Naoya Hida & Co. (NH ウォッチ株式会社)- 新作2モデルを実機拝見 + トランクショーのお知らせ

 By : KIH

Naoya Hida & Co. (NH ウォッチ株式会社)- 新作2モデルを実機拝見!


左がタイプ 1C、右がタイプ 2A

飛田さんの今年の新作についてのニュースはこちらで発表させていただいたが、結局新作発表会は中止になり、実機を見る機会は棚上げとなってしまっていた。緊急事態宣言が解除され、徐々に経済活動もゆっくりとではあるが再始動している中、筆者は在宅勤務3か月目に入り仕事柄あまり昼間外に出られないため、わざわざ弊自宅の近くまで来ていただき、実機を見て触らせていただいた(わがままで申し訳ありません!)。

まずは、NH Watchという会社、第一弾で発表したモデルや飛田さんという人物については、以前の投稿を見ていただきたい。


おさらいをすると、昨年、NHウォッチはタイプ1Aとタイプ1Bを発表(ただし、タイプ 1Aはプロトタイプだけで終了、販売はタイプ1Bのみ)。9本作り、1本はディスプレイ用、1本は飛田さんご使用、ということで7本のみが一般販売された。むろん、即完売。飛田さんを知っている人なら、見なくても買う人もいたことだろう。

1.タイプ 1C 


今回のタイプ1Cは、そのタイプ1Bの改良版と言える。ベースムーブは7750。クロノ部分を取っ払い、手巻にしたもの。さらに、巻き上げ感を高めるため、コハゼ及び周りの部品と受けをオリジナルで作った。今回もほとんど変わってはいないが、タイプ 1Bにおいては、7750はもともと日付表示があるため、リューズの引き出しが2ステップあった。もちろん、このモデルには日付窓も日付ディスクもないが、時刻調整時には2ステップ引かねばならなかった。タイプ1Cにおいては、ここを改良し、1ステップで時刻調整ができるようになった。

レトロ感というか、ビンテージ感にこだわる飛田さんの情熱は、個人的には非常によく理解できる。流行はやや戻りつつあるとはいえ、今も40㎜超のモデルが普通で、自動巻き全盛だ。筆者も今日まで知らなかったが、自動巻きの方が圧倒的に売れるんだとか。私は、手巻きにこだわる気持ちはよくわかる。今でこそ、自動巻きの時計はいくつか持っているし、それはそれで便利だなと感じるが、まだまだこの趣味の駆け出しだったころは手巻きにこだわったものだ。しかし、圧倒的に自動巻きが売れて、手巻きを買うのは一部の「変態」というのは知らなかった。というわけで、この巻き上げ感へのこだわりも非常によくわかるのだ。オーデマ・ピゲのVZSSにしろ、デュフォー師匠のシンプリシティにしろ、わざわざ巻き上げ時に「カリカリ」するように工夫がされている部分を見せている。やはり、手巻き族は今や「絶滅危惧種」なのだろうか・・・。


メタルバックながら、非常に丁寧に仕上げてある。

ちなみに、7750というのは、ETA 7750ともValjoux 7750とも、あるいはETA Valjoux 7750とも呼ばれるが、本当によく使われるクロノ+日付表示の、自動巻きムーブである。それを、クロノを取っ払い、日付表示も取っ払い、手巻きにして、もともとはやや厚めのムーブをここまで薄くしている。原型をほぼとどめないくらいに見えるが、非常に頑丈・堅牢にできたムーブで、多くの有名ブランドも「自社ムーブ」と称して、これをベースにしたクロノグラフをたくさん出しているほど。

とりあえず、機構の解説は後日ccfanさんがきっとやってくれると信じて。。。

そして、ラグの外側を0.5mm削り細くし、ややスッとした印象になった。
 
微妙だが分かるだろうか? 左が1B、右が1C

そして、文字盤のフォントもやや太くなった。
 
左が1B、右が1C


まだまだあるが、あと目立つのは、秒針の形状だ。1Bではリーフ型、1Cではバー型でカウンターウェイト付きとなっている。
 
左が1B、右が1C


さらにちなみに、1Aと1Bの違いは? なぜ1Aは製品化されなかったのか?
1Aというモデル自体が、飛田さんのこのプロジェクト開始にあたってのプロトタイプというか、一番最初のコンセプトモデルだったのである。いろいろと考えた末に作ってみたが、1Aではやや納得いかなかったということであろう、と理解した。例えば;

・ ラグ間のケースとのアングルが丸かった。
 
左が1Aで、右が1Bであるが、左の方がレトロ感はあるものの、ちょっと現代では受けないか、という結論。

・ ケースのエッジを立たせ過ぎた。筆者の個人的な気持ちだが、ビンテージやアンティークは素晴らしい作品が多いが、その年月を経て、何度もケースが磨かれ、こういったケースのエッジが丸まってしまっているものがほとんど。それは、アンティークやビンテージの宿命とは思いつつも、我慢ならん部分の1つで、このレトロ感、アンティーク感あふれるコンセプトで作られた時計に求められることとして、エッジがきちっと立ったままのアンティーク風時計でなければならない、というお考えだったのだろう。そして、今と違い、当時はきっとエッジを立たせ過ぎるくらい立たせたまま(上下を削って、横を削って、そのまま)のモデルが多かったのだろう。というわけで、プロトタイプでは「どこまで立たせられるか」に挑戦した、ということだと思う。
 
左が1A、右が1Bだが、1Aはあまりに立たせ過ぎたため、装着時には時計が当たっていた手首の上の部分に切りキズと出血が絶えなかったとか(冗談か?)。というわけで、ややエッジを丸めることにした。それでも現代人の我々にはちっとも丸まっているようには見えない。


等々、タイプ 1は、飛田さんによると、1930-40年台の時計のイメージ、とのこと。
税抜 185万円、10本程度と考えているが受注状況による、と。ひょっとしたら、来年も作るかもしれない。1Bが180万円だったので、ほとんど変わらない値段での改良版だ。


2.タイプ 2A
さて、タイプ2Aもベースムーブは7750ということで同じだが、センターセカンドになり、今度は1950年代風(飛田さん曰く)の作品となった。このセンターセカンド針は、ものすごく簡単に言えば、もともとクロノグラフ用のムーブである7750のクロノグラフ針を連続して使用している、という仕組みと思ってほしい。


文字盤の真ん中を一段落とし、立体感を出すよう心掛けた、という一品。工夫はいろいろあるが、いくつか並べると;

・フォント - 髭のようにピョンと跳ねているところが、ブレゲよりも難しいと職人さんが言うほど。

・ 時針と分針が316Lステンレススチールの半丸棒タイプ - 重くなるので裏側は空洞にした
ついでに、文字盤と針の距離など、飛田さんが目指した「立体感」を見て欲しい(アングルが今一つで申し訳ない)


リストショット(私の手首は16.5cmくらい)

税抜 210万円、10本程度。これはおそらく来年は作らない。買うなら今年だけ! が、来年は2Bが出る「かも」しれない。飛田さんもまだどうするか考えていない。


ちなみに、両モデルともパワーリザーブは45時間。

で、どちらのモデルもケースは眼鏡ケース型と、丸型を選べる。















ストラップは、ガルーシャテイルさんと、ジャンルソーさん(選べます)
ガルーシャテイルさん

ジャンルソーさん


そろい踏み!



左から、1A、1B、1C、2A(ディスプレイ用)、2A(実機)
真ん中の3つは、ガルーシャテイルさんのストラップ、右端はジャンルソーさんのストラップ


そして、そろそろ非常に興味が出てきた皆さんへのお知らせがこちら。

====================
Press Release

「NAOYA HIDA & Co. TRUNK SHOW カミネ 旧居留地店」

NH WATCH株式会社(本社:東京都中央区 代表取締役 飛田 直哉)は2020年6月14日(日)に、神戸の時計専門店 株式会社カミネ(本社:神戸市中央区 代表取締役 上根 亨)にて、「NAOYA HIDA & Co. 」として初めてのトランクショーを開催いたします。新商品をご覧いただき、飛田直哉本人から新作の時計について説明させていただきます。このトランクショーは事前予約制となります。

 
NH TYPE 1C                                            NH TYPE 2A


カミネ旧居留地店
 

※ ご参加を希望されるお客様は下記までご連絡ください。
2020年6月14日(日)11:00 - 18:00(予定)
カミネ 旧居留地店 神戸市中央区播磨町49 旧居留地平和ビル1F
電話 078 325 0088
Mail:kyukyoryuchi@kamine.co.jp

NHウォッチ株式会社
www.naoyahidawatch.com
info@naoyahidawatch.com
====================

関西地方の方は、マスクをして「3密」には気を付けつつ、足を運んでみてはいかがだろう。もちろん、満員電車に揺られていくようなことは時節柄お勧めしないが、できるだけ実機を見て分かっていただきたい時計である。

飛田さん、本当にご足労いただきましてありがとうございました!