【速報】ジュネーブで開催されるEPHJが「70の小さな出展者もバーゼルワールドを去る準備ができています」と発表

 By : CC Fan

大手5ブランドがバーゼルワールド脱退を発表
し、バーゼルワールド運営のMCHグループが「残念」と言うプレス発表を行うという、どこかで見た流れで行われた大手5ブランド(パテック・フィリップ、ロレックス、チューダー、シャネル、ショパール)のバーゼルワールド脱退、その直後に最後の大手グループだったLVMHグループも脱退を発表し、もはや風前の灯火と言った様相です。

ただ、バーゼルは時計だけではなく「宝飾」や直接製品を作るのではなく、分業製造でブランドを支える「サプライヤー」の展示会でもあるため、展示会の規模はスケールダウンするにしても、イベントだけなら維持できるのでは?という見立てもできるのでは?考えましたが、それも厳しそうなニュースのタレコミがありましたので紹介します。

70 petits exposants pourraient aussi quitter Baselworld

このプレスリリースを発表したのはEPHJ-EPMT-SMTという時計製造、ジュエリー、マイクロテクノロジー、医療技術などの見本市を主催している団体です。
EPHJはEnvironnement Professionnel Horlogerie-Joaillerie(時計と宝飾のプロフェッショナル)、EPMTはEnvironnement Professionnel Microtechnologies(マイクロテクノロジーのプロフェッショナル)、SMTはSwiss Medical Technologies(スイスの医療技術)の頭文字です。

現在フランス語のみで配信されているので、Google大先生のお力を借りた抄訳で読み進めます。

まずは4月14日に行われた5ブランドのバーゼル脱退にふれ、スウォッチは2018年に去っていたこと、2018年同様チューリッヒでイベントを行う予定だったが新型コロナウイルス(COVID-19)によってキャンセルされたことに触れ、この時点では確定していなかったLVMHグループの脱退に関しても、1月にドバイで行ったようなソロイベントを行えばバーゼルワールドよりも少ない費用(2千万から3千万フラン)で行うことができると述べられています。

LVMHのうち、ブルガリはバーゼルからの脱退を初めて発表し、これはコロナウィルスの影響以前に5月になったバーゼルのスケジュールが商業的に不利と判断したためですが、これにより2020年に(おそらく)唯一の開催となるジュネーブウォッチデイズを行うことができました、とブルガリCEOのジャン-クリストフ・ババンは付け加えます。

ここまでは前置きで、本題です。

このバックグラウンドを受けて、小規模な出展者はどうなるのでしょう。

宝飾とサプライヤー、小規模業者はすでに一度バーゼルを見捨て、EPHJ-EPMT-SMTに合流していましたが、スウォッチグループの脱退に伴う「改革」によって2020年にはバーゼルに戻る予定でした。

これは、バーゼルの新しいディレクター、ミシェル ロリス メリコフが実施したオープンな政策と柔軟な対応によるもので、「プロの出展者の数は2年間(2018→2020?)で大幅に増加した」と専門家がインタビューで答えています。
しかし、歴史的があり人を引き付ける「アンカー」ブランドが無ければ、小売業者やメディアを引き付けることは難しいと専門家はコメントしています。

「そして財政的には、ショーの主催者がイベントのサイズを変更し、そのイメージを改善することは非常に困難です。それによってバーゼルワールドが終わることを恐れています、残念ですが、予測可能でした」とジャン・クリストフ・ババンは言います。
実際、5年前の出展者はまだ1,400社でしたが、現在は約500社に減少しました。
日付、価格、組織、バーゼルのホテルの価格、ショーの入り口の問題、透明性の欠如、参加者の減少の問題が批判の中心にあります。

しかし、批判の1つは、このイベントが新型コロナウィルス(COVID-19)の世界的な流行に関する今年の「キャンセル」に続き、出展者に全額を払い戻すつもりはないという事実に基づいています。
イベントの主催者は、ブランドがそれに貢献する必要があると信じて、すでに1,836万フランに及ぶ費用が発生したことを正当化しました。
MCHグループは、出展者が投資した金額の15%の費用を払い戻し、残りの85%を2021年の次の出展料に残すことを提案しています。
「これはすべての頭金の払い戻しを必要とするブランドにとっては問題外です」 と、スイスの出展者の委員会の委員長であるだけでなく、Rolexの投資担当ディレクターでもあるHubert de Plessixは書いています。

ジェムストーンバイヤー(匿名希望)は1988年以来バーゼルに出展しています。
世界中のジェムストーンおよびパールバイヤーグループの70人のメンバーと同様に、約4万フランでコングレスセンターのホール2.1に「降格」したスタンドを構えていました。
彼らの参加額はトータルで310万フランに過ぎませんが、これらのバイヤーにとっては莫大な金額です、同様にジュウ渓谷の小さな職人や、バーゼルにも出展している他のサプライヤーにとってもです。
「出展者の目的は、100%の払い戻しではなく、見本市のキャンセル時にMCHが負担した実際の費用の合計を透明な方法で取得できるようにすることです」とジェムストーンバイヤーはコメントしています。

ただし、このグループのほとんどの出展者は、2021年1月にバーゼルワールドが開催される場合、ジュエリーに特化した他の3つのフェア(ヴィチェンツァーロ、タスコン ジュエリーショー、マイアミビーチアンティークショー)が同じ時期に行われているため、参加せず、おそらく2021年4月にWatches&Wondersと同時開催されるGemGenèveトレードショーに合流することになるでしょう。「ロレックスと他の優れた時計職人がバーゼルをを去った場合、私たちがそこにいる理由はありません」

ジャン クリストフ ババンは、これまでバーゼルに出展した他の出展者や職人に関して、ジュネーブウォッチデイズ(ブルガリ主催)などのイニシアチブは、非常に限られたコストで新製品を展示できるようになるとコメントしています。
「2021年に2つの公式見本市の傍らで4月にジュネーブで、またはブルガリが予定しているイベントの傍らで1月にドバイで展示されることができるでしょう」とブランドのCEOは付け加えます。
「彼らの才能、創造性、大胆さは、ほとんどの主要ブランドと共に、スイスの時計業界の将来にとって必要なものだからです」

ここまでが本題、ここらか先はバーゼルに関する追記です。

バーゼル市の経済災害

バーゼルワールドの大失敗はまた、「これらの多数のデモに関連して何年にもわたって規模を変えてきたバーゼル市にとっての経済災害」であるとウォッチジャーナリストのグレゴリー・ポンスはコメントしている。
さらに、市は、建築家ヘルツォーク&ドムーロンによって設計された新しい建物の建設のために4億3,000万フランを融資しました。これは、2013年にバーゼルワールドで開催されました。
新しい見本市の建物は、すぐに街の新しい象徴となりました。

専門家の間では、アートバーゼルやバーゼルワールドを含む約30の展覧会を開催しているMCHグループの破綻が迫っているとの見方もある。
後者は約2億フランの予算を持つが、デジタル技術にも大規模な投資を行い、時計業界のすべてのプレーヤーに対応することになっている仮想プラットフォームを開発するために、数百万フランもの予算を投入している。
MCHグループはすでに2019年の連結営業利益を4億4520万フランと発表しており、前年比7760万フランの減益となった。売上高の減少は、主に展示会のサイクルが弱まっていることによるものです。

しかし、バーゼルワールドは、2020年2月以降、多くの見本市やデモンストレーションの延期および中止につながったコロナウイルスの危機によっても打撃を受けるでしょう。MCHグループは、すでに約26のグループ売上高の減少を発表しており、その額は1億3千万から1億7000万フランにも上ります。
「マイナスの結果にもかかわらず、グループの安定は脅かされていません」と、MCHグループの取締役会の会長であるウルリッヒ・ヴィッシャー博士は3月26日に言った。
「流動性が高い」MCHは4月14日に発行されたプレスリリースで、バーゼルワールドを継続し、長期的な将来の発展に投資するかどうかについて、今後数週間にわたって決定を下すと述べています。

(抄訳+意訳ここまで)

今回のプレスリリースの特徴的なポイントとして、お金の問題をより具体的な数字として述べていることが挙げられます。
また、「延期」に伴う払い戻しの問題で揉めているという情報に関しても既に使用された金額を述べています。

このプレスリリースでは、小規模サプライヤーはEPHJ-EPMT-SMTに「戻ってくる」ことを求めていると読み取れます。
個人的には展示会と言うのは互助会的な性質もあり、人目を集める大手ブランドが参加することによってそれを目当て人々が集まり、通常であれば目を向けられない小規模ブランドやサプライヤーもその恩恵を受けることになります。
しかし、裏返してみれば大手としてみれば互助するぐらいなら自分一人でやった方が良い…思ってしまうでしょう、しかもそれが法外に高い出展料を求めるような展示会であれば、なおさらです。
であれば、何でもかんでも含めた大規模展示会よりも、それぞれの分野に特化し、出展者も参加者も目的が明確になっている小規模から中規模の展示会の方が良いのではないでしょうか?

バーゼルにとっては「泣きっ面に蜂」な状態ですが、これからも情報をお伝えしたいと思います。
EPHJはいつか行きたいとは思っていたので、次の開催時には是非行こうと思います。
https://ephj.ch/
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