パルミジャーニ・フルリエが「トンダ PF クロノグラフミステリューズ」を発表~ 不可視を司るトリプルクラッチ

 From : PARMIGIANI FLEURIER (パルミジャーニ・フルリエ )


「トンダ PF クロノグラフミステリューズ」のワールド・プレミア 

トンダ PF クロノグラフミステリューズをもって、パルミジャーニ・フルリエはクロノグラフの新たな建築的構造を提示します。これは、ウォッチメイキングにおいてもっとも様式化された複雑機構のひとつであるクロノグラフの「読み取り」と「使用法」を再定義する、世界初の試みです。サブダイヤルを排し、ダイヤル全面に表示を広げたクロノグラフは、必要な時にのみ機能を現します。静止状態ではその存在を感じさせず、時計は三針のトンダ PFの純粋性を維持します。


この五年間、パルミジャーニ・フルリエは独自のシグネチャーを確立してきました。それは、複雑機構が本質の背後へと退く、他にはないウォッチメイキングのあり方。そこには「プライベート・ラグジュアリー」のビジョンが表現されています。プロダクトがその真価を余すところなく露わにするのは、オーナーとの間に築かれる極めて親密な関係性を通じてのみなのです。



この革新的な機構は、ダイヤル中央に五本の針を同軸上に配置するという、前例のない構造がベースとなっています。クロノグラフを作動させると、三本の針が展開して時間・分・秒を計測し、残る二本の針が常用時の表示を継続します。数年の歳月をかけて開発されたこの機構は、ウォッチメイキングにおける極めて独創的な表示方式を実現しました。

四年間で三度目のワールド・プレミアとなるこのタイムピースは、一貫した軌跡を描いています。それは、オーナーに寄り添い、決してその存在を主張することのない機械のアプローチを具現化したものです。




修復の仕事を通じた発明
30年以上にわたりパルミジャーニ・フルリエは、ふたつの大志によって形づくられる、独自のウォッチメイキングを追求してきました。それは、過去の傑作が秘めた英知を深く理解することと、その根底にある原理原則を現代へと拡張させるという使命です。



ミシェル・パルミジャーニは、その生涯の大半を時計史上もっとも複雑なタイムピースの修復に捧げてきました。解体、分析、そして再構築すること。それは、機構の深淵に触れ、輝きだけでなく、そこに潜む制約までをも完全に掌握することを意味します。
この文化は、決して保守的ではありません。それはつねに、可能性の新たな領域を切り拓いてきました。
2022年以来メゾンは、オンデマンドでその機能を明かす複雑機構を通じて、独自のシグネチャーを確立してきました。
トンダ PF GMT ラトラパンテ
トンダ PF ミニッツラトラパンテ
そして、トンダ PF クロノグラフミステリューズ



垂直クラッチひとつと水平クラッチふたつを組み合わせたトリプルクラッチ構造は、現代のウォッチメイキングで開発されたクロノグラフの中で、もっとも複雑な機構のひとつです。
四年間で三度目のワールド・プレミア。その歩みの中で、機構はつねに体験をゆたかにするために存在し、その体験は時の秩序を何よりも尊重します。

時の秩序
クロノグラフという複雑な機能を、ダイヤルの調和を崩すことなく、いかにして統合するか。伝統的に、この複雑機構は情報の読み取りを断片化させ、存在を強く主張するものでした。トンダ PF クロノグラフミステリューズでは、時の秩序が守られています。日常の時は中心に留まり、機能は必要とされる瞬間にのみ、姿を現します。

このようなアプローチを実現するためには、既存の構造を流用するのでは不可能でした。キャリバー PF053は、静止状態でクロノグラフの表示を完全に消すという原理に基づいて、このモデル専用に開発されています。



一体型クロノグラフの設計自体が、すでに極めて難易度の高い挑戦です。しかし、それを機能の顕現という論理で再構築するには、さらに高次元の習熟が求められます。そこには、慣性、同期、機械上の記憶、そしてエネルギー管理のすべてを掌握する知性が不可欠なのです。
パルミジャーニ・フルリエにとって、発明とは絶え間なき進化のプロセスそのものです。

全面で読む時
この時計は、静止状態ではトンダ PFの三針モデルとしての姿を保ちます。視覚的な静寂、均衡、そして明晰。ダイヤルは何ひとつ感じさせず、常用時の秩序を何よりも尊重します。
ケースサイドの 7時 30分位置にあるモノプッシャーが、一連のシーケンスすべてを統御します。たった一度の操作、たったひとつの所作が、完璧に同期した三段階のフェーズを鮮やかに連動させます。

一回目のプッシュ:発動
三本のロジウムプレートのクロノグラフ針が、瞬時にフライバックを実行します。12時位置へと一斉に収束し、間髪入れずに完璧な同期を保ちながら計測を開始します。
常用時を表示していた針は、その瞬間、クロノグラフ針へと役割を変えます。
同時に、常用時を示すローズゴールドの時分針が姿を現します。ふたつの表示は、互いに干渉することなく整然と構築されます。
計測は、従来のサブダイヤルの制約から解き放たれ、ダイヤル全面で展開します。クロノグラフはもはや周辺要素ではなく、広大なスケールで繰り広げられます。

二回目のプッシュ:停止
計測の結果は、瞬時に読み取ることが可能です。ロジウムプレートのクロノグラフ針の時・分・秒針は、ローズゴールドの常用時針と並走しながら、計測時間を鮮やかに示します。分断も、表示の優先順位もありません。

三回目のプッシュ:復元
最後のひと押しは、ただ 12時位置へ戻すだけではありません。
ロジウムプレートのクロノグラフ針は、常用時を示すローズゴールドの針と寸分違わず重なります。
そして秒針は、本来の時を刻む動きを再開します。
複雑機構はその姿を消し、ダイヤルは元来の純粋性を取り戻します。一本の針が、常用時の秒針とクロノグラフの秒針というふたつの機能を兼ね備えるのです。複雑さは、見えないまま。
パルミジャーニ・フルリエにおいて、控えめであることは単なるデザイン上の姿勢ではありません。
それは、習熟の結果です。機能の出現・実在・潜影。この一連の遷移こそが、この時計が提供する体験の本質を定義しています。

トンダPFのシグネチャー
ダイヤルは、トンダ PFコレクションの美的コードを忠実に継承しています。ミラノブルーの色調は、鉱物の地層のような奥行きから、水面のきらめきへとその表情を移ろわせ、変化する光と共鳴しながら、その繊細な存在感を静かに露わにします。

職人の手で彫られたバーリーコーン(麦の穂)パターンのギョーシェは、光を正確に捉え、拡散させます。それによって、ダイヤルには絶えず拍動し続けるような、生命感あふれる微細な振動が宿ります。



メゾンのシグネチャーであるプラチナ製のローレット加工ベゼルが、ダイヤルの純粋性と響き合い、なめらかで自然に連なる一体型のブレスレットは、ケースの建築的構造を拡張させます。



すべての要素は、完璧なバランスを築き上げるために存在しています。極限まで高められた至高の仕上げは、細部に宿りながらも、視認性を損なうことは決してありません。フォルムと機能の設計を完璧に掌握することが、時計に稀有な存在感を与えます。それは、叫ばずとも明快であることで、品位が自ずと浮かび上がる、極めて限られた領域にのみ属するクロノグラフの姿です。

キャリバーPF053:潜影の構造
一体型コラムホイールクロノグラフムーブメントは、362個のパーツで構成されています。毎時28,800振動(4 Hz)で鼓動し、60時間のパワーリザーブを確保しながら、わずか 6.9 mmという薄さを実現しています。



その構造のベースは、垂直クラッチひとつと水平クラッチふたつを組み合わせたトリプルクラッチ設計。これは、針の機能を重ね合わせ、変容させるという極めて困難な要求を満たすための必然の設計です。

このキャリバーは、ひとつの自律する構造体として開発されました。設計の当初から、「消える」という原則を中心に構想されたものです。あらゆる機能の連動には、寸分違わぬ瞬時の精度と、完璧な同調が求められます。



ムーブメントの仕上げは、メゾン独自の厳格な規範を貫いています。22Kローズゴールド製のローターは、サンドブラスト加工とポリッシュ仕上げを交互に配置。サテン仕上げを施したオープンワークのブリッジは、精緻な面取りで仕上げられています。

緻密な設計のロジックは、職人の手仕事と絶えず響き合い、お互いを高め合っています。

複雑機構の運動学
これほどの高次元で新しいクロノグラフを構築できるマニュファクチュールは、極めて稀です。トンダ PF クロノグラフミステリューズは、ただのバリエーションではありません。それは、クロノグラフの新しい設計思想の提示です。
創設 30周年を迎え、パルミジャーニ・フルリエは明確なポジションを示します。ウォッチメイキングにおける革新とは、複雑さを放棄することなく、使い手の体験をシンプルにすることにあります。

このタイムピースの全貌は、すぐには見えません。それは、所作や観察など、使い手の主体的な関わりを通じて、少しずつ解き明かされていくもの。
複雑であることを意識させなくなったとき、技術は初めて完成へと至るのです。

[コメント]
グイド・テレーニ(チーフ・エグゼクティブ・オフィサー)
『クロノグラフは長らく、ダイヤルの片隅にある、小さなテクニカル・カウンターの中に閉じ込められてきました。私が提供したかったのは、それとは異なるもの、ダイヤルの全域を利用した表現です。それは、空間であり、存在感。
クロノグラフミステリューズでは、計測された時間はもはや縮小されたサブダイヤルの中に隠れることはありません。ダイヤル全面を使って、大きく、堂々と展開されます。その読み取りは瞬時で、もはや直感的です。



しかし、この明らかにシンプルな使い心地の裏には、並外れたレベルのメカニカル・インテリジェンスが潜んでいます。すべての設計は、ラインの純粋性を一切損なうことなく、機能が現れ、展開し、そして潜むために構築されました。
ウォッチメイキングは、感情を呼び起こすものでなければならないと、私たちは深く信じています。
これは単なるハイ・コンプリケーションではありません。生きた対話です。
純粋性とは探求です。それは、完璧に掌握された複雑さが、最終的にその姿を消すことで到達する境地です。』

スティールミネラルブルー

【仕様】
トンダ PF クロノグラフミステリューズ
Ref: PFC908-1020001-100182
税込価格:6,017,000円


キャリバー:PF053(自社製自動巻き一体型クロノグラフムーブメント)
・パワーリザーブ:60時間
・振動数:28,800振動/時(4 Hz)
・石数:41
・部品数:362
・ムーブメントサイズ:直径 32.4 mm/厚 6.8 mm
・装飾:サテン仕上げのオープンワークブリッジ
・面取ローター:ポリッシュ/サンドブラスト仕上げの 22Kローズゴールド、スケルトン加工
・機能:時・分・モノプッシャークロノグラフ
ケース:ポリッシュ/サテン仕上げのステンレススティール
・プラチナ 950製ローレット加工ベゼル
・ケースサイズ:直径 40 mm/厚 13 mm
・リューズ:Ø 6mm、ねじ込み式
・ガラス:ARunic反射防止加工のサファイアクリスタル
・ケースバック:サファイアクリスタル
・ケースバックの刻印:シリアル番号 ‒“SWISS MADE” ‒“PARMIGIANI FLEURIER”
・防水:100 m
ダイヤル
・カラー:ミネラルブルー
・仕上げ:バーリーコーンパターンのハンドギョーシェ
・インデックス:ロジウム加工の 18Kゴールド、アプライド
・時・分針:18Kローズゴールド、デルタ型スケルトンクロノグラフ:ロジウム加工の 18Kゴールド、デルタ型スケルトン
・秒針:ロジウム加工のスティール
ブレスレット:素材:ポリッシュ/サテン仕上げのステンレススティール
・バックル:ステンレススティール製フォールディングクラスプ



【お問い合わせ】
パルミジャーニ・フルリエ
pfd.japan@parmigiani.com   


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Watches & Wonders 2026で実機を拝見、個人的には「この手があったか!」という驚きがありました。

基本的には同軸積算モノプッシャークロノグラフですが、リセット時に12時位置に留まる通常の方式と違い、計時用の針に重ねる仕組みを用意することでクロノグラフを使っていないときには三針のように見える、というGMT ラトラパンテやミニッツラトラパンテの哲学をクロノグラフに適用しました。



リセット時はシルバー色の時分積算計と時分針が重なり、秒積算計は動き続けることで秒針として機能します。
この段階ではモノトーンの印象です。



プッシャーを押して機構をスタートさせると積算計は12時位置に帰零、同時に動き出します。
元々の時分針の位置にはゴールドカラーの時分針が現れ、測定中でも時刻を読み取ることができます。
秒積算計はクロノ動作時はクロノ用となります。



もう一度プッシャーを押すとストップ、この状態で測定結果を読み取ります。

更にもう一度プッシャーを押すことで時分積算計はリセットされて一枚目の状態に戻ります、秒積算計はその位置から再スタートします。
時分はフライバックと同じ仕組みで測定中も情報を保存しているのに対し、秒はリセットの時に失われるため、厳密には秒がずれ(誤差が発生し)ます、おそらくですが機構の複雑性との兼ね合いでこうなったんだろうと思います。
ただ、この誤差は原理的に時分には波及せず、秒針を相対測定用・動作インジケーターとしてみるなら特に問題にはならない、と理解しました。

「ふんわり理解」でおおよその構造は読めてきましたが、より詳細を問い合わせ中、追ってレポートします。