IWCがトゥールビヨンにショックアブソーバー·システムを初採用した「ビッグ·パイロット·ウォッチ·ショックアブソーバー·トゥールビヨン·スケルトンXPL」を発表

 From : IWC (アイ・ダブリュー・シー)


ショックアブソーバー·システムとトゥールビヨンが融合した「ビッグ·パイロット·ウォッチ·ショックアブソーバー·トゥールビヨン·スケルトンXPL」

IWCシャフハウゼンは、ジュネーブで開催されるウォッチズ&ワンダーズで「ビッグ·パイロット·ウォッチ·ショックアブソーバー·トゥールビヨン·スケルトンXPL」を発表しました。このモデルでIWCは、衝撃から保護するための特許取得済みSPRIN-g PROTECT®ショックアブソーバー·システムをトゥールビヨン搭載モデルに初めて採用しました。カンチレバー·スプリングは、フライング·ミニッツ·トゥールビヨンを搭載したIWC製キャリバー82915に適合するよう、完全に再設計されました。ムーブメントの質量を軽減し、システムのパフォーマンスを最大限にするために、地板、ブリッジ、ローターはスケルトン加工されており、複雑な機構と内部のバルク金属ガラス(BMG)製ショックアブソーバー·スプリングがよく見えるようになっています。テクニカルなデザインのこの非常に複雑な時計は、セラタニウム®製ケースとリューズを備えています。このモデルにはセラタニウム®製ピンバックルを配したパターン柄のブラックのラバーストラップが組み合わされています。


トゥールビヨンは、高級時計製造において最も洗練された複雑機構の1つです。この機構では、テン輪とアンクル(テンプと脱進機)が小さなケージに収められ、これが1分間に1回転します。このくり返される回転により、時計の振動によってパーツにかかる重力が相殺され、精度が向上します。その複雑さにより、トゥールビヨンは非常に繊細で壊れやすい機構でもあります。また、限られたスペースの中で何十もの部品が連携して動作する必要があるため、特に衝撃による損傷を受けやすくなります。「ビッグ·パイロット·ウォッチ·ショックアブソーバー·トゥールビヨン·スケルトンXPL(Ref.IW357701)」により、IWCのエンジニアリング部門であるXPL(IWCエクスペリメンタル)は、高級時計製造の限界を再び押し広げました。ブランド初となるこの非常に複雑な時計では、特許取得済みのSPRIN-g PROTECT®ショックアブソーバー·システムとトゥールビヨンが組み合わされています。

「特許取得済みのSPRIN-g PROTECT®システムを、トゥールビヨンを備えた複雑なムーブメントに適応させることで、当社の先進的なエンジニアリング部門XPLは、システムの並外れたパフォーマンスを実証しています。時計への衝撃によって発生する高いGフォースからトゥールビヨンを保護することは、衝撃保護における大きな進歩であるとともに画期的な進展であり、この革新的なシステムが高度な複雑機構にも使用できることを証明しているのです」と、WCシャフハウゼンの研究·イノベーション部門のマネージャーであるLorenz Brunner(ロレンツ·ブルナー)氏は説明します。


IWCのエンジニアリング部門であるXPL(IWCエクスペリメンタル)の飛躍的革新
IWCシャフハウゼンの先進的なエンジニアリング部門であるXPLは、機械式時計の耐久性を向上させ、応用範囲を極限的な環境まで広げるための新技術を開発しています。
研究分野の1つは、ムーブメントの衝撃保護です。時計が衝撃を受けると、ムーブメントに高いGフォースがかかる可能性があります。たとえぱ、時計のケースが硬い表面に衝突した場合、加速度は300~1000 Gの範囲になる可能性があります。ムーブメント内部で発生する加速力は最大1000Gに達します。IWCシャフハウゼンの特許取得済みSPRIN-gPROTECT®システムは、カンチレバー·スプリングを使用してムーブメントを緩衝し、ケース内でムーブメントを吊り下げます。ケースに衝撃が加わった場合、ムーブメントは圧縮
スプリングシステムが衝撃力を大幅に軽減することによって保護されます。独自のリューズカップリングシステムにより、カップリングが外れるとムーブメントはケース内で自由に動き、外力から免れます。




トゥールビヨン用に再設計された衝撃保護機構~保護されるべき質量を減少させるスケルトン加工されたムーブメント
SPRIN-g PROTECT®システムをIWC自社製キャリバー82915に適合させるには、スプリングの形状を再設計する必要がありました。8本のアームをそれぞれ、高度なシミュレーションツールを使用して再計算し、トゥールビヨンムーブメントの寸法と重量に適合させ、再設計されたショックアブソーバーには、先進的な測定方法を用いた包括的なテストが課されました。一連のテストにおいて、保護されたトゥールビヨンムーブメントは10,000Gを超える衝撃に耐えることができたのです。




弾性特性を備えた先進的なバルク金属ガラス
この並外れたパフォーマンスの鍵は、スプリングの完璧な形状とバルク金属ガラス(BMG)という素材を用いたところにあります。このスプリングは縦横にわたって衝撃力が均一にかかるように設計されています。非常に複雑な製造プロセスにより、BMGには不規則な原子スケールの構造が与えられます。この非結晶質の微細構造により、素材の弾性が従来の金属よりも大幅に向上します。これは、ショックアブソーバー·スプリングの重要な要件です。しかし、この素材を製造することは、工学的にとても大きな挑戦となります。液体金属は、その構造が非結晶質のままで結晶質にならないように、非常に急速に冷却する必要があります。そうしないと、金属はその長所となる特性を失うことになるからです。



スプリングで保護するものの重量を低減することは、ショックアブソーバー·システムの性能にとって重要なことです。このため、IWC製キャリバー82915の地板、ブリッジ、ローターはスケルトン加工されています。文字盤は12時位置の特徴的な三角形と分目盛りを備えたシンプルなブラックのリングに縮小され、スーパールミノバ(Super-LumiNova®)が塗布された三角形の針までもスケルトン加工されています。6時位置に見えるフライング·ミニッツ·トゥールビヨンは56個のパーツで構成され、重量は0.663グラムしかありません。このアプローチにより、IWCのエンジニアはムーブメントを可能な限り軽量化し、ショックアブソーバー·システムの性能を最大限に引き出すことができました。また、さまざまなパーツとBMGスプリングも見事に視認できるようになっています。このムーブメントは、セラミック製のパーツで強化されたペラトン自動巻き機構を備えています。両方向へのローターの動きを利用し、効率的に80時間のパワーリザーブを主ゼンマイに蓄えます。


セラタニウム®製ケースとリューズ
この時計のケースとリューズは、IWCが開発し、2017年に初めて発表した革新的な素材であるセラタニウム®を使用して製造されています。セラタニウム®は特殊なチタン合金をベースにしています。棒状の素材から加工されたパーツはその後、仕上げが施され、加熱炉で高温熱処理されます。この熱処理の過程で、セラミックの性質を帯び、暗色のメタリックな仕上がりになります。その結果、セラタニウム®で作られたパーツはチタンと同じくらい軽くて壊れにくいと同時に、セラミックと同じくらい硬くて傷がつきにくくなるのです。セラタニウム®製ケースは、両サイドに特徴的なラバーバンパーを備えています。このきわめて複雑で未来的なビッグ·パイロット·ウォッチには、セラタニウム®製ピンバックルの付いたテクニカルパターンのブラックのラバーストラップが組み合わされます。-



参考:https://watch-media-online.com/news/9554/ 


【仕様】
ビッグ·パイロット·ウォッチ·ショックアブソーバー·トゥールビヨン·スケルトン XPL
REF. IW357701
税込価格:¥30,959,500
限定生産:100本
[特徴]
機械式ムーブメント-ペラトン自動巻き機構-6時位置のフライング·ミニッツ·トゥールビヨン-SPRIN-g PROTECT®ショックアブソーバー·システム-ねじ込み式リューズ-急激な気圧変化にも対応するガラス-サファイアガラスのシースルー裏蓋-100本限定生産モデル

ムーブメント:IWC自社製キャリバー:82915(自動巻き)
・振動数:28,800回/時(4Hz)
・石数:25
・パワーリザーブ:80時間
ケース:セラタニウム®製ケース、セラタニウム®製リューズ
・ガラス:両面反射防止加工を施したドーム型サファイアガラス
・防水性:10気圧
・ケースサイズ:直径44 mm/厚さ13.1 mm
文字盤:ブラックのスケルトン文字盤
・ブラックのスケルトン針
ストラップ:ブラックのラバーストラップ
・セラタニウム®製ピンバックル


【お問い合わせ】
IWCカスタマーセンター
0120-05-1868



[IWCシャフハウゼン]
IWCシャフハウゼンは、スイス北東部のシャフハウゼンに拠点を置く、スイスの大手高級時計メーカーです。ポルトギーゼやパイロット·ウォッチなどのコレクションを擁するこのブランドは、エレガントな時計からスポーツ時計まで、あらゆる種類の時計を扱っています。1868年、米国の時計技師でエンジニアでもあったフロレンタイン·アリオスト·ジョーンズが設立したICは、人間ならではの職人技と創造性、その最良の部分と最先端の技術および工程とを組み合わせた、時計製造に対する独自のエンジニアリングで知られています。
150年以上にわたる歴史の中で、IWCは精巧かつ丈夫で使い勝手のよいプロ仕様の計器時計や、複雑機構(とりわけクロノグラフとカレンダー機能)を組み込んだ時計をつくり、高い名声を得てきました。チタンやセラミックの採用の先駆者であるIWCは、現在、カラーセラミック、セラタニウム®、チタンアルミナイドなどの先進的な素材を用いた、

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開催中のWatches & Wondersで実機を拝見しました。



衝撃を吸収するカンチレバースプリングを可視化したデザイン。
リュウズはネジ込みではなく一定角度でロック解除されるバヨネットシステムを採用、格納状態ではムーブメント巻き芯との結合が外れて衝撃が伝わらなくなる仕組みです。



フライングトゥールビヨンでは最大でも1,000Gのテストのところ、10倍の10,000Gでも問題ないことをテストしており、設計上はそれ以上にも耐えられるようにしているとのこと。



打痕などからケース本体を守るためのラバーパーツは着脱可能で外した状態でも使用できます。