QUAI DES BERGUES XO Steel & Titanium Model

 By : CC Fan
ケ・デ・ベルク(QUAI DES BERGUES)の他のバリエーションを紹介いたします。

一般的に、高級ブランドの場合は貴金属モデルのみ先行させ、ステンレスなどの普及モデルは時間差で出すことが多いと感じていますが、チャペックでは同時に発表されています。

まずはXOスチールバージョンです。
これは従来のステンレスよりも耐蝕性に優れたスチール素材で、スイスのStabioにあるモンタンシュトール(Montanstahl)社より時計業界ではチャペックにのみに独占供給されます。
従来のステンレスが耐えられないような、北海の高濃度塩水や酸性の環境にも耐えられます。
昨今の時計業界では新素材競争が激しいですが、あえてスタンダードなステンレスケースに持ってくるというのは面白いと思います。

ケースは貴金属ケースと基本的なデザインは一緒ですが、ディティールをよりモダンにした"REVOLUTION"ケースになっています。
具体的にはラグから、ケースサイドに連続的な溝が設けられ、サイドからの印象を引き締めています。
この溝と貴金属ケースでも設けられていたリューズガードを両立するために、ブール論理の考え方を使いラウンドシェイプが一体化するような形状になっているそうです。
おそらく三次元形状におけるブーリアン演算と同じように、二つの形状に対して和・差・積を取る考え方をベースに作っているのではないかと思われます。

XOスチールはケースは共通で、文字盤によって3つのバリエーションがあります。
今回のイベントに合わせて、"オパーリン"バリエーションが初公開されました。
バリエーション数は貴金属より少ないですが、すべてを拝見することができました。


QUAI DES BERGUES XOスチール オパーリン文字盤

貴金属のエナメル文字盤との違いとして、ローマンインデックスがアラビアとバーに変更されたうえで、インデックスの内側に段差が設けられ、内側がスモールセコンドやパワーリザーブと同じ高さになっています。
また、スモールセコンドとパワーリザーブに金属製のリングが追加されています。
これにより、デザイン上での差別化を行い、よりモダンな印象を持たせています。
文字盤は真鍮製です。


QUAI DES BERGUES XOスチール アントラサイト文字盤

こちらはアントラサイト文字盤のものです。
先ほどの写真のフォーカス違いのものから切り出したので、手前にオパーリンが映り込んでしまっています。


QUAI DES BERGUES XOスチール ソリッドシルバー文字盤

最後の一つは貴金属ケースと同じデザインの文字盤で、素材をソリッドシルバーにしたものです。
古典的な印象に合わせるためか、ブルースチール針を使っています。


QUAI DES BERGUES オパーリンとアントラサイト

パワーリザーブ表示が異なっていますが、これはモデルの違いではなく、オーダー時に英語曜日・仏語曜日・アローから選ぶことができるためです。
個人的には古典的な文字盤には曜日、段差付きのモダンな文字盤にはアローかなと思います。

最後に紹介するのはグレード5チタンバージョンです。


QUAI DES BERGUES グレード5チタンケース

XOスチールバージョンと同じくREVOLUTIONケースを使っており、一見すると素材とベゼルの仕上げ(XOはポリッシュ、チタンはサテン)ぐらいしか差がないように見えます。

しかし、チタンバージョンを最も特徴づけるのはカーボンファイバー製の"Vinyl"ダイヤルです。
"Vinyl"というのは素材のビニールのことではなく、レコード盤を表しています。
インデックス部分にレコードのような溝が見えるのが分かりますでしょうか?


カーボンファイバー製の"Vinyl"ダイヤル

角度をつけるとより分かりやすいです。
また、基台の部分が一定の方向にキラキラと輝いています。
これらはカーボン繊維の反射によるものです。


"Vinyl"ダイヤル製法説明のキット

ベース部分(右下)は0.15mm厚の単方向(Uni Directional:UD)のカーボンファイバーシートです。
通常のカーボンファイバーシートは全方向に強度を持たせるように繊維を交差させて並べますが、UDカーボンファイバーは単方向にのみ強度を持たせるために一方向に並べます。
強度はともかく、UDは名前の通り繊維が一方向に並んでいるため、筋目彫りのような見た目になります。

ベースの上に接着されるリング部分は、カーボンのシートをカーボンの棒(左)に巻き付けて焼結させて作ったドーナッツ状のカーボン素材(右上)から0.4mm厚のリング(右下)を切り出します。

これを銅板のベースの上に接着して印刷とアプライドインデックスを張り付けることでダイヤルとなります。
ボイド(空乏)やクラック(割れ)ができてしまうと使えないため、製造はかなり難しいとのことでした。

写真だと分かり辛いのですが、光を反射する中心部とマットな周辺部のコントラストが素晴らしく、針が通る周辺部がマットなことで読み取り性も損なっていません。
個人的に、この文字盤は最も魅力的に感じました。

チタンはDiamondBlack(TM)のADLCコーティングを施したバージョンもあります。


QUAI DES BERGUES ADLCグレード5チタンケース

最近はADLCコーティングが流行っていますが、供給元のブランド名まで明らかにしているのは珍しいと思います。

ionbond社のDiamondBlackの説明

ビッカース硬度はチタンモデルの倍、約3000相当だそうです。
一覧画像とTOP画像はADLCモデルのバックビューです。
黒色のケースとムーブメントのコントラストが一番きれいだと思います。

関連 Web Site

CZAPEK Geneve
https://czapek.com/

Noble Styling
http://noblestyling.com/