ミラード・フォース・レゾナンス: ARMIN STROM、レゾナンスで21世紀の新境地を開拓

 From : Armin Strom (アーミン・シュトローム )
公式プレスリリースより

ミラード・フォース・レゾナンス:

ARMIN STROM、レゾナンスで21世紀の新境地を開拓

隣接する2つの振動体は互いに影響を及ぼし、やがて同期する――これは共振として知られる物理現象です。ARMIN STROM(アーミン・シュトローム)は、好奇心を掻き立てるメカニズムが文字盤からすべて見え、共振するデュアル・レギュレーターで最高の精度を実現したミラード・フォース・レゾナンスを発表します。

レゾナンスのコンセプト

レゾナンスは、きわめて高度で手間のかかる時計製作技術が必要なため、その技術を使いこなすことはもちろん、取り組もうとするメーカーはこれまでほとんどいませんでした。時計としての正確さ、精密さ、歩度の安定性を追求のため、レゾナンスは独立したメインスプリング、ギアトレイン、エスケープメント、バランスを2つずつ使い、それをラック&ピニオンでつないで間隔を微調整します。2つのレギュレーターの間隔を精密に調整するには、レゾナンスを動かすことが不可欠です。2つのバランスは、誤差を平均化して最高の精度を保つために、逆方向に動いて調整されます。

2つのレギュレーターのうち一方が動くことで、周囲に振動を伝えます。それに近い固有振動数を持つもう一方のレギュレーターが振動をキャッチすることで、ひとつ目のエネルギーを吸収し、同じ振動数で共振し始めます。ひとつ目のレギュレーターが「エキサイター(励振器)」として、もう一方が「レゾネーター(共振器)」として機能します。

クリスティアーン・ホイヘンス(1629-1695)の時代から、時計の同期現象は、時計職人の心を捉えてきました。振り子時計の発明者であるホイヘンスは、別々の2つの振り子時計が共振することを発見した最初の人物です。当初の予測では、少しずれて揺れ続けるはずでした。ところが、同じ梁に掛けられた場合、隣り合う振り子は同期したのです。その後の研究で、振り子が掛かっている木の梁が振動を起こし、共振(レゾナンス)を発生させることが明らかになりました。2つの振り子が、まったく同じ動きをしたのです。18世紀に入ると、アブラアン-ルイ・ブレゲ (1747-1823)が、2つの振り子の共振現象を応用した時計の製作に成功しました。 

レゾナンスの3つのメリット:

  1. 動作が安定する(精度が上がる)
  2. パワーを温存できる(プロの自転車競技選手がレース中、別の選手のすぐ隣を走るようなもの)
  3. バランススタッフ(テン真)への衝撃など、外的な衝撃による時計の精度への悪影響が減り、歩度の安定性が保たれ、精度が上がる
外的な衝撃で一方のバランスが遅れると、遅れた分だけ、もう一方のバランスの速度が上がります。2つのバランスはやがて共振状態に戻り、それによってバランスを調整しながら外的影響を平均化し、最小限に抑えます。

こうした考え方を応用した時計製作はきわめて困難なため、共振現象を使いこなせる時計職人はアンティド・ジャンヴィエ (1751-1855)やアブラアン-ルイ・ブレゲなどごくわずかでした。現代の時計メーカーでも、その数は片手で数えられる程度です。 

手作業による製作

今日の多くの時計メーカーとは違い、ARMIN STROMには自社で一貫生産できる高度な技術があります。レゾナントに搭載したキャリバーARF15は、自社で設計、製作、組み立て、調整を行った古典的な手巻きムーブメントです。振動数は3.5ヘルツ(25,200 vph)で、特許を取得したレゾナンス・レギュレーターの動きは、見る者の目を引き付けて離しません。ムーブメントはあくまで現代的で、揺るぎない豊かなライフステージにふさわしく、斬新かつ完璧に仕上げられています。2つの秒表示は対称に配置され、1本のシングルスプリングでつながっています。

ミラード・フォース・レゾナンスの2つの秒表示に欠かせないレゾナンス・クラッチ・スプリングには、きわめて高度な技術が要求されるため、テクニカル・ディレクターのクロード・グライスラー率いる開発チームは、必要なものを自社で生産するしかありませんでした。キャリバーARF15と同じく、レゾナンス・クラッチ・スプリングも、伝統的な時計素材であるスチールのみを使っています。グライスラーのチームは、スプリングの形や性能を完全なものにするために丸2年半を費やしました。計算や最適化、シミュレーションやテスト、改良を何度も繰り返し、ついに2組のスプリングを作りあげました。それは、対のバランスホイールとバランススプリングを持つARMIN STROMオシレーターのために最適化された唯一のものです。

つながった2つのオシレーターは、一方は時計回り、もう一方は反時計回りの反対方向に回転します。文字盤を通してはっきり見える、その生命力あふれる動きは、あたかもマジックのようです。なお、万一48時間のパワーリザーブが切れ、ムーブメントを動かすために巻き上げが必要となった場合、対のバランスホイールが同期するまでにかかる時間は約10分。衝撃など外的な影響を受けた場合、対のバランスホイールがバランスを調整して同期するまでの時間はほんの2、3分です。

それは、ARMIN STROMの技術チームがレゾナンス・クラッチ・スプリングを使ってつないだのが、バランスホイールではなくバランス・スプリング・スタッドで、そこでインパルスを受けているためです。

ケースサイドの2時の位置にある夜光処理を施したプッシャーは、対になった秒表示と、対になったバランスホイールを同時にゼロにリセットします。ミラード・フォース・レゾナンスは、ARMIN STROMが製作したタイムピースの中でもきわめて複雑です。言うまでもなく、特許も取得済みです。

背景

ミラード・フォース・レゾナンスの背景にあるクロード・グライスラーの考え方は、古くからの考え方を改良する革新的な方法を創り出すことにありました。そのひとつが、時計のレゾン・デートル(存在理由)である精密さと正確さです。ARMIN STROMミラード・フォース・レゾナンスは、古い考え方を踏襲し具現化する、これまでにない、これまで以上に優れた魅力的なタイムピースです。

ミラード・フォース・レゾナンスの存在理由は、時計の総合的な精度を高めると同時に、レゾナント・バランスの魅力的な機能をご紹介することです。レゾナンス・クラッチ・スプリングは、レゾナンスの動きを特許取得済みの魅力的な「アニメーション」にしました。これは、ARMIN STROMのブランド理念を踏襲するものです。無駄がなくクオリティーの高い自社開発のメカニクスは、仕上がりも完璧で魅力的です。レゾナンス・クラッチ・スプリングには、ロマンを掻き立てる一面もあります。このタイムピースのレゾナンスは、ビジュアルでも、その魅力を裏付けています。

ワールド・プレミア

ミラード・フォース・レゾナンスのプレミアは、2016年11月3-5日、ロンドンのサロンQPで開催予定。その後、ドバイのサロン・ド・グラン・コンプリカシオンを皮切りにワールドツアーをスタート。西半球から東半球まで世界各地でのお披露目の後、スイスに戻ります。

当プレスリリース、あるいはArmin Stromについてのより詳細な情報につきましては、株式会社 ノーブルスタイリング(tel. 03-6277-1604)、山口幸徳( [yy@noblestyling.com])までお問い合わせください。