ユリス・ナルダンが 天文時計 「ブラスト ムーンストラック」を発表~月まで飛んで行け

 From : ULYSSE NARDIN (ユリス・ナルダン )




ブラスト ムーンストラック ~月まで飛んで行け


「シンプルであることは究極の洗練である」
L. ダ・ヴィンチ



2022年2月1日–旧正月の始まりの今日、ユリス・ナルダンは歴史的な天文コンプリケーションのひとつである「ムーンストラック」のウルトラデザインの新商品を発表しました。ブラストの幾何学的なケースに収めたこのマニュファクチュール製ワールドタイマーは、ユリス・ナルダンの時計愛好家に新しい天体観測の旅を提案するもので、時計メカニズムを再考案し、太陽の可視軌道と月のサイクルを可能な限り忠実に再現しました。
今日、この新しいブラストは、約40年前に巨匠ルートヴィヒ・エクスリンが製作した3部作の天文時計の流れを汲みんでおり、現代的で直感的な表示で誰もが私たちを包み込む宇宙を詩的に理解できるように、目に見える天文メカニズムの根源的な要素を作動させることを提案しています。


「私の時計や天文時計によって、人々が宇宙の中での自分のいる場所について考え、もしかしたら自分が世界の中心にいるのではないことに気づくことができたら、それはとてもうれしいことです。」
ルートヴィッヒ・エクスリン

ブラストムーンストラックは、月の自転、地球から観測した太陽の(見かけ上の)動き、潮汐図を再現しています。太陽と月のダンスをわかりやすく、そして詩的に表現するためにデザインしたブラストムーンストラックの地動説表示は、天文学の知識がないビギナーにもわかりやすくなっています。

星空は船乗りの地図であり、恋人たちの遊び場であり、すべての文明の原始的な暦です。地上から見ると、地球が常に宇宙の中心にあるように見えるこのきらめくバレエの踊りのような中で、太陽と月が、日、月、季節のサイクルを定義しています。この「時を刻むワルツ」を読み解くには、天文学者の才能が必要でした。青銅器時代から人々は天文台を設置し、1日単位で正確な暦を考案してきました。何世代にもわたって天の文法を積み上げてきたのです。
「なぜ天文時計なのか?規則的な周期を持つものはすべて機械的に再現できるため、文字盤で読み取ることができるのです。時間を小さなケースに封入することが時計職人の技です。時間を解放するのは哲学者。ブラストムーンストラックは、ある意味、時間をカプセル化する...そして何よりも心を解放するのです。それだけけのことです。」
ルートヴィッヒ・エクスリン


魅力的な天文学

「太陽には生命を創造し破壊する力があります。月は潮の満ち引きだけでなく、私たちの夜間音楽や夢に影響を与えるのです。」
ルートヴィヒ・エクスリン

ブラストムーンストラックは、精巧な天文情報を持つ他の時計と同様に、中世末期に重要な都市で作られた素晴らしい塔時計を小型化したものであると言えます。読みやすく分かりやすいディスプレイを備えたこの時計は、かつての天文観測機器の後継機種と言えるでしょう。その高度なメカニズムにより、1884年のワシントン条約以来世界中で使用されている24の主要タイムゾーンの中から選択した場所の時刻を表示することが可能です。ケースの左側にあるプッシュボタンを押すと、メインタイム表示を1時間単位で進めたり戻したり他のタイムゾーンに簡単に合わせることができます。

ブラストムーンストラックには、精密なムーンフェイズのコンプリケーション(機構)を搭載しており、輝きを放つ太陽をリアルタイムで追尾するこのコンプリケーションとの融合が文字盤に安堵感と生命力を与えます。この神秘的なポテンシャルを科学的に表現した時計は、究極の時計を求める偉大なリーダーたちだけでなく、1846年のユリス・ナルダンのマニュファクチュール創業以来、親密な関係を築いてきた海洋の世界の船乗りたちにも役立っています。彼らはこの地味で控えめなディスプレイがもたらす恩恵の大きさを知っているのです。彼らは日々、太陽と月がそれぞれの楕円の線上に並ぶことを観察し、春の潮の満ち引きの日付を一目で予測することができるようになるのです。


宇宙の中心にいる人

1985年にルートヴィヒ・エクスリンが考案した素晴らしい天文3部作の流れを汲むこの時計は、太陽系をコペルニクス的に表現するのではなく、地球に住む私たちにとって読みやすく理解しやすい地動説的なアプローチでデザインしています。ユリス・ナルダンのデザイナー達は巨匠ルートヴィヒ・エクスリンとともに、この時計の観察から得られる宇宙の中心にいるような感覚を強調するために、北極から見た北半球の一部を時計のサファイアクリスタルの中心に配置することを選択しました。3D効果のインパクトを高めるため、内側に陸地をマイクロエングレービングしたドーム型クリスタルは、サファイアクリスタルを保護するボックスに収め、その周囲には月の31日間を刻印した18Kローズゴールドのリングと夜光塗料を塗布した小さな三角形をポインターとして配しています。



ワールドタイム–デュアルタイム

時計の立体的な構造の下には、「ブラスト」コレクションを表す現代的で精密なデザインの針が滑るように動いています。先に向かって細くなるフォルムは暗闇でも直感的に読み取りやすいように、中央部に確実に蓄光塗料を塗布しました。この時計は時計の所有者が住むタイムゾーンをローカルタイムとし表示設定します。また24のタイムゾーンに自由に変更することが可能で、文字盤の固定インナーベゼルには対応する都市の名称を記しています。この機能はユリス・ナルダンが持つ高度なメカニズムを採用しており、ケースの左側にある2つの長方形のプッシュボタンで操作します。シンプルで直感的なこのワールドタイム機能は、旅慣れた人にとってとても便利なものであり、加えて高度な天文複雑機構を搭載しています。

地動説的宇宙的ワルツ

1980年代に最も複雑な天文時計のデザインを手がけたルートヴィヒ・エクスリンとユリス・ナルダンマニュファクチュールの開発チームにとって、ムーンストラックは不必要に複雑な時計ではなく、天体の仕組みを誰にでも理解できるような、シンプルで効率の良い表示の時計を目指しました。

ブラックセラミックとブラックDLC加工チタンを使用した直径45mmの天文時計は、同じくブラックのアリゲーター(またはベルベット/ラバーストラップ)を装着し、この壮大なプロジェクトの期待に沿ったものに仕上がっています。

アベンチュリン製ディスクの夜空を背景にした時刻表示のほか、都市名を記した固定インナーベゼル、時刻と12時位置に太陽を刻印した回転ディスクにより、世界各地の時刻を読み取ることができます。また、この時計にはデュアルタイム機構を搭載しており、ケース中央部の左側にある2つのプッシュボタンを使って、メインタイム表示を1時間単位で変更することができます。基準都市に沿った最初の時刻を維持しながら、特定の国の時刻を文字盤上に表示することができます。また、月の満ち欠けをリアルに表現する小窓を備え、メインタイムゾーンの時刻表示の12時位置にある立体的な太陽と月の進路の関連などが見ることができる、非常に効率的な時計です。


精密なムーンフェイズ

このムーンストラックの制作チームは、実用上の理由から地球と同じ黄道面にある月の軌道を表す楕円の遠地点にある円形の開口部で月の満ち欠けを表現することにしました。この円形開口部は円盤によって運ばれ、精巧な歯車列と結びついています。ムーンフェイズ表示は、月の明るさの源である太陽の動きに合わせて1日に1回転し、29日12時間41分9.3秒で文字盤を1周するようになっており、これは天文学的には29日12時間44分2.9秒である「共時性月」の期間を表しています。



その精度を維持するため、月の表現を示す開口部は24時間ごとに公転円の上で度数にして月の1/29.53に相当する角度だけ後退し、太陽との関係で新しい位置になります。同時にこの小さな可動開口部の中の表現も、太陰暦に合わせて少し明るくなったり暗くなったりするように変化します。

開口部に月の一部が見えると、ブロンザイトのレリーフで再現された太陽に対して、24時間同じ位置で開口部が保たれます。ブロンザイトは輝石科の希少な鉱物で金色の表面に暗い斑点があり、これは地球が実際に重力を受けている星のマントルを望遠鏡で観察したときの様子を再現しています。ムーンフェイズ表示は、40年かけても1日しかずれないことから「精密機構」と呼ばれます。地球の周りを回る衛星の回転を表す楕円の上に月齢が描かれます。


太陽と月の位置関係でから地球上で見られる月の満ち欠けの様子



魅力的で独創的なブラストムーンストラックは、広大な宇宙のどこかにある太陽系の、ある種の観念を具現化した計器であることに変わりはありません。

一見複雑な外見ですが、シンプルで見やすく、すべての情報をリューズで設定できるため調整も簡単です。ローカルタイムを設定する都市からセカンドタイムゾーンや日付など、マニュファクチュール自動巻きキャリバーUN-106に内蔵のコンプリケーションが、時計を装着している間、すべての有用な表示される情報が十分に確かなものとして管理します。着用しないときは付属のボックスに戻すだけです。このボックスにはオートワインダーを搭載しており、巻き上げとカレンダー情報を維持するよう努めます。

アベンチュリン:「偶然の産物」では何も起こらない

星が宇宙で不規則に散らばっているように見えるなら、ブラストムーンストラックの繊細なミネラルブラックの文字盤は「偶然」ではありません......。

アベンチュリンにまつわる伝説は、13世紀に優れたガラス職人たちで著名だったベネチアのムラーノ島で、職人が偶然に溶けたガラスの鍋に銅片を落とし、イタリア語で「偶然の」という意味の「aventurina」(アベンチュリン)というガラスを作ったと言われています。

この人工鉱物のアベンチュリンが、セイラー達が夜闇に浮かぶ海面を見たときのような輝きを放ちます。



ルートヴィヒ・エクスリン

1952年2月10日、イタリア、マルケ州のガビッチェ・マーレ生まれのエンジニア。1976年、バーゼル大学で考古学、古代史、ギリシャ語の学位を取得した。1983年にはベルン大学で哲学、研究史、博学(理論物理学)、天文学の博士号を、1995年にはスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETHZ)で産業革命以前の技術考古学のハビリテーションを取得した。また、時計製造の実習も行い1984年に修理技術者、1993年にマスターウォッチメーカーとなった。ルネッサンス期の人文主義者たちのように、すべての技術を統合した天文複雑機構や革新的な操作方法を取り入れたムーブメントを開発。1983年から1990年にかけて、彼はユリス・ナルダンのために「アストロラビウム・ガリレオガリレイ」、そして他の2つの作品を開発し、この3部作は天文複雑時計の基準として専門家の歴史に残るものとなりました。機械的効率に情熱を注ぐこの芸術家は1995年に巨大な天文時計の研究でガイア賞を受賞、2001年には時計製造史上で初めてシリシウムを機構に組み込んだ「フリーク」ウォッチを製作しました。知識を愛する彼は、2001年から2014年までラ・ショー・ド・フォン国際時計博物館の館長を務め、同時に彼が持つ冒険心は内に流れる時計製造の源に命を吹き込むことを熱望しました。2006年には自身の時計ブランド「オックス・ウント・ユニオール」を立ち上げました。研究者であり開発者でありデザイナーでもあるこの全知全能のエンジニアは、今日もなお、1か所に定まらずに時計メーカーに心を開き、その活力を維持するために、さまざまな場所で貢献し続けています。




【技術仕様】
ブラストムーンストラック
品番:1063-400-2A/3A

[ムーブメント]
自社製キャリバーUN-106、自動巻
機能:時、分、日付
表示:月齢表示。太陰月の日。潮汐係数。ワールドタイム。デュアルタイム。地球から見た太陽と月の位置表示
部品数/石数:335部品/42石
振動数:4 Hz / 毎時28,800振動

[ケース]
ブラックセラミック
ブラックDLCチタン
サファイアクリスタル
ケース径:45 mm
防水:30 m
パワーリザーブ:50時間

[ケースバック]
オープンケースバック
サファイアクリスタル&ブラック
DLCチタン
5Nローズゴールドローター

[ストラップ]
ブラックアリゲーター、ヴェルヴェット、またはラバー
SYNCフォールディングバックル
ブラックDLCチタン&ピンクゴールド

予価:税抜き8,650,000円/税込み9,515,000円
リミテッド・プロダクション

追加情報

[ニコラス・コペルニクス]:1473年に生まれ1543年に亡くなったポーランドの天文学者。地球を含むすべての惑星が太陽の周りを回っているという地球惑星運動説(地動説)を提唱し天文学に革命を起こした。この地動説は神が人間、ひいては地球を宇宙の中心に置いたとする中世的・宗教的世界観、天動説を揺るがすものであり、長い間否定されていた。彼の理論は当時主流であった天動説に対抗するものであった。

[黄道面]:太陽の重心とその周りを回る地球の重心を含む平面を無限遠に探査し、星の位置を定義する座標系の基礎としたもの。日食はこの平面上で観測されるため、このような名前がついている。この面は地球の赤道面に対して23度26分13秒傾いており、これを黄道傾斜角という。この角度は、地球の自転軸が公転面に対して傾いていることに相当する。月の軌道面は黄道に対して平均5度08分48秒の傾きを持つ。

[ムーンフェイズ]:太陽に照らされた月の部分を地球から観測した表したもの。天然衛星は地球の周りを公転しており、月の満ち欠けは日数に応じて変化する。1ヶ月は1サイクルに相当し、その平均期間は29日12時間44分2.9秒(29.53日)である。月は地球の周りを24時間で1周するのと同時に自転しています。地球を1周する間に自転しているからこそ、月はいつも同じ表情しているのです。

[新月]:月が地球と太陽の間にあるときを新月という。天体の配置は潮汐係数が高い(大潮)ことに関連する。

[上弦]:太陽と月が文字盤上で直角の位置にあるとき(太陽が6時、月が3時の位置)、月は満ち欠けの状態にある。この条件では潮の係数が低くなる(小潮)。

[満月]:太陽と月が地球を挟んで向かい合ったとき、月は満月になり潮の係数は高くなる(大潮)。

[下弦]:太陽と月が垂直の時(太陽が6時、月が文字盤の左側のセクター)、月は欠け潮の係数は低くなる(小潮)

[ユリス・ナルダン]~自由を尊ぶマニュファクチュール
ユリス・ナルダンは海の世界からインスピレーションを得て、自由な精神を尊ぶ方々のため、革新的なタイムピースを製作するマニュファクチュールのパイオニアです。1846年に自身の工房を創業、2014年11月からは世界的なラグジュアリーグループ、ケリングの一員として名を連ねています。ユリス・ナルダンは高級時計の歴史にいくつもの優れた功績を残しており、極めて早い時期から海の世界とのつながりで名を馳せていました。当時制作したマリンクロノメーターはこれまで作られたものの中でも最も信頼性が高く、現在でも世界中のコレクターたちから求められる作品です。最先端技術のパイオニアであり、シリシウムなどの革新的な素材を積極的に利用するユリス・ナルダンは、自社で高精度部品およびムーブメントを製造できる技術力を備えた数少ない時計ブランドの1つです。
ユリス・ナルダンは海洋環境保護のため、海洋プラスチックによる汚染の削減と、自社のシンボルであるサメの保護に関する科学的知識の開発という主に2つの活動を行っています。今日、スイスのル・ロックルとラ・ショー・ド・フォンの自社マニュファクチュールでユリス・ナルダンは「マリーン」「ダイバー」「ブラスト」「フリーク」の4つの柱を軸に、完璧な時計制作への探求を続けています。
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