学校法人水野学園2020年度卒業制作展

 By : CC Fan

先日(3月5日-7日)、行われた学校法人水野学園2020年卒業制作展、ヒコ・みづのジュエリーカレッジウォッチメーカー研究生の方々の作品も展示されました。
最終日にお伺いしたのでレポートします。

全ての作品についてお話を伺うことは残念ながらできなかったので、公式ページもあわせてご覧いただけると幸いです。

2019年のウォルター・ランゲ・ウォッチメイキング・エクセレンス・アワードで最優秀賞を獲得した篠原那由他氏はシンプルなリストウォッチを作成。
自分で使うための時計を作りたかったそうで、高精度を狙った大きなテンワと2つの香箱を利用した2つのムーブメントを作り出しました。



2時位置のプッシャーで秒針をリセットできるフライバック機能を備えたリストウォッチ。
ローマ字表記の名前と極めて大きな数の単位「那由他」を表す10^60(10の60乗)を文字盤に記しています。

シンプルで毎日使えるようなデザインだと感じました。



ムーブメントはシャトンを用いています。



もう一つはよりシンプルな二針時計。
こちらも同様に10^60が記されています。



ちょっと斜め…
シンメトリーなレイアウトと両持ちテンワブリッジです。

今回、テンワのテンリンや天真も自ら作成、元々5振動用のヒゲゼンマイをバイブレーティングツールを用いて8振動に合わせこんだそうです。



合わせこみの様子は公式の動画で…


その隣には清水虎太郎氏、「対照的」な世界観を持つ二つの作品を展示していました。



和風と洋風、直線と曲線、角と円、リストウォッチとポケットウォッチ…様々な要素が対照的です。
作品自体の完成度と共に、本人のプレゼンテーションも聞きやすく、非常に上手だと感じました。



日の出と日の入りを基準にした日本古来の不定時法を表示する、自動割駒式和時計の機構を理解し、更に発展と小型化することを目指した作品。
文字盤の十二支の表示のうち8時位置の「寅」は自身の名前の「虎」に変更し、赤く染められています。



動画で見ると日の出・日の入りの時刻に合わせ、駒が動く様子が分かりやすいです。



1年で1周するカムが割駒をコントロールする原理をベースに、構造を最適化、ケースバック側の二十四節気の表示もセンターから針が伸びて裏面全体を使って表示します。
表面の十二支と裏面の二十四節気の彫金も自ら行い、このベルトも自分で制作したそうです。

説明中にで「クレヨン」とか出てくるとつい笑顔に…



もう一つは青いバラを模したオートマタを備えた懐中時計。
バラはパワーリザーブインジケーターの機能で、巻き上げることで花が開き、解けていくと閉じていく仕組み。
針も彫金してから切り出した飾り針です。



青いバラを捉えるのは難しい…



ムーブメントの表情もリストウォッチと対照的です。

どの作品も素晴らしく、今後に期待です。
ありがとうございました!