H.Moser SWISS MAD WATCH (CARRÉ DES HORLOGERS)

 By : CC Fan
SIHHの小規模メゾンが集まるCARRÉ DES HORLOGERS(カレ・ド・オロロジ:時計の広間)よりH. モーザー(H. Moser & Cie)の色々な意味で問題を投げかけた新作スイス マッド ウォッチ(SWISS MAD WATCH)の実機を紹介いたします。
これはH. モーザーが"SWISS MADE"ラベルに対し、認定基準が低すぎるのではないか?ということについて疑問を投げかけた作品です。
スイスが誇る資源として、動物の牛にスポットライトを当てました。

個人的にはニュースリリース"それは牛です"というパワーセンテンスだけで面白すぎて好きです。
価格は、スイス建国の日1291年8月1日に由来する1,081,291スイスフランで、ユニークピースです。
売れるとは考えてないでしょうし、これが話題になればよいということではないでしょうか。



独特の凹凸があるケースはスイスの牛由来の資源、チーズ"ヴァシュラン モン ドール"から作られています。
チーズとカーボンナノチューブを使用した機能性樹脂ITR2を1:1の割合で混合させ、硬化させることでケースを形成しています。
このITR2という素材はリシャール・ミルやモンブランなども使っている最先端の機能性樹脂のようです。
しかし、半分がチーズではなかなか固めるのも難しかったようです。
象徴的なピースですが、日常的に使える程度の強度はちゃんと確保しているということでした。

ダイヤルはモーザーが誇る赤色のフィメダイヤルで、スイス国旗をモチーフにしたインデックスを備えています。



ケースバック側はグラスバックになっており、ムーブメントを眺めることが可能です。
H. モーザーのベーシックなムーブメントHMC327で、手巻きでムーブメント側にパワーリザーブインジケータを備えます。
磨き上げられたムーブメントと、天然そのものといったチーズのケースの対比が面白いです。



ケースサイドより、ピントが合っていませんが、ケースは2ピース構造でケースバック側からねじ止めしています。



ストラップも当然牛由来の牛革を使っています。
ホルスタイン柄をそのまま活かしたデザインで、ふわふわした毛もそのまま使っています。



ボックスというか、展示用のケースはヴァシュラン モン ドールの箱をそのまま使っています。
蓋を閉じているとチーズの箱にしか見えませんが、中にはクッションが備えられています。



スマートウォッチに対抗したスイス アルプ ウォッチ(SWISS ALP WATCH)と同様、CEOのエドゥアルド・メイランが自らコスプレして作成したプロモーションビデオも流れていました。



色々な所にケンカを売ってます。
CEOがこのコスプレやりたいだけじゃ…と少し思いました。

このようなやり方に賛否両論あるのは当然だと思いますし、話題先行すぎる感じもありますが、個人的には応援したいです。
もちろんマッドウォッチを買うのは無理ですが…

ケース以外同じ仕様で"95%以上スイス製モーザー社内製スイス製"のベンチャー スイス マッド(Venturer SWISS MAD)というシリーズも同時に発表されています。
【追記】
"95%以上"はモーザー社内製の割合(コストベース)で、スイス製の割合はもっと高いとのことでした。
通常は外から購入するヒゲゼンマイやテンワも社内で製造しています。
【追記2】
上記について、95%はやはりスイス製の割合とのことです。



ケースはホワイトゴールド、ストラップは個体差なのかこちらは茶色みがかかった色でした。

【追記】
確認したところ、"95%以上"に含まれないのは、スイスで作っているが外注のケースと、イタリアで作っているストラップとのことでした。
すなわち、マッドウォッチのストラップはチーズの牛由来ですが、こちらは別の牛革ストラップということです。



毛の感じがよくわかるかと思います。

モーザー&オートランスのブースではほかにも興味深いものがありましたので追って紹介いたします。

関連 Web Site

H. Moser & Cie
http://www.h-moser.com/jp/

(参照)スイス時計協会FH WEBサイト
http://www.fhs.jp/jpn/strengthening.html