Atum Pure Mesh & Benu Pure Japan Limited

 By : CC Fan
モリッツ・グロスマン(Moritz Grossmann)の新しいステンレススチールライン ピュア(Pure)のうち、自社製メッシュ文字盤を搭載したアトゥム・ピュアM(メッシュ)と発表されたばかりのベヌー・ピュア・ジャパンリミテッド(Benu Pure Japan Limited)を拝見してきました。
発表当時からMが気になっていたのですが、実物が見られず決めかねているうちに急転直下でCZAPEKに決めた経緯があり、こればかりは時の運だったかなと思います。
グロスマンも素晴らしいとは思うのですが、なかなかタイミングが合わないです。


Benu Pure Japan Limited(左)とAtum Pure MのDLCケース(右)

まずアトゥム・ピュアMの方から見ていきます。
特徴的な自社製のメッシュ文字盤は社内で加工した部品6個を組み合わせて作られているそうです。
メッシュ部分は既存の網を打ち抜いて使っているそうで、実際に加工前のものを見せてもらえました。

文字盤素材はケースと同じくステンレススチールを使っており、表面に機械的な仕上げは施しているものの基本的には素材感を生かしてむき出しのままのようです。
そのため、ケースから繋がっているような統一感がありますが、反射防止策はほとんど施されていないのか、光を盛大に反射するため視認性は厳しいかもしれません。
写真でも同じ照明下でも通常の文字盤のJapan Limitedと比べると反射が多いことが分かります。
ただ、ブティックの照明ですら光の反射によって印象がコロコロ変わるので、炎天下で見ると面白そうです。

カタログや発表時のプレスリリースでは通常のピュアと同じムーブメント201.0が載せられると記載されていましたが、小変更を施した201.1になったそうです。
具体的な変更点はテンプ直下の地板を抜き、文字盤側からテンプの動きが見えるようになっています。


地板の抜きを文字盤側から(文字盤9の右側)


グロスマンを特徴づける大きなテンプを文字盤側からも秘かに楽しめるという趣向には一番惹かれました。
この抜きによって画像を見たときに気になった文字盤の9時位置付近がガランとしているという印象もなくなりました。
メッシュは立体感があって角度によってはほとんどムーブメントが見えなくなったり、素通しになったりで表情の変化が面白いです。


地板の抜きをムーブメント側から

貴金属ケースのムーブメントと比べるとさっぱりした印象で賛否両論のピュア・ムーブメントですが、サンドブラスト仕上げや面取りなどはキッチリ行われ、更に設計も向上されており、個人的にはピュアの方が好きだったりします。
ただ、間延びしているように見えるというのもわかり、Japan Limitedでは丸穴車と角穴車に貴金属ケース用のムーブメントと同じブラックポリッシュとサンバースト仕上げをしたものを使い、全体の印象を引き締めています。
最小の変更でぐっと印象が変わっており、とても上手いと思いました。


Japan Limitedのムーブメント(左)とPureムーブメント(右)

この他にもジャパン・リミテッドでは文字盤と針に貴金属ケースと同じ仕様のものを使っています。
具体的には文字盤はソリッドシルバーベース(ノーマルのピュアは真鍮ベース)に、針はベヌーパワーリザーブと同じ針だそうです。

地味に"ベヌーのピュア仕上げ"というのは全ラインナップの中でこのモデルのみであり、他はアトゥムかテフヌートなので実は一番レアかもしれません。
それを差し置いてもどちらも良い時計だと思います。

ピュアMの方はもはや細かいムーブメントどうこうではなく、あの文字盤まで含めた個性として気に入るかどうかだと思いました。
針も文字盤も極めてキラキラしているのでかなりの個性です。

www.grossmann-uhren.com
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