第20回 三越ワールドウォッチフェア

 By : CC Fan
既にa-lsさんによるプレスレビューの記事が掲載されている第20回三越ワールドウォッチフェアのレビューですが、私も参加してきました。
30分という短い時間ではありましたが、印象に残ったピースについてレポートしたいと思います。
ただ、写真が撮れなかったのと手ブレのため写真がほとんどありません、実機は是非お出かけになってご覧下さい。

まずは唯一撮れたモリッツ・グロスマン(Moritz Grossmann)のアトゥム・デイト(ATUM DATE)です。
今回の催事に何とか間に合うように実機が届いたそうです。



素晴らしい設計だと思ったのは、瞬転カレンダー用のトルク蓄積機構です(ムーブメントの写真についてはa-lsさんの過去の記事公式サイトをご覧ください)。

デイト送りは6歯の星車を24時間で一周する歯車につけられた切り替え爪レバーで弾くことによって行われます。
切り替え爪レバーにつながったリング型バネにトルクを蓄積し、24時に一気に開放することでカレンダーを瞬転させるという基本的なアイディアは一般的な瞬転カレンダーと同じですが、星車とレバーの形状・停止開始と解放完了の位置を工夫することで、星車の歯が通過するエリアに切り替え爪レバーが存在するのは切り替える瞬間のみになるようにしてあり、これにより切り替えの瞬間以外はデイト機構とムーブメント本体は完全に切り離された状態になっています。
このため、通常のデイト付きムーブメントに存在する日付操作禁止時間が存在しません。
厳密に言えば切り替えの瞬間だけはマズそうですが、狙って再現するのはほぼ不可能でしょうし、万が一当たったとしても星車とバネ要素で支えられた切り替え爪レバーなので力が逃げることで破損には至らないと考えられます。
さらに万全を期すために日付調整用のリュウズと時刻調整・巻き上げ用のリュウズを分け、片方が調整中はもう片方がレバーによってロックされるという機構も追加されています。

実際にどうかは時間が経たないとわかりませんが、お話を伺う限りかなり理に敵った設計だと感じました。

デザインで見るとポインターデイトでありながら、中央からのびる日付用の針がないため独特の見た目になっています。
個人的にはポインターデイトは針が多すぎて好みではないと思っていましたが、この機構は針がないのとポインターの形状も含めかなり好きです。
文字盤のサイズとデザインは通常のアトゥムと同じですが、デイト表示の分だけ内側にインデックスが入り込んでいるため、凝縮した感じがありバランスが良いと感じました。

細かい点では、ブランドロゴの半円部分およびグラスヒュッテ・イン・ザクセン(GLASHÜTTE I/SA)の横の線の部分が今までの赤色ではなく、ジャパン・リミテッド(Japan Limited)などで使われた黒一色のものになっています(写真左上、値札のロゴと比べるとわかりますでしょうか?)。
これは日本からのリクエストかと思ったのですが、世界的に同じだそうです。
個人的には赤色が好きなので差し色っぽくて好きだったのですが、"現代的すぎる"というような意見もうかがったことがあるので、黒一色のほうが好まれそうです。

あと、時合わせの時(時計を止めている時)もリュウズが出っ張らないグロスマン製プッシャー付き巻き上げ機構は展示にはもってこいと今更気が付きました(写真では左が動いていて右は止まっている)。

独立時計師アントワーヌ・プレジウソ(Antoine Preziuso)は去年に引き続き、トゥールビヨン3つを連結させた上で公転させる超絶ピーストゥールビヨン・オブ・トゥールビヨン(Tourbillon of Tourbillon)が持ち込まれていました。


プレスキットより引用(実機はダイヤセッティング付き)

このほかにも珍しいエロティックオートマン付きの反転機構付きウォッチB-SIDEなど珍しい作品が多数拝見できました。

a-lsさんの記事でも触れられているクリスチャン・ヴァン・ダー・クラウ(CHRISTIAAN VAN DER KLAAUW)は各種天文コンプリケーションに加え、初のアクセッサブルコレクション(Collection of STARS)、ハイパーノヴァ(HYPERNOVA)を初公開していました。
ムーブメントは型番的に7750ベースのクロノムーブメントだと思われますが、ケースの質感は上位モデルと遜色なく、抑えられた価格は魅力的です。

ほかにもH.モーザー(H. Moser & Cie)やジャン・ダニエル・二コラなどを独立系も多数出展されていました。

最後に、A.ランゲ&ゾーネブースではSIHHと同様に、トゥールボグラフ・パーペチュアル "プール・ル・メリット”の部品1319個の一覧を展示していました(636個はチェーンの部品ですが…)。


SIHHの時はいくつかが実際の部品だったのですが、"熱心なファン"が持ち去るという残念な事態になったそうで、今回は全て図でした。


是非お出かけください!

「第20回 三越ワールドウオッチフェア~時の継承~」
会期:8月16日(水)~8月28日(月)10:30~19:30 
(※最終日は18:00終了)、※8月22日(火)は店舗休業日。
会場:三越日本橋本店 本館7階催物会場


関連Web Site

特集ページ
http://www.mitsukoshiguide.jp/worldwatch/

日本橋三越本店
http://mitsukoshi.mistore.jp/store/nihombashi/index.html