モリッツ・グロスマン アトゥム・デイト シャンパンゴールド文字盤

 By : CC Fan
大好評のうちに終了した、三越ワールドウォッチフェア。
期間中には間に合いませんでしたが、印象に残ったピースとしてモリッツ・グロスマン(Moritz Grossmann)のアトゥム・デイト(ATUM Date)のシャンパンゴールド文字盤を取り上げたいと思います。



去年発表された"グロスマンらしい"極めて堅牢かつユニークなポインターデイト機構に、特徴的なシャンパンゴールド色の文字盤を組み合わせた今年の新作です。
シャンパンゴールドと聞いてイメージする色よりも落ち着いた色調で、ムーブメントの無垢の洋銀(ジャーマンシルバー)を彷彿とさせます、ホワイト文字盤よりも金属光沢が強めですが、時分の読み取りに問題はなく程よいアクセントといった印象です。



角度によって放射状に広がる光沢が変化する様が伝わりますでしょうか?
特徴的なアワーマーカーはリング状の部品を使い、外周部から駆動されているため、一般的なポインターデイトのような針はありません。

メカニズムについては去年の三越WWFの記事でも書いたので別の視点から。

a-lsさんの記事からムーブメント図を引用します。



24時間で1回転する日付切り替え車から制御されるリング型バネにトルクを蓄積し、24時付近で開放して瞬転させる構造ですが、今回伺ったところ、チャージ時間は20時から24時までの4時間、24時間車は24時間で1回転(360°)するため、チャージの角度は360°/24×4=60°になります。
チャージされたトルクが解放されるとレバーが一気に60°動き、日付を切り替えるための星型歯車を弾いて1日分進めます。
星型歯車は6歯なので、こちらも1日当たり60°です。

この機構の肝は両方が60°なので、レバーが通過する60°の範囲には常に星型歯車の歯は1歯分しか存在できず、逆に日付を送る一瞬以外は星型歯車の歯が通過する範囲にはレバーが存在しないということです。
これにより日付が送られるとき以外はレバーに星型歯車がぶつかる心配がなくなります。

境界条件を考えると、ぶつけることはできなくはないと思いますが、悪意を持って操作しない限り作り出すことは難しく、ぶつかったとしてもレバーはバネで支持されているため力を逃がすことができ、即座に破損はしないでしょう。
日付リングは重そうで弾かれるだけで動くのかと思いますが、デイトを保持するリングはアルミ合金で作られ極めて軽量だそうです。

日付調整用のリュウズを10時位置に別に用意することで日付操作をシンプルかつ両方向に調整可能とし、さらにレバーで排他制御することで時刻調整と日付調整を同時に行えなくしてあります。
個人的には調整しづらい永久カレンダーよりも簡易に調整できるシンプルカレンダーが良いと思っているので、この構造は非常に好みです。

ちなみに、日付を切り替えるタイミングは12時ちょうどになるように調整するそうですが、経年変化もあるため保証値としては設けていないとのこと。



ラッピングがついていますが…
デイト機構は文字盤側にあるため、ムーブメントは通常のアトゥムと変わらないように見えます。
洋銀の色が文字盤色とマッチしています。



文字盤のレイアウトは、ポインターデイトの分だけ内側にインデックスが移動しているため、凝縮感があります。

ユニークな文字盤によりホワイトモデルとはまた違う魅力を持つアトゥム・デイト、現在は1本しかないため茗荷谷のモリッツ・グロスマンブティックのみで展示しているそうです。
他のブランドに無い独特な表現の文字盤は実機でご確認ください。

関連 Web Site (メーカー・代理店)

モリッツ・グロスマン・ジャパン株式会社
www.grossmann-uhren.com

モリッツ・グロスマン・ブティック
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