関口 陽介 氏の時計『 プリムヴェール ( Primevère ) 』発表会レポート by haru
By : Guest Blog今回、ご紹介するのは、東京・青山で4月23・24日の2日間開催された、 ル・ロックル在住の時計師、関口 陽介 氏の腕時計『 プリムヴェール ( Primevère ) 』の発表会の模様です。(参加日 24日・日曜日)
プリムヴェールとは、
雪解けごろに咲く花から取られた名前で、雪の終わりと春の訪れを感じさせる花、関口氏がひっそりと温めてきた時計が陽の光の下で花開くイメージと重ねて名付けられました。
会場には関口氏のアトリエと、今回プリムヴェールを製作する際お手本となったユール・ヤーゲンセンのムーブメントのパネル等が飾られていました。
14時スタート
まず、小柳時計店 代表の小柳和彦氏から挨拶の後、発表会は飛田直哉氏との対談形式で行なわれました。
小柳氏(写真右端)は、
関口氏の時計製作の夢を実現してもらう為に猛烈な後押しをし、関口氏の時計がいち早く世に出させた影の立役者で日本での輸入販売元となります。
内容は、関口氏の時計製作にたどり着くまでと製作秘話が中心で進行します。
まず、関口氏が渡仏した話から始まります。
フランスでの苦労話から語学学校、職業訓練校、そして恩師との出会いを話されました。
まず、一人目の恩師、レミ・ブラッコ氏
この方の部屋を間借りしながら、職業訓練校で知り合った友人の授業ノート、宿題を見せてもらいながら時計技術を習得されました。
そして、レミ・ブラッコ氏の後押しもあり、ラ・ジューペレ入社しています。
二人目の恩師、
故 ゲルト・ベレント氏
ゲルト・ベレント氏はGPのスリーブリッジ・ツゥールビョンを製作された裏方の時計師で、関口氏に色々な課題を与えながら氏を成長させて下さった方。
関口氏は師の信頼を得た後、 古典的な製作技術を惜しみなく教えて下さったそうです。
この体得された技術も今の関口氏の時計製作に活かされています。
その後
ラ・ジューペレ入社後はクリストフ・クラーレで更に技術を磨き 退社後は時計店ジュバルの専属時計師としてありとあらえる時計の修理・修復をされています。(写真は関口氏とジュバル氏)
そして関口氏の時計製作について!
参考となるムーブメント
まず、各パーツを製作…
これらのパーツは、糸鋸から切り出したそうです!
飛田氏も古典的手法での製作に驚いていました。
パーツの固定
そしてセンター歯車の位置決めから始まり
テンプなど製作
少しずっムーブメントらしくなりプロトタイプを完成させられました。
関口氏のアンクル
上・磨く前。下・磨いた後。関口氏のが指しているアンクルは、比較の為の ETA 7750の物
何故この様な形状なのか…
それは、『バランスを取る為に、全長が長い』と、
飛田氏が解りやすく解説してくれました。
アンクル・ルビー受けを磨く前と後。
ガンギ車の磨きについても詳しく。
針の製作
プレスした形状から磨きだして作るのではなく、
袴座の3倍ぐらい厚みのある金のブロックから、関口氏自身の手作業で整形・研磨して丁寧に作られています!
特に袴座から生え出るように突き出た針は正面からは細く、横からは肉厚で曲線を描きながら、
先端部分に行くにつれ更に細く、文字盤に向かい下方に曲るように曲線を描いています。
また、袴座の3段の丸みある仕上げも惜しみなく丁寧に!
厚みのあるケースに、ぽっちゃりした袴座を持つ針が良い雰囲気を醸し出しています!
関口氏の時計に使われる歯車
普通は5本足ですが…
6本足で統一されています。
文字盤。
文字盤裏に足を2本出しムーブメントに固定するのが普通ですが…
関口氏の文字盤には足がなく、
ムーブメントと文字盤はT 字型のリングを使いムーブメントと文字盤を厚着する方法
現行モデルにはない、古典的な手法で関口氏が時計修復を通じて得た知識です。
香箱。
古典的な方法では厚みや耐久性に問題が生じるので再設計。
また、丸型コハゼを採用しダイレクトな巻き上げ感を実現等々、
製作にまつわる話を飛田氏解説・補足説明を交えての対談形式のトークショーでした。
トークショーの後は時計を手に取りながら、関口氏への質問や製作秘話などに当てられました。
実機の前に関口氏が理想とする造形美を持ったお手本となる時計!
関口氏が、はめていた時計です!
ユール・ヤーゲンセンで作られた懐中時計を関口氏が手を加えて腕時計にしたものです。
いよいよ実機
RG 39.5mm
今回、初お披露目の SS モデル
39.5mm
針はホワイトゴールドを使用
ホワイトエナメル文字盤にインデックスは黒色、RG モデルとはまた違った雰囲気が良いです。
エナメル文字盤は素晴らしい出来でした!
SSモデル・RGモデル・関口氏のコレクション
関口氏の時計はユール・ヤーゲンセンの雰囲気を持つが…
各パーツを再設計し作り出したオリジナルの時計で、
細部まで惜しみなく磨かれ関口氏の思いが込められた時計でした!
また、氏の人柄が時計によく表されていました。
関口氏は今後の時計製作について、
『 時計製作のポリシーは変えたくない! 』
と、言っておられました。
『 1本、1本! 私自身が責任を持って仕上げて相手に届けたい! 』
製作のスピードは上がらなくても、心を込めて作って行きたいと言う気持ちが伝わってきました。
製品版は関口氏のプロトタイプをコンピューターに落とし、ある程度のパーツは出来るとしても…
出来上がったパーツを一つ一つ磨く作業は関口氏が行う!
文字盤・ケースは超一流メーカーが関口氏の為なら製作のしてくれると言えども…
そう簡単には出来上がる物でもなく…
手間の掛かる針の製作も簡単ではないし…
関口氏の時計を手に入れる事は容易ではないと言う事ですねぇ…
価格以上にハードルは高いです…!
最後に
関口氏・飛田氏・関係者の皆様ありがとうございました。
【お問い合わせ】
小柳時計店
Yosuke Sekiguchi Offcial@yosuke-sekiguchi.com
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