パルミジャーニ・フルリエ トリック エミスフェール レトログラード 実機レヴュー!

 By : CC Fan
パルミジャーニ・フルリエ(PARMIGIANI FLEURIER)が今年のSIHHで発表したトリック(Toric)コレクションに加わったGTMウォッチ、トリック エミスフェール レトログラード(Toric Hémisphères Rétrograde)の実機を拝見することができました。
このピースはGPHG2017のPre-Selectionにも選ばれています。

他のトリックコレクションと同様のゴドロン装飾のベゼルを持った美しいケースに、GMT機能とレトログラードカレンダーを組み込んだ作品です。



GMTのための第二時間帯表示のサブダイヤルを12時位置に配し、それと重ならない2時位置から10時位置をレトログラード表示のカレンダーの可動範囲とすることで、視認性の良さとダイヤル上のバランスを両立させています。

6時位置のサブダイヤルは第一時間帯の24時間表示とスモールセコンドで、第二時間帯のサブダイヤルに比べて一回り小さくすることでレトログラードカレンダーのインデックスを分断しない配慮が加えられています。
機能は多いですが、それぞれのインデックスはかなり控え目な表現で、文字盤全体としてはシンプルな印象を受けました。



各サブダイヤルの高さを変え、それぞれの針と文字盤の間のクリアランスを詰めています。
それぞれの針の形も変え、直感的に各表示を読み取れるようになっています。



第一時間帯に関係する針は4N ゴールドプレート、第二時間帯に関係する針はロジウムプレートと仕上げを変えることで、容易に二つを区別することができるようなデザインです。



グレイン仕上げのダイヤルは各部で仕上げを変えることでコントラストをつけています。
ここまで拡大して粗は一切見えません。



控えめなデイト表示のインデックスです。
よく見ると、センター針の取り付け位置は文字盤の中央ではなく、わずかに6時側にオフセットしています。



特徴的な二つのリュウズ、4時側の全体(ベースムーブメント)の調整と巻き上げ、2時側の第二時間帯の時差(コンプリケーションプレート)の調整に分けることで、操作をシンプル化して使いやすくしています。
わずかに高さが違うように見えるのは、巻き芯が生えている場所が違うためと思われます。



グラスバックで、パルミジャーニ・フルリエ製ムーブメント PF317を干渉することができます。
ベースムーブメント コンプリケーションプレートという構成で、ベースムーブメント部分に合わせてグラスバックが作られています。
ケースに対して開口部が小さめなためか、丸みを帯びたケースの造詣がより強調されていると感じました。
こちらから見ると、ベースムーブメント側の4時位置のリュウズ画より手前にあるのが分かるかと思われます。



ケースの丸みは伝わりますでしょうか…



時計本体とのバランスのためか、観音開きのフォールディング・バックルが取り付けられています。



ボタンを押してロックを解除するタイプです。

頂いた資料からムーブメントも見てみましょう。

ムーブメント側です。
ベースムーブメントがレトログラードカレンダーと第二時間帯表示を実現するためのコンプリケーションプレートに取り付けられているのが分かります。


文字盤側です。
最終的には文字盤が載るため、オーナーが直接観ることは叶いませんが、コート・ド・ジュネーブでしっかりと仕上げられています。

向かって左側にはレトログラードカレンダーのためのスネイルカムと読み取りレバー・スプリングがあります。
カタツムリ(スネイル)に似た形のカムがスプリング付きのレバーを押すことで一ヵ月で一周する歯車の動きをカレンダー針に伝えます、月末にあるカムの段差にスプリングに蓄えられた力を使ってレバーが落ちることで針が一気に戻り、レトログラード動作をします。
カレンダー針は時分針と同軸で3本の針が一つのカナに集中するためか、ルビーによって支持されています。

中央やや下の時分針から向かって下側の24時間表示と向かって右上の第二時間帯表示へ輪列がつながっている様子もわかります。
輪列の途中には調整時のトルクを逆流させないためのクラッチ構造も備えられ、2時位置のリュウズでの第二時間帯の操作は第一時間帯への影響を及ぼさないようになっています。
機構としては計時輪列は共通で、時差を設定するための時合わせのための輪列を追加した…と理解しました。
4時位置のリュウズを使い、第一時間帯の時間を調整するとそのまま第二時間帯も連動して調整できます。

すでに実績のあるベースムーブメントを使い、モジュールの設計も部品が強靭で"手堅い"と言えますし、複雑ながらも使う人のことを考えた、"使うためのコンプリケーション"ではないでしょうか。
また、このクラスこの仕上げで275万円(税別)という価格も、実にリーズナブルと感じました。

最後に何枚かのリストショットを…





ありがとうございました!


【問い合わせ】
パルミジャーニ・フルリエ・ジャパン㈱
電話番号 03-5413-5745 

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