE様、非常に貴重なピースを拝見させていただきありがとうございました。

P.S.
ちなみにRS16のサンプル機はSIHHが始まるぐらいまでは日本に居るそうです。
ご興味があれば是非。
関連 Web Site
ルディ・シルヴァは複雑時計の故郷として名高いジュウ渓谷(Valle de Joux)のレ・ボワ(Les bois)に設立されたブランドで、ジュウ渓谷の各種専門職人と小規模工房の力を合わせ、作品を作り出しています。
手仕事による仕上げに拘りながら失われつつある技術を継承し、エナメル装飾やギロッシェ、面取り仕上げなどは伝統的な方法で仕上げられているそうです。
ルディ・シルヴァという名前は、14世紀にジュウ渓谷を開墾した伝説の人物、ジャン=ルディン(Jean Ruedin)とラテン語のSylva(森)を合わせた名前だそうで、開墾した丘にあったモミの木をブランドのアイコンにしています。
複雑機構として見ると、姿勢差を打ち消すために"調和"するハーモニアス・オシレーター(HARMONIOUS OSCILLATOR)という機構を特徴としています。

HARMONIOUS OSCILLATOR (Rudis Sylva資料より引用)
私も完全に理解できているわけではないですが、公式サイトの解説資料から仕組みを探ります。
まず、姿勢差を打ち消す機構としてトゥールビヨンから考えます。
テンプに使用されるヒゲゼンマイはかかる重力の方向によって、日差がプラスになる方向とマイナスになる方向があります。

トゥールビヨンの時間[s]-日差[s/day]のグラフ (Rudis Sylva資料より引用)
トゥールビヨンはキャリッジを回転させることで、重力がどの方向にも均等にかかるようにし、トータルで日差がゼロになるように打ち消します。
(グラフのプラス領域の面積とマイナス領域の面積が等しければ誤差は打ち消される)
これに対し、ハーモニアス・オシレーターは2つのテンプをに対してヒゲゼンマイにかかる重力が180度反対になるように配置しています。

ハーモニアス・オシレーターの時間[s]-日差[s/day]のグラフ (Rudis Sylva資料より引用)
180度反転した配置によって、重力が逆方向にかかるので日差は逆方向に発生し、黄色(Balancier-spiral no1)と紫(Balancier-spiral no2)の線で表される軌跡を描きます、その平均(Moyenee des 2 balanciers)を取ると、ちょうど打ち消しあって常に0になります。
トゥールビヨンが60秒間の蓄積(面積)で誤差を打ち消すのに対し、ハーモニアス・オシレーターは瞬間(瞬時値)ごとに打ち消すというわけです。
もちろんこれは基本理論であり、実際にはもっと複雑だとは思いますが、理屈としては納得できます。
これが"調和"と言う事のようです。
180度回転させて配置されたテンプのテンワには直歯の歯が切られ、直接噛み合うことで力の伝達と2つのテンプの平均化を行っています。
以前も書いたように、個人的にはよく行われているディファレンシャルギアによる平均化の効果には懐疑的ですが、直接嚙合わせるというのはまたずいぶんと思い切った設計です。
信頼性と耐久性に関しては2009年に登場し、今まで充分にテストされているので問題ないとのことでした。
アンクルが駆動するのは片方のテンワのみで、もう片方は完全に自由振動しているそうです。
眺めて気が付いた副次的なメリットとして、キャリッジのセンターにテンワの軸を備えたトゥールビヨンの場合、アンクルがかなり無理な設計になりますが、ハーモニアス・オシレーターではテンワの軸が中心からずれるため、設計が素直になっているように見えます。
原理だけ聞くと、別にキャリッジが回転する必要はないとも思えますが、念には念を入れているのかもしれません。
さて、実機です。


RS16 RG(左) RS10 WG(右)
RS16の方が新作で、ムーブメントの基本設計は同じですが、各部が洗練され、現代的な意匠になっています。
これは、新しくブランドに加わったEric Giroud氏というデザイナーによって、重厚だった既存のデザインをそぎ落とした結果だそうです。
個人的にはカンタロスのようなベゼルが太いデザインが好きなのでRS10も好きですが、内部のデザインに関してはRS16の方が洗練されていると感じました。



RS16 RG
私の写真のせいで分かり辛いですが、RS16の風防はドーム状に盛り上がったサファイヤクリスタルを使っています。
これにより必要な高さをドームで稼ぐことができ、ケースを薄くしています。
リング状の文字盤はエナメル(グランフー)で、特徴的な針はブランドのアイコンであるモミの木をモチーフにしています。

RS10 WG
RS10は風防が平らなサファイヤクリスタルなため、RS14に比べるとケースが厚く、重厚な感じです。
どちらのモデルもムーブメント地板に手作業で彫られたギロッシェは極めてシャープで光をキラキラと反射します。

RS16 RG ムーブメント側
機構の大部分を文字盤側に可視化した手巻き時計のため、ケースバック側はシンプルです。
下側に描かれているのはレ・ボワに昔から伝わる日時計をモチーフにした模様で、グランフーエナメルで描かれています。

RS10 ケースバック
保護シールが貼られていますが、RS10のケースバック側です。
見ての通り、ソリッドバックでRS16ではムーブメントに描かれていた日時計の模様がケースにエナメルで描かれています。
風防形状の違いとグラスバックとソリッドバックの違いにより、両方とも同じ18金ケースを使っているとは思えないほど持ち上げたときに感じる重さに差があります。
また、スポーティーなブラック&レッドのカラーを纏ったチタンモデルもあると言う事で、非常に選択肢は広がっています。
チタン好きとしてはかなり気になります…
NXONE様、非常に貴重なピースを拝見させていただきありがとうございました。

P.S.
ちなみにRS16のサンプル機はSIHHが始まるぐらいまでは日本に居るそうです。
ご興味があれば是非。
関連 Web Site
BRANDS :










COMMENTS
コメントを投稿する
※ 匿名(ニックネーム可)での投稿も可能となっております。