オンリーウォッチ 2021 パテック フィリップ「コンプリケーティッド デスク クロック」の永久カレンダー機構を探る

 By : CC Fan



Only Watch2021出品作品

モナコからスタートしたOnly Watch2021にプレビューツアー、三番目の開催地である東京でのお披露目イベントが行われました。
昨今の情勢を鑑みて、今年は「人(関係スタッフ)」は来日できず、「時計のみ」が来日となりましたが、拝見する機会を頂きましたので実機レポートをお伝えしたいと思います。



「機構的に興味深い」という視点でいくつかをまとめて紹介しようと思ったのですが、調べていくうちに思った以上に興味深かったパテック フィリップが今回のために新規開発した新キャリバー86-135 PEND IRM Q SEを搭載した「置時計」、コンプリケーティッド  デスク クロックをまず単独で取り上げようと思います。



パテック フィリップが1923年に当時の顧客であった起業家のジェームス・ウォード・パッカードに販売し、現在はジュネーヴのパテック フィリップミュージアム収蔵となっているデスククロックからインスピレーションを得て新たに製作した作品です。
オリジナルをパテック フィリップ ミュージアムのカタログから引用します。



オリジナルのデスククロックは永久カレンダーとムーンフェイズに加え、3ゴングミニッツリピーターやアメリカ オハイオ州 ウォーレンの日の出日の入り時刻の表示とランニングイクエーション(連続均時差表示)、ケースバックカバー内のスカイチャートなどを備えていましたが今回の新作はより機能を絞り、永久カレンダーとムーンフェイズのみによりフォーカスし、週番号表示を加えています。



ケースから出していただきました。
JWPの紋章があった位置にはカラトラバ十字、12時位置のサブダイヤルで時分、6時位置のサブダイヤルでムーンフェイズと日付、メインダイヤルで特許技術によるステップセコンドで秒を表示するレギュレーター的な表示です。

9時位置の小窓で曜日、3時位置の小窓で月を表示します。

サブダイヤルの左右にも小窓がありますが、これは後ほど…

外周に見える赤色の四角表示は週番号表示で、現在が1年の第何週か表示する機能になります。
同じく週番号表示を備えたカラトラバ5121A同様、ISO8601規格の週番号に準拠した表示が行えると考えられます。

見た目こそアンティークからのインスパイアではありますが、新規設計されたムーブメントを搭載し、現在9つの特許を出願中、10月11日現在、特許検索してもまだ公開にはなっていないようなので、公開されたら改めて探ってみようと思います。

パワーリザーブ31日(1か月巻き)のロングパワーリザーブ全域において、日差±1秒に調整するとのこと、置時計で基本は1姿勢という事を考慮してもかなりの高性能を目指していることが伺えます。

写真で見ると大きく見えますが、公称値は164.6×125×76.3mm、新書とB6サイズの中間ぐらいでしょうか。

上記の状態は通常使用で、巻き上げ・時合わせの時は「表紙」のカバーをあけます。



鍵巻きによる巻き上げ・時合わせとそれぞれの項目を高速修正できる永久カレンダー。
カバーの裏には「Only Watch 2021」と標されています。



文字盤の左上に時合わせ用のカギが格納され、これを取り出し、右上の巻き上げカギ穴と時合わせカギ穴を使って調整します。
パワーリザーブは31日なので、「各月の1日にフル巻きする」の運用で止まることはないとは思いますが…



ピンボケですが、パワーリザーブインジケーターも控えめに秒針と同軸に設けられています。



止めてしまっても「合わせやすい」永久カレンダーのコレクター群。

↑側の5つのプッシャーセレクターを押して調整項目を選び、下側の鍵穴に鍵を差し込んで回すことで、選択した項目を調整できるようです。
WはWeek(週番号)、DはDay of week(曜日)またはDate(日付)、三日月のアイコンはムーンフェイズ、MはMonth(月)、Cは閏年(なんの略?)と考えられます。

細かいコレクターではなく、指で操作できるプッシャーと鍵によって日付が合わせやすくされていることが伺えます。



6時のサブダイヤルの左右にある開口部のうち、右側は1という表示から閏年の表示と思われます。
左側の空白はおそらくカレンダーの操作禁止時間を表示するためのものではないか?と予想されますが現時点では確証が持てませんでした。



オリジナルの意匠を残すスターリングシルバーのケース、各面はウォルナット象嵌によって装飾され、オリジナル当時を思わせるアールデコ調の装飾が施されています。



「裏」も。
滑り止めと思われる革装飾にはこちらもカラトラバ十字が!

今回は珍しい「置時計」で参加したパテック、果たしてどのような結果になるのでしょうか…?
オフィシャルフォト・動画はクリスティーズによる公式ロット情報から。

https://www.christies.com/en/lot/lot-6330396

もう入札もできます!
入札のお問い合わせはクリスティーズまで、どうぞ。



[参考記事]
■出品作品一覧 https://watch-media-online.com/blogs/4529/

※各ブランド出品作品
■ウブロ https://watch-media-online.com/news/4534/
■ユリス ナルダン https://watch-media-online.com/news/4535/
■FP ジュルヌ https://watch-media-online.com/blogs/4540/
■H.モーザーCo. https://watch-media-online.com/news/4546/
■クレヨン https://watch-media-online.com/blogs/4548/
■ジラール・ペルゴ https://watch-media-online.com/blogs/4548/
■モーリス ラクロア https://watch-media-online.com/news/4537/
■アーミン・シュトローム https://watch-media-online.com/news/4552/
■ブルガリ https://watch-media-online.com/news/4566/
■オーデマ ピゲ https://watch-media-online.com/news/4567/
■ブレゲ https://watch-media-online.com/news/4570/
■トリローブ https://watch-media-online.com/blogs/4574/
■チャペック https://watch-media-online.com/blogs/4595/
■ジャケ・ドロー https://watch-media-online.com/news/4599/
■ボヴェ https://watch-media-online.com/blogs/4626/
■ショパール https://watch-media-online.com/news/4749/
■MB&F https://watch-media-online.com/news/4789/
■タグホイヤー https://watch-media-online.com/news/4798/
※出品作「モナコ」と「モナコヨットショー」つながりもある。
その他「モナコ・ヨットショー」と海とのつながりで新作を発表したユルスナルダンのニュース
https://watch-media-online.com/news/4793/


Only  Watch公式HP
https://www.onlywatch.com/  



【お問い合わせ】
クリスティーズ・ジャパン