時計愛好家のためのヨーロッパ(ジュネーブ編) by k.hillfield

 By : Guest Blog


前回のパリ編に引き続き、本日は時計愛好家のヨーロッパ・ジュネーブ編について書かせていただきます。



●ジュネーブ限定モデルのスウォッチと観光名所の大噴水。時計のベルトに大噴水が描かれています。(著者撮影)


SIHH(ジュネーブサロン)もオープンデーが始まり、オープンデーに関しては一般の方も訪問できるようになりました。同時期にはLVMHグループのプレバーゼルが船上で行われたり、各時計ブランドのロゴが大きく入った黒塗りの高級車が市内を走り回って、様々なブランドの個別展示会にゲストの方を送迎したりしています。

特別なイベントのない時期の基本的な過ごし方としては、営業時間の短いパテック・フィリップのミュージアムを最優先し、空いた時間にシテ・デュ・タン(スウォッチのミュージアム)に寄るのがおススメです。

今回は《SIHHオープンデー》、《ホテル》、《ミュージアム・ブティック》の順に書かせていただきます。

《SIHH(ジュネーブサロン)オープンデー》

(1)SIHH(ジュネーブサロン)(要予約)


●SIHH会場近くにて。時計は私物のヴィンテージのIWC。(著者近影)

2017年よりSIHH(ジュネーブサロン)においても、一般公開日が設けられました。2018年のオープンデーは1月19日です。

私も前回のSIHHはオープンデーに訪問しました。
ヴァンクリーフ&アーペルのポエティックコンプリケーションや、ヴァシュロン・コンスタンタンの伝統と最先端の技術が組み合わさったユニークピース、IWCやジャガールクルトの最新モデルなどを見られて非常に感動しました。

ジュネーブサロンの会場はジュネーブ空港に隣接しているPALEXPO(パレクスポ)という場所になります。ジュネーブ空港からはもちろん歩いていけますし、市内の中心地(コルナヴァン駅)からも電車で一駅の距離にあります。

オープンデー訪問に際して、事前にチケットを予約する必要があります。
チケットは70スイスフラン(約8,000円)です。

予約は下記から行うことができます。
https://sihh.org/?lang=en

当日は午前11時から午後6時までとなり、写真撮影は原則不可です。
写真はメディアの方々が美しい写真を撮ってくれていることを期待して、目の前の美しい時計の数々に集中したいところです。

なお、下記の写真は2017年のSIHHにおけるジャガールクルトのヴァーチャル試着の様子です。
専用のバンドを手首に巻き、最新モデルをヴァーチャル試着することができます。

●ヴァーチャル試着の様子。試着して撮影したデータは自身のメールアドレスへと送ることができます。(著者撮影)


なお、SIHH以外も、WPHHやブランド個別の展示会がジュネーブやその近郊で行われています。

(2)LVMHジュネーブウォッチフェア(予約不要・入場無料)

LVMHのプレバーゼルにあたるイベントで、SIHHと同じ時期に開催。定期的なイベントなのか、それとも2017年のみのイベントなのかは不明です。市内の中心部のレマン湖上に一隻の客船が浮かんでおり、ゼニス、タグ・ホイヤー、ウブロの最新作を見ることができます。 

詳細は下記より(ゼニス公式サイト内ニュース)
http://www.zenith-watches.com/en_en/news/geneva-fair-2017-lvmh-watches-exhibition-grand-opening

住所:Quai du mont blanc 10, 1201 GENEVE
時間:1月16日~1月20日 午前8時から午後8時 (2017年) 


《ホテル》

ジュネーブの滞在にお勧めなのが下記のホテルです。
「ワーウィック ホテル ジュネーブ Warwick Hotel Geneva」
https://warwickhotels.com/geneva/

ジュネーブの中央駅・コルナヴァン駅の目の前にある4つ星ホテルです。


●ホテルの部屋から。奥に見えるのがジュネーブの中央駅・コルナヴァン駅。(著者撮影)

私がここをお勧めする理由はアクセスの良さや清潔感、そして価格もあるのですが、それだけではありません。その理由はエレベーターホールにあります。
なんと、エレベーターホールの時計がゼニス・エルプリメロの掛け時計なのです。


●エレベーターホールの時計(著者撮影)

毎朝、この掛け時計を見て出かけるのは、私のような時計愛好家にとって至福の時間であるように思えます。(もちろん行き先も時計関係です。)

 
《ミュージアム・ブティック》

(1)パテック・フィリップ ミュージアム(予約不要)

ジュネーブに来たならば、ぜひとも訪れたいのが、ここパテック・フィリップミュージアム。
館内は撮影禁止です。オールドパテックが好きな人は閉館まで過ごすことになると思います。 個人的に印象的だったのは以下の3本です。
・パテック・フィリップのレベルソ(参考記事: 『ジャガールクルト以外のレベルソ』https://watch-media-online.com/blogs/974/
・30年代のRef.96
・トロピカル(Ref.2526)

パテックの時計だけでなく、ブランド創立前の素晴らしい懐中時計のコレクションや、ブレゲの時計を多く展示しているのも印象的で、パテック・フィリップの時計が、自社の時計だけでなく、先人の作った時計に敬意を払い、その伝統を紡いでいることを強く実感しました。

●パテック・フィリップ ミュージアム近郊の看板
(著者撮影)



●パテック・フィリップミュージアム(著者による撮影)

素晴らしいコレクションを誇るパテック・フィリップの博物館ですが、気を付けたいのが営業時間です。平日は火曜日から金曜日の4時間のみの営業時間です。
・火曜日~金曜日:午後2時~6時
・土曜日:午前10時~午後6時
(祝祭日は閉館) 
※毎週土曜日の2時半からは英語によるガイドツアーを開催


●パテック・フィリップミュージアムの正面にて。著者私物のパテック・フィリップの時計(著者による撮影)

なお、入場料は10スイスフラン(約1140円)です。
館内では、ポストカードや筆記用具などのお土産も購入できます。
パテック・フィリップミュージアム
http://www.patekmuseum.com/

 

(2)シテ・デュ・タン(予約不要)

スウォッチのミュージアム。
1階はロンジンなどのグループ内他ブランドも含めた展示、2階はレストラン。
3階に今まで発売されたほぼすべてのスウォッチを展示しています。(「キキピカソ」や「バニーストゥーラ」などの希少モデル、特大サイズのMAXIシリーズ以外はほぼすべて、ここで見られます。)


●シテ・デュ・タンの様子。壁一面に年代順に並ぶスウォッチ。(著者による撮影)


●スウォッチのプロトタイプ。世界的なオークションでも高値で取引されています。(著者撮影)


●ディアファン・ワン。スウォッチのトゥールビヨン(30分で一周)。これまで定期的に限定モデルとして様々なバリエーションが発売されています。ムーブメントの開発はブレゲ。(著者撮影)


●ブラックシープ(中央)。1990年代中盤に発売されたモデルで、少し大きなサイズの復刻版(ブラックシープ トゥー)も発売された人気モデル。白い羊の群れの中に黒い羊が一頭います。オリジナルモデルは希少価値が高いです。(著者撮影)

 

(3)パテック・フィリップ サロン(予約不要)

ジュネーブのパテック・フィリップ ブティック。
世界で三店舗しかない、パテック・フィリップのサロンの一つです。(残り二つはパリとロンドン。)
ジュネーブのサロンは、もともとの工房兼本社を開放しています。

●外観。(著者撮影)


外観としてはストーリーを有する数々のディスプレイが大きな特徴です。
ブティック内は大きな部屋になっていて、大きく綺麗な絨毯や美しい調度品が特徴です。日本ではあまり見られない珍しいレディースモデルも多く見られます。


●ディスプレイ。スイスののどかな風景を連想させます。(著者撮影)

パテック・フィリップ ブティック
https://www.patek.com/en/retail-service/patek-philippe-salons#geneva

 

(4)スウォッチ ブティック(予約不要)

市内にある様々なスウォッチ ブティックでジュネーブ限定やスイス限定の希少モデルをはじめ、日本では本数の少ない希少モデルが購入できることもあります。
例えば、下記の限定モデルは日本ではあっという間に完売してしまったのですが、ジュネーブのブティックでは買うことができました。

●2014年限定モデル「ドリームケーキ」。スイーツにインスピレーションを得たモデルで、ボックスもケーキの形です。(著者私物)

スウォッチ ブティック
https://www.swatch.com/ja_jp/store-locator#q=Genève, スイス

 

(5)ヴァシュロン・コンスタンタン ブティック & アトリエ (ブティックは予約不要、アトリエは要予約)

●ブティック外観。(著者撮影)


ジュネーブのヴァシュロン・コンスタンタンのブティックは2階にてヴィンテージ・タイムピースの特別な展示が行われることもあるようです。2016年12月に訪れた際は、ミニッツリピーター(懐中時計~1940年代に造られた腕時計)を展示していました。


●アトリエ外観。(著者撮影)

また、ブティック近くのアトリエも電話によるアポイントメントにより訪問可能とのことです。(アトリエ訪問はブティックからもお誘いをいただいたのですが、時間が合わず、今のところ、まだ一度も伺えておりません…)

ヴァシュロン・コンスタンタン ブティック

http://www.vacheron-constantin.com/jp/正規取扱店-高級腕時計/ヨーロッハ-/スイス/geneva/geneva-longemalle-ウ-ァシュロン-コンスタンタン-フ-ティック.html

 

6)フランクミュラーのブティック(予約不要)

●外観。(著者撮影)

フランクミュラーの旗艦店。コンプリケーションを中心に展示されています。
住所:Rue de la Tour-de-l'Île 1, 1204 GENEVE 

 

(7)ブライトリングのブティック(予約不要)



航空計器というコンセプトを残しつつも、日本と違ってセクシーなモニュメントが目立ちます。
住所:Place des bergues 1, 1201 GENEVE

 

(8)FPジュルヌのブティック(予約不要)


●外観。(著者撮影)

FPジュルヌのブティックです。近くにアトリエもあります。(要アポイントメント)。
住所:13, Place Longemalle, 1204 GENEVE

 

(9)ウブロ本社(要アポイントメント)


●本社外観(著者撮影) 

ニヨンというジュネーブの近郊の町にあります。
ニヨンまではジュネーブから電車で15分ほどなのですが、ウブロの本社へ向かうには、ニヨンからさらにローカル線への乗り換えが必要となります。本社建物に入るには要アポイントメントです。
住所:Chemin de la Vuarpillière 33, 1260 Nyon


(10)街中のブティック

ジュネーブは本当に時計店が多いです。
時計店だけでなく、時計業界の売上などの統計を出しているスイスの銀行Vontobelや、アンティコルムの本社もジュネーブにあります。

●フレデリック・コンスタントの「ハートビート」の大きな時計。(著者撮影)

 


●Vontobelの看板。スイスの銀行で各ブランドの売上などの統計資料を定期的に発表しています。(著者による撮影)

 

【余談】ジュネーブのチョコレート事情

(1)ステットラー

●生チョコケーキ。テイクアウトも可。(著者による撮影)

生チョコケーキがとても美味しいです。ジュネーブ訪問のたびに訪れる店です。
http://www.chocolaterie-stettler.ch/


(2)トリスタン

ちょっと遠いですが、お勧めのお店です。
ちなみにオーデマピゲのチョコレートはここのチョコレートです。
https://www.chocolatier-tristan.ch/

 

 

ジュネーブ編は以上になります。

街中が高級時計に溢れた素晴らしい街です。

時計愛好家はぜひ一度は訪れたい場所です。

 

次回はスイスの博物館の訪問記を書かせていただきます。
おたのしみに。

 


【関連記事】

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