ジラール・ペルゴ: ロレアート クロノグラフ - 1つ1つ丁寧に作られたクロノグラフの真髄

 By : KIH
さて、ジュネーブから帰国し、まだ興奮冷めやらぬ、というか、時差ボケが治りきらず、という感じではありますが、忘れぬうちに、少しずつ印象に残ったピースについて書いていきたいと思います。

弊職の場合、まずはこのジラール・ペルゴ ロレアート クロノグラフが印象に残りました。もちろん、同時に拝見した3軸トゥールビヨン ミニッツリピーターも印象深かったですが、実際問題自分がする時計として、という見方からだと、久々に帰ってきたともいえる、ロレアート クロノグラフですね。


「久々に帰ってきた」というところで、このロレアートの歴史をおさらいしましょう。詳細は別途ゆっくり書きたいと思いますが、最初にロレアートが登場したのは1975年、八角形のベゼルにケース一体型のブレスレットで、自社製クォーツムーブメントを搭載していました。これがオリジナルで、仮に「第0世代」と呼びましょう。




そして、1984年には「第一世代」として、EOT(イクエーション オブ タイム)に星座表示を加えた複雑時計となり、新たに現在も使われている新H型プレスレットを採用。ベゼルと合ったポリッシュされたリンクを足されました。




そして、1995年に第二世代が出ます。超薄型ムーブメントを搭載するために新たにケースが設計され、サイズを拡大して大きめのリューズを採用、新H型プレスレットも引き続き使われます。



そして、2003年に第三世代として、おおぶりなケースを採用し、ビッグデイト ムーンフェイズやスリーサファイアブリッジトゥールビヨンなどバリエーションに富んだ複雑モデルを発表。EVOと呼ばれるクロノグラフもありました。





ということで、正式ではありませんが、今回の復刻ロレアートはいわば「第四世代」と呼ばれてもいいものだと弊職は思います。その当然の流れとして今回のクロノグラフが出てきたのであり、今後ますます複雑機構を取り入れたロレアートが出てくる可能性もありますね。


さて、その今回発表されたクロノグラフですが、やはり「出来がいい」の一言ですね。ここまでやってこの値段か、みたいな感動があります。ブレスレット、ケース、ベゼルの仕上げ、ダイヤルの作り、ムーブメント、どれを取ってもこの人たちは本当に手を抜かない。こうでないと、220年以上も時計を作り続けていられません、ってことでしょうね。作り続けてるんですよ、このブランドは。途中何100年も抜けているのに創業OOO年、と言っているブランドとは違います。

前置きが長くなりましたが、では見ていきましょう。


実機写真は、CEOとのミニランチという限られた時間だったので、少ないのですが、まずは数枚ご覧ください。
(その他実機写真はこちらで再チェックしてくださいませ)



こちらは42mmバージョン。



なかなか静止画だと伝わらないですよね。こちらの動画をどうぞ。
注目していただきたいのは、ダイヤルとケースの作りです。



これは本当に手がかかっています。しかも、すべてインハウス/自社製というのが、長い歴史を持つマニュファクチュールならではですね。


プレスリリースから引用させてもらいます。

「ジラール・ペルゴの新作
ロレアート クロノグラフ


ジラール・ペルゴのコレクションへ復刻してから2年後、ロレアートは、クロノグラフを搭載した豊富なコレクションの発表で、新たな章をブランドの歴史に記します。極めてスポーティーシックなコレクションの、待ち望まれたコレクションの拡張は、1975年に生まれたロレアートの象徴的な腕時計のデザインの力強さと妥当性を、再び証明しています。この時計は、快適さと日常使いのために設計されています。スティールまたはピンクゴールドを全体にまとい、42mmと38mmケースのご用意があり、3色の文字盤で解釈されたロレアート クロノグラフは、きわめて多彩な時計です。オンまたはオフスタイルの装いのどちらにも相応しく、センスの良いエレガントなユーザーの日常にぴったりのアイテムです。


ジラール・ペルゴは、2つのカウンターとスモールセコンド、日付表示を備えた自動巻のクロノグラフムーブメントを、この象徴的なケースに搭載しました。非の打ちどころのない正確な計時を保証するのと同様に、十分なパワーリザーブと、プッシャーの非常になめらかな作動が際立っています。時計の品質は、全て多彩な技術を培ってきたジラール・ペルゴのマニュファクチュールで施される『コート・ド・ジュネーブ』や面取り、サテン仕上げなどを含む素晴らしい仕上げによって完全なものとなります。


本質と貫禄
ロレアート クロノグラフは、すべてのロレアート モデルが持つ力強いアイデンティティに恵まれています。この個性は、本質を歪ませずに、過去43年間の芸術的ディテールの進化を促してきたDNAに基づいています。ロレアートは、ラグやループのない一体型のケースに取り付けられ磨き抜かれた八角形のベゼルと同様に、ケースの延長部分を形成し、独創的なデザインの要素を独自に表現した金属製のブレスレットによって実現しました。

この金属製のブレスレットは、幅のあるサテン仕上げのH型リンクと同様に中央のパーツに膨らみをもたせて磨き加工を施したデザインが特徴です。ポリッシュとサテン仕上げが交互に施された表面は、視覚的な魅力が増幅され、時計を華やかな印象にします。着用の際、このブレスレットは何に置いても最も重要なクオリティである、非常に柔らかくてしなやかな感触を実現しています。ロレアートはいかなる手首にも理想的な着け心地をもたらします。

定義上、ロレアートは『クル・ド・パリ』という鋲状のモチーフがあしらわれた文字盤で飾られています。隆起した小さなピラミッドが時計の表面を埋め尽くし、光をとらえます。しかしそのような要素に加えて、ロレアートは何よりも心理状態を上回ります。タフさゆえのスポーティーな印象、細部までこだわったゆえの上品な印象で、華やかな場所と同じくリラックスしたオフスタイルにも合うようデザインされています。この多様性は、人間工学や、容積、スタイルの原則を強く反映し、幅広い種類のクロノグラフを生み出しています。


バリエーション
多様性は、設計上の大きな成果を表しています。いかなる手首にもフィットしあらゆる複雑さに対応できる時計は、完成された設計の成果です。ロレアートは、ロレアート クロノグラフを特徴づける、さまざまな文字盤内の計機とプッシャーの厳密なレイアウトに合わせて調整されます。ロレアートのケースの外装は、リューズガード(側面部)と、プッシャーそのものによっておのずと課せられる曲線を組み込むように進化してきました。プッシャーの曲線はベゼルのように八角形であり、ロレアート クロノグラフが容易に組み込む隆起を作りだします。『クル・ド・パリ』の鋲状パターンでこれまでのように装飾された文字盤には、シルバー、ブラック、またはダークブルーのいずれかのカラーのご用意があります。二つのカウンターとスモールセコンドのサブダイヤルはすべて、それ自体がはっきりと背景から浮き上がる渦巻き状の仕上げが特徴です。文字盤を読み取る際に負担をかけないようシンプルで細身の針が取り付けてあります。」



上が42㎜、下が38㎜。多くのバリエーションがある。


もう1つ特筆すべき特徴は、ステンレスケースの素材である。一括りに「ステンレススティール」といっても、いろいろあります。大体皆さんの時計に使われているのは、キッチンシンクなどで使われるようなステンレス、「304」が多いと思います。それにモリブデンを加えたものが「316L」と呼ばれるステンレスで、これもよく聞く名前ですね。医療用のメスなどに使われています。そして、さらにそれをさびにくく改良したのが、「スーパーステンレス」と呼ばれる「904L」です。316Lと904Lの大きな違いは、クロム含有量で、904Lの方が多くのクロムを含んだ合金となっています。したがって、より金属アレルギーの方にも優しく、また強度に優れ、腐食にも強いステンレスです。硬いステンレスですから、何度もたたいて(鍛造)磨けば、綺麗になるのです。しかし、素材としても、加工コストとしても非常に高いものにつきます。

ステンレスというと、「なんだ安物か」という反応もあるかもしれません。もちろん、価格的にはホワイトゴールドやプラチナには負けますが、時計という毎日着けるものに使われる素材としては、実は弊職はステンレスあるいはチタンが一番実用的である、と思っています。プラチナがホワイトゴールドより硬い、と言っても傷つきやすさはステンレスやチタンの比ではありません。重たいし。ドレッシーな時計にはもちろんふさわしいと思います。


ムーブメントは、38㎜も42㎜も同じものが使われています。そして、どちらもソリッドケースバックとなっています。

なぜ裏スケではないのか? それは薄くするためです。サファイヤクリスタルを使うとやはり分厚くなります。重厚長大傾向は明らかに終わりつつあります。私は薄い時計の方が実用的な時計としては好きです。

個人的には、38㎜のステンレスブレスレットが好みです。スキっとした顔立ち、ブレスレットのリンク1つまで手を抜かない造り、真面目なクロノグラフをお探しなら、これはおススメです。今の時代、42㎜の方がお好みの方の方が多いかもしれませんね。


弊職のNo.1 ↓



スペック

38mm
ケース
素材: スティールまたはピンクゴールド
直径: 38.00 mm
厚さ: 10.90 mm
風防: 両面無反射加工サファイアクリスタル
裏蓋: ケースと同素材
文字盤: 『クル・ド・パリ』パターンの、シルバーカラー、ブラックまたはダークブルー
針: 蓄光塗料を塗布した『バトン』タイプ
防水性: スティールケースは100m (10 ATM)、ピンクゴールドケースは50m (5 ATM)


ムーブメント
キャリバー: 機械式自動巻、GP03300-0134/0136/0137
直径: 25.95 mm  
振動数: 28,800 振動/時 – (4 Hz)
部品数: 435
石数: 63
パワーリザーブ: 約46時間
機能: 時、分、スモールセコンド、日付、クロノグラフ


ブレスレット
素材: レザーストラップと、表面にポリッシュとサテン仕上げを交互に施したスティール製ブレスレット
バックル: スティールまたはピンクゴールド製のトリプルフォールディング
レザーストラップには、ラバーストラップも同梱。

税抜価格1,530,000円


ちなみに、42㎜のスペックはこちら:

42mm
ケース
素材: スティールまたはピンクゴールド
直径: 42.00 mm
厚さ: 11.90 mm
風防: 両面無反射加工サファイアクリスタル
裏蓋: ケースと同素材
文字盤: 『クル・ド・パリ』パターンの、シルバーカラー、ブラックまたはダークブルー
針: 蓄光塗料を塗布した『バトン』タイプ
防水性: スティールケースは100m (10 ATM)、ピンクゴールドケースは50m (5 ATM)

税抜価格 1,600,000円



実機が日本に入ってきたらすぐに着け心地を含め深いレビューをしたいと思います。




#GirardPerregaux
https://www.girard-perregaux.com/ja/新作