関口陽介氏の作品『 プリムヴェール ( Primevère ) 』紹介 by haru

 By : Guest Blog

ゲストブロガーのharuさんから、WATCH MEDIA ONLINEでもCCFan氏が速報した関口さんのプロトタイプ作品のレポートをいただいました。




今回、ご紹介するのは ル・ロックル在住の時計師 関口 陽介 氏の腕時計
 『 プリムヴェール  ( Primevère ) 』です!


雪解けごろに咲く花から取られた名前で、雪の終わりと春の訪れを感じさせる花、関口氏がひっそりと温めてきた時計が陽の光の下で花開くイメージと重ねて名付けたそうです! 

 


簡単に関口氏の時計師までの道のりを紹介します。

関口氏は1980年 群馬県に生まれ
2004年 大学卒業時、大手銀行の最終面接の際、

『銀行業務のどの様な事に興味があるのかぁ?』との質問で…

頭の中をよぎったのは…

『16歳に衝撃を受けた時計作りがしたい』

と気づき…
銀行への就職を断念!

半年後、親に反対されたまま、単身フランスにわたり時計師への道を目指します。

父親の反対を押し切っての渡仏でしたので、当然、親の援助はないと思っていたそうですが、
両親は関口氏のために生活を切り詰め、お金を毎月送金して関口氏を応援してくれたそうです。

関口氏はブサンソンの語学学校に在籍しながら、時計技術習得できる仕事を行い生活して行きます。

しかし、時計師の道のりは簡単でありませんでした…

2006年
フランス・モルトーの職業訓練校に在籍
しかし…
3週間後、在籍資格がない事が判明し退校になってしまったところ…
訓練校の先生の好意で部屋を間借り、
また、訓練校で知り合った友人に、授業の内容と宿題を見せてもらい時計技術を習得。

2007年
学生ビザも切れ、帰国を余儀なくされるも…

翌2008年
再度ビザが出てスイスへ渡る。

そして、日本人の時計学校も卒業していない関口氏が
フランスの国家時計技師資格を取得!(異例中の異例!)

そして

2008年
ラ・ジューペレ 入社(2011年2月まで)

入社が決まり、生活がほんの少し安定したので、
学生当時からのお付き合いの現奥様をル・ロックルに呼び生活を始める。

2011年3月~2016年10月
クリストフ・クラーレへ在籍

また、
2011年3月~2019年12月
ラ・ショー・ド・フォンの時計店ジュバル( Juvall )の専属時計師

そして2020年
自身のブランドを立ち上げます!


ブランドを立ち上げますが、それだけで家族4人生活出来ません。
修復時計師としての仕事が本業で、奥様もパートで時計製造メーカーに勤めて生計を維持されています。

そして今回のプロトタイプ発表となったのです。


では、
『 プリムヴェール  ( Primevère ) 』 
の説明をします。

※写真は全てiPhone  11での撮影のため…画像は荒いです。

 ケース径 39.5mm



今回のプロトタイプはRGケース 針先に注目!

厚さ12mm



文字盤はエナメル文字盤



ドンツエ・カドラン製(プロトタイプ、今後カドラン製も使う予定)。
関口氏の時計作りに対するこだわりを見ると、ドンツェ・カドラン製の高級ラインにも勝るとも劣らないカドラモン製グランフーエナメルダイヤルが搭載されるとの事で、完成品が益々楽しみです。

ケースも超一流メーカーと同じ会社に依頼。



ガラスぎりぎりまで!
ケースは多少のデザイン変更あり!


いよいよムーブメントです!

ケース径いっぱいのムーブメント!

造形はヤーゲンセンスタイルに範をとった…
ル・ロックル スタイル



ヤーゲンセンは香箱を片方保持の宙吊りしているが、地盤側からの保持式に!



大型化したバイメタルチラネジテンプ
ガンギ車とアンクルに保油のための伏石のカバーが付いた輪列

ムーブメントのデザインは関口氏が手に入れ修復した、1871年製のユール・ヤーゲンセン No.12096という個体を参考に腕時計として使用できるようにでき設計されています。
(ダボ押しから龍頭の針合わせ、筒カナに変更など)

また、歯車 ブリッジも厚く設計
40時間のパワーリザーブ、毎日巻き上げ日常使いする事を前提に設計されています。



尾錠もバランスの取れたデザインです!

プロトタイプで磨きは完全では無い…
との事ですが…

物凄く細部まで手が入り、磨き上げられ光輝いていました。

温かみがあり!

色っぽい!

素晴らしい時計でした!

数日立っても興奮がおさまりません…

製造は年間10本程度
価格は700万~800万前後
変更はあります!


詳細は窓口となっている
奈良県橿原市の小柳時計店さんへ!

 

 【お問い合わせ】
小柳時計店
http://www.koyanagi-tokei.com/