パルミジャーニ・フルリエ「トンダPF GMT ラトラパンテ」~WATCHES&WANDERS 2022新作からの私的注目作その➂

 By : KITAMURA(a-ls)

今年のWATCHES&WANDERSで発表された作品中、特に気になった作品を後でフィーチャーしようと、未紹介のままのモデルがいくつかある。
それらを、「WATCHES&WANDERS 2022新作からの私的注目作」として順次取り上げていくつもりが、その①としてヴァシュロン・コンスタンタンの「レ・キャビノティエ・ミニット・リピーター・トゥールビヨン・スプリットセコンド・モノプッシャー・クロノグラフ」を書いてから約1か月経過した今まだ、その②の「グランド・ランゲ1」までしか至っておらず…好ましい作品なのにかえって紹介が遅れてしまっていることが本当に申し訳なく、その悔悛の意を込めて、いろんな意味で非常に美しい作品、パルミジャーニ・フルリエの「トンダ PF GMT ラトラパンテ」を紹介させていただきたい。


だがその前に、ちょっと長くなってしまうかもしれないが、パルミジャーニ・フルリエに対して、「トンダGT」「トンダPF」が果たした意義について触れておきたい。

かつて2019年頃のブログで、パルミジャーニ・フルリエのコレクションについてこう書いたことがある。
『わかる人にはわかる、逆に言えば、わかる人にしか伝わりにくい。。。素晴らしいが難しい時計。そんなイメージもあるが、本当に緻密&丁寧に作り込まれた時計なので、機会があったら是非手に取って見ていただきたい』、と。
しかし2022年の今、そのイメージは根本から覆っている。
その立役者となったのが、2020年発表の「トンダGT」と、2021年のブランド設立25周年作品「トンダPF」である。


●昨年発表された「トンダPF」

「トンダGT」以前、"神の手を持つ修復師"と呼ばれるブランドの祖、ミシェル・パルミジャーニが創り出してきたモデルは、ある意味で、マニアックにしてニッチな世界の創造物だった。
修復過程で習得した先人の技巧を現代の腕時計に搭載したり、人間工学よりも自然科学からの組み合わせやデザインを重んじたそれらは、古典と現代の架け橋であり、自然主義にして哲学的でさえあり、押し出しの強いラグジュアリー・ウォッチやスポーツ・ウォッチとはおよそ反対の位置にあった。

特にブランドが創業時への原点回帰として、ミシェルが初めてデザインした「トリック」を復刻するなど、精力的に作品を発表した2016~2017年はミシェル・ワールドのピークだった。
この2年の間に、「トリック・クロノメーター」、ミニッツ・リピーターの「トリック クアエストル(TORIC QUAESTOR)」、18世紀の技巧を組み込んだ針が伸縮する「オーバル パントグラフ」、同じく楕円形の「オーバル トゥールビヨン」、GMTとデイトを組み合わせた渾身のコンプリケーション「トリック エミスフェール レトログラード」、地板にクロノグラフ輪列を一体化したコンプリケーション「トンダ クロノール アニヴェルセール」、ムーンフェイズの「トンダ メトロポリタン セレーヌ ギャラクシー」、その他にも「トンダ・メトログラフ」「トンダ1950 ステンレススティール」「ブガッティ エアロライト」「ブガッティ タイプ390」など、この規模のブランドとしてはあり得ないほど多彩な新作が発表された。

ブランドのパトロンは製薬業の巨大企業ノバルティスの中核を担ったサンド家の財団(サンド・ファミリー財団)で、修復師としての出会いから数えると40年以上の関係がある。1996年のブランドの設立を後援しただけでなく、パルミジャーニ・フルリエが独立性を保てるよう、時計製造に関わる様々なアウトソーシング会社を設立もしくは買収してグループ化もしてくれた。知られるところでは、高品質のムーブやパーツ供給で知られるヴォ―シェ・マニファクチュール・フルリエや、文字盤製作のカドラン&アビヤーシェなどがグループの姉妹会社にあたる。その結果、時計製作過程の95%以上を自社で賄えるほどのマニュファクチュール・グループが形成されている。

しかし、いかに無限な財力を保有するサンド財団といえども、2016~17年の新作ラッシュとその結果に対しての引き締めが行われたようで、翌2018年のSIHH新作はレクタンギュラーの「カルパ」のみに留まった。
さらに目に見えないところ、つまり組織的にも変革が加えられた。2018年に外部からCEO、ダビデ・トラクスラーを招聘したのである。ブルガリ、ショパールを経て2015年コルムCEOに就任するや、わずか2年で売上高を40%も伸ばしたという実績を持つ彼は、18年3月にまずパルミジャーニ・フルリエのCCO(チーフ・コマーシャル・オフィサー)となり、同年7月にCEOに昇格した。
そして、これまでのパルミジャーニ・フルリエにはなかったスタイルの時計製作に着手した。
ミシェルを頂点に戴いていたインハウスの製作工程に社外デザイナーを送り込み、コンペ形式を採った。
外部から呼ばれたデザイナーはディノ・モドーロだった。彼はヴァシュロン・コンスタンタンの初代オーヴァーシーズのデザインやコルムのゴールデンブリッジの改革にも携わったデザイナーである。この人選の段階で新CEOがどのような時計を作ろうとしていたかは明白だ。すなわち、ブレス・タイプのスポーツ・ウォッチである。

そこから2年の歳月をかけ、2020年に「トンダGT」と「トンダグラフGT」が誕生することになるのだが、外部デザイナーのディノとミシェルがいかに互いを認め合ったかは、このモデルのケース形状が、あの発売ラッシュの年――2017年のジュネーブ・ウォッチ・グランプリのクロノグラフ部門賞を受賞した「トンダ クロノール アニヴェルセル」を継承した点に現れている。


●2017年のChronograph Watch Prize受賞。パルミジャーニ・フルリエの20周年記念モデルでもあった「Tonda Chronor Anniversaire」

つまり、ミシェルのオリジン&メンツである黄金比をデザインの基本として折り合いを付け、トリックと同じ刻みの入ったベゼルを採用しつつ、スポーティーなブレスモデルとして再編集されたモデルが「トンダGT」なのだ。


●「トンダGT」

実はこの「トンダGT」のケースの原型となった「トンダ クロノール アニヴェルセル」の造形には、「トンダ メトログラフ」という2014年の先行モデルが影響しているので、見方によっては、ミシェルの感性が実は5~6年早すぎたとも言える。
さらに言えば、2019年には、(今にして思えば「トンダGT」の先駆けという意味もあったのだろう)新デザインの「トンダ メトログラフ」を5月に、そしてその5か月後の10月には「トンダ クロノール 」が25本の限定で発売されている。


●2019年に発売された「トンダ メトログラフ」新デザイン(左)と限定25本の「トンダ クロノ―ル」(右)


トンダGTの登場
年が変わって2020年7月。"エレガントなスタイルと高い性能を追求したデイリーユース・ウォッチ"というキャッチコピーの元、ついに「トンダ」のデザインコードを再解釈した100m防水のスポーツ・モデル「トンダGT」がそのベールを脱ぐ。
ラグをアップデートし、人間工学に基づいて設計されたブレスレットおよびラバーストラップを備えたスタイルがパルミジャーニ・フルリエには無かったモダンな斬新さを醸す一方で、切り込まれたベゼル溝やダイヤルに刻まれたクル・トリアンギュレール モチーフのギョーシェ装飾などには、社内マニュファクチュールやグループの職人達の高度な技術が共存している。
パルミジャーニ・フルリエのこだわりDNAのひとつでありながらも、好みがわかれる象徴的な存在でもあったスケルトンのデルタ型の針も、文字盤のギョーシェとスポーツ・モデルの押し出しのあるデザインの中では違和感なくマッチした。


●20年10月の上海W&Wで発表された「トンダグラフGT」。名称は後に「トンダGT」に統一される。

ブランドとしては大変に革新的なこれらの新しいトンダ・モデルの登場に対し、昔からのファンはすぐに反応できなかったようだった。しかしここに、計算されていたのか偶然だったのか、パルミジャーニ・フルリエにとって新しい現象が起きる。ちょうどこの少し前の頃から、いわゆるラグ・スポ市場が異常過熱をはじめていて、売り物が店頭から消えてしまったり、購入には事前予約が必須になったりして、二次マーケットの価格が定価を上回るような事態が始まっていた。
そのとき、それまでパルミジャーニ・フルリエというブランド名も知らなかったような新しい層に属するチャレンジングな一部の人々が、買いづらくなったモデルに代わる次なるブランド・ハントの過程で、「トンダGT」を"発見"したのだ。

かつて我々は、修復におけるミシェル・パルミジャーニの数々の伝説的な業績を常識としたうえで、その"神の手"による作品を見てきた。しかし新しい層は、『実はこの時計は"神の手を持つ"といわれる時計師が作った』という魅力的な物語を、時計を手にした瞬間に初耳として聞くのだ。自分の目利きぶりを誇らしく彩るそれらのストーリーは購入のモチベーションを高めるだろう。しかも初回モデルが限定だったことも幸いし、『急がなければ』という所有意識にも訴えた。そうした画像や物語はSNSや口コミなどを通じて徐々に拡散した。

そして翌21年6月、満を持してバイカラーモデルの「トンダグラフ GT」が、10月に「トンダ GT ステンレススティール/シルバーブラック」が非限定の定番モデルして発売されるとニーズは一気に拡大する。

●バイカラーモデルの「トンダグラフ GT」


さらに2021年9月、パルミジャーニ・フルリエ創業25周年記念モデルとして「トンダPF」が発表される。マイクロロータを搭載し薄型化を達成したうえに、余分な装飾をそぎ落とし必要最低限の要件だけを備えたスポーツ・モデルは、意識の高いライフスタイルとして若者層が知るミニマリスティックの先進性とも合致し、パルミジャーニ・フルリエの人気をさらに爆発させるのである。



同時に発表されたケース径は42㎜の「トンダ PF クロノグラフ」も、ラグジュアリーでスポーティながらも無駄を一切省いており、独特な雰囲気を纏っていた。マイクロロータではないが、このタイプの時計としてはかなり薄い14.2㎜というケース厚で提供された。魅力的な価格帯であったこともあり、若い愛好家たちの間に一気に浸透する。



成功には、緻密に練りあげられた計画に基づくものと、ささやかな偶然から爆発的に誕生するものとがある。
新しいトンダの成功の物語はそのどちらに基づくのだろう。サンド財団の緻密なマーケティングによって実はあらかじめ描かれていた"絵"だったのか、それとも、考え得る最適な時期の巡り合わせに本当に偶然にぶち当たったのか、その判定をやや困難にしたのが、成功の重要な立役者であるダビデ・トラクスラーCEOが「トンダPF」発売前の2021年初頭に突然離職しているという事実だ。氏は2020年末まで世界各国で精力的なプロモートを行っていたので、この離職が既定路線とは考えにくいが、現在は元ブルガリのグイド・テレーニがCEOを務めている。

グイド・テレーニは、今年のWATCHES&WANDERS新作について、次のように語っている。
『私たちは今、ウォッチメイキングの新しい時代を生きていると感じています。純粋な時計愛好家たちは、1970年代に感じたような、創造性と面白いイノベーションを求めています。「トンダGT」の登場はオーディエンスを拡大し、既存のコレクションもモダンなテイストに活性化されました。非常に困難だった時期にブランドに勢いを与え、潜在顧客だった新しい多くの人々にパルミジャーニ・フルリエの世界に触れる機会を提供しました。そして「トンダPF」は、発売からわずか数カ月で私たちの期待を上回り、謙虚なオートオルロジュリーとして確固たる地位を築きつつあります。2022年、私たちはこの生まれたばかりのコレクションを、コアバリューを尊重しつつ、規律と配慮をもって育てていくことを楽しみにしています。世界初の機構によってGMTウォッチの限界に挑戦し、スケルトンやトゥールビヨンにパルミジャーニ・フルリエのピュアなスタイルを反映させるなど、少数だけれど重要な新作を通して、時計愛好家の喜びを充実させることを目指します。』
グイド・テレーニ(パルミジャーニ・フルリエCEO)

美しすぎるくらい綺麗に嵌ったサクセスストーリーではあるが、振り返ってみれば、40年間ほぼブレることのなかった時計師としてのミシェル・パルミジャーニの天才的で頑固な姿勢がベースとなっていることは間違いない。
おっと、すっかり前書きが伸びてしまった。申し訳ない。
さて、主役の「トンダPF GMT ラトラパンテ」であるが、ミニマルでシンプルでピュアな「トンダPF」の本質はさらに推し進められ、装飾やデイト窓までを完全にそぎ落としたデザインも見事だし、それに同期するかのようにGMTとしての機能も可能なまでに簡素化し、ありそうでなかった実に使いやすい仕組みを作り上げた点も見事だ。私的意見はここまで(まだまだ書きたいことはわんさかあるのだが)、以下に公式資料をまとめておく。





トンダPF GMT ラトラパンテ~世界初の機構

2021年9月に発表されたトンダ PFコレクションは、純粋なウォッチメイキングの概念を書き換えました。2022年のウォッチ&ワンダーズでは、世界初のコンプリケーションを搭載したタイムピース『トンダ PF GMT ラトラパンテ』を発表し、コレクションをさらに充実させます。ミニマリスティックなコレクションの特徴をそのままに、革新的でありながらもシンプルな操作で使いやすい機構を備え、華美でないスタイルを保っています。


このコンプリケーションは、ロジウムめっきゴールドの針とローズゴールドの針を重ね合わせた、二本の時針を持っています。8時位置のプッシュボタンを押すと、ロジウムめっきゴールドのローカルタイム針が一時間進むことで、下に隠れているローズゴールドのホームタイム針が現れます。

第二時間帯の情報が不要になったら、リューズと一体化したローズゴールドのプッシュボタンを押すと、スプリットセコンドクロノグラフ針のように、ロジウムめっきの針がローズゴールドの針の上移動します。このように、非常に使いやすい複雑機構でありながら、メゾンの精神を細部にまで受け継いでいます。『トンダ PF GMT ラトラパンテ』は、世界を駆けるグローブトロッターのための時計であり、居場所を問わず愛好家のコミュニティをつなぐ道具でもあるのです。



直感的な視認を可能にするダイヤルデザイン
このフライバック機能は、高度なメカニズムの統合によって実現された、他に類を見ない機能です。
複雑機構を感覚的に操作することで、不必要な時刻表示からダイヤルを解放することができます。必要な情報のみを表示することで、直感的な読み取りを可能にし、ディテールのひとつひとつに込められた品質とこだわりを顕著にします。
ダイヤルがシンプルになることで、「ミラノブルー」のほのかな色調の、バーリーコーンギョーシェのダイヤルに視線が注がれます。サンドブラスト仕上げのミニッツトラックが囲むギョーシェには、光の角度によって、視線を中心から縁へと引き寄せる視覚効果があります。この光の効果は、ローレット加工が施されたプラチナ製シングルピースベゼルの光沢のある面とマットな面の相互作用を際立たせます。



「時計づくりには、美しさと技巧の間に永遠の隔たりがあり、まるでふたつの別世界が無理やり共存しているかのようです。それは、時計のデザインを構成する部品を表す言葉にも表れています。時計の外装部品を総称してフランス語で「habillage(アビヤージュ)」と呼びますが、これは「ムーブメントを装飾するもの」を意味します。私は、複雑機構をどのように開発するかというのは、時計の持つ雰囲気、ひいてはそのデザインに大きな影響を与えるものだと思っています。世界初となる『トンダ PF GMT ラトラパンテ』は、ウォッチメイキングの限界を押し広げ、もっとも必要で便利な機能のひとつを再発明し、妥協のない技術を選択することで、パルミジャーニ・フルリエの奥ゆかしく主張しすぎない精神を体現しています。」
グイド・テレーニ(パルミジャーニ・フルリエCEO)



シンプルなフォルムの美しさ
生地のドレープによって生まれるひだを、テイラーが丁寧に仕上げるように、時計づくりにおけるサルトリアルなアプローチによって、『トンダ PF GMT ラトラパンテ』のシルエットに独特の構造を与えています。
このコレクションの構造的な美しさを象徴する力強いラインは、ステンレススティール製ミドルケースのラグのエッジから始まり、ブレスレットのサイドリンクの中央まで、気づかないほどに少しずつ変化しながら延びています。
時計に印された「秘密の刻印」となるさりげないディテールは、造形のシンプルさを際立たせます。身につける人の美意識と完全に調和するように設計されているのです。


【仕様]
トンダ PF GMT ラトラパンテ
PFC905-1020001-100182
3,289,000円(税込)

[キャリバー]
PF051 ‒自社製自動巻きムーブメント
スプリットGMT、ローズゴールドマイクロローター
パワーリザーブ】48時間
振動数:21,600振動/時(3Hz)
機能:時、分、スプリットGMT
石数:31
部品数:207
直径:30 mm
厚さ:4.9 mm
装飾:コート・ドージュネーブ、ペルラージュ
ローター:22Kローズゴールド製マイクロローター、バーリーコーン(麦の穂)パターンのギョーシェ

[ケース]
ポリッシュ/サテン仕上げのステンレススティール
プラチナ950製ローレット加工ベゼル
直径:40 mm
厚さ:10.7 mm
リューズ:Ø 5.5 mm
18Kローズゴールド製「バックホーム」プッシャー
ガラス:ARunic 反射防止加工のサファイアクリスタル
ケースバック:サファイアクリスタル
ケースバックの刻印:シリアルナンバー、“PARMIGIANI FLEURIER”
防水:60 m

[ダイヤル]
カラー:ミラノブルー
仕上げ: バーリーコーンのギョーシェ
インデックス:ハンドアプライド 、ロジウムめっき18Kゴールド

[針]
ローカルタイム時分針:ロジウムめっき18Kゴールド、デルタ型スケルトン
ホームタイム時針:18Kローズゴールド、デルタ型スケルトン

[ブレスレット]
素材: ポリッシュ/サテン仕上げのステンレススティール
バックル:フォールディングクラスプ、ステンレススティール



パルミジャーニ・フルリエ~本質の追求の先に

2022年パルミジャーニ・フルリエは、世界初の『トンダ PF GMT ラトラパンテ』を発表いたします。シンプルで純然たる、複雑時計機構。パルミジャーニ・フルリエは、純粋な時計づくりと新しさを追求する中で、ウォッチメイキングの伝統を書き換えています。その姿勢は『トンダ PF GMT ラトラパンテ』に反映されており、内に秘めた複雑さと使いやすさを兼ね備えた、世界初の機構を積んだ時計が誕生しました。



知的なデザイン、ボリュームとプロポーション、極限まで突き詰めたディテール、そして独自性と先進性を尊重するために、派手さを排除するメゾンの精神を、この新しいモデルは体現しています。
時計愛好家に寄り添うサルトリアルな手法を採っていて、確立されたウォッチメイキングの文化に新しいアプローチを取り入れた象徴的な時計。2003年以来、メゾンの歴史に刻まれてきた数々のワールドプレミアの道に続く作品です。

共通する特徴は、ローレット加工のベゼル。ケースから延びるしずく型のラグ、バーリーコーン(麦の穂)パターンのギョーシェが飾るすっきりとしたダイヤルなどの、控えめながら力強いビジュアルとアイデンティティを持ち、コレクションのスタイルとアイコンの一貫性を保っています。



華美にならない独自のクリエイティビティは、昨年発表された『トンダ PF』が示す通り、本質を追求するという方向性で一貫しています。丁寧に仕上げられたブレスレットとケースの一体感、黄金比から描かれるデザインの力強さ、そしてミニマリズムなダイヤルに感じるサブダイヤルの存在感。ゆたかな視覚的ディテールは、ウォッチメイキングのあらゆる面において美しさを意識しています。


メインストリームとは別方向へ
新しいコレクションには、パルミジャーニ・フルリエ独自の語彙が詰まっています。表情の違う新作すべてを同じ言語で貫くことができるのは、ハイウォッチメイキングのノウハウのすべてを習得できる垂直統合型の産業構造に起因しています。パルミジャーニ・フルリエの言語とは、希少性があり、意味があり、形式的にも内容的にも豊かな文化的付加価値を持つもの。並外れた仕事に価値を見出す人たち、主流ではなく格別なものを求める愛好家たちのためにつくられるタイムピースです。


【お問い合わせ】
パルミジャーニ・フルリエ
03-5413-5745




[パルミジャーニ・フルリエ]

時計師であり修復師である創業者ミシェル・パルミジャーニの名を冠した時計メゾンは、1996 年にスイス、ヴァル・ド・トラヴェールのフルリエに誕生しました。時計製造に関わるすべての会社をグループ内に保有し、95%以上を自社で製作するマニュファクチュールです。そのため、製造工程の隅々までが自社でコントロールされ、またグループに属さない独立性を大切にし、自由な創造を可能にしています。パルミジャーニ・フルリエの個性の根幹となる過去の傑作の修復の仕事は、遥かな未来においても修復するに値するタイムピースを生み出す原動力となっています。それは、過去の作品から大胆に未来をつくりあげるマニュファクチュールとしての試みであり、自然、黄金比と共に枯渇することのないインスピレーションの源です。