グルーベル フォルセイ 銀座イベント

 By : CC Fan
グルーベル フォルセイ銀座ブティックにて、共同創業者ステファン・フォルセイ氏が自ら新作をレクチャーするというプレゼンテーションイベントが行われました。

当サイトでの告知記事1
当サイトでの告知記事2

今回、a-lsさん達とご一緒させていただき、新作を拝見するとともに、いくつかの技術的な疑問を直接フォルセイ氏に質問することができたのでレポートしたいと思います。



レクチャーを行うステファン氏とセールスマネージャーのエマニュエル氏。
通訳の方もいらっしゃいましたが、英語で直接コミュニケーションを取ることにしました。
ステファン氏はイギリス出身のため、英語が堪能です。



SIHHの新作の一つ、トゥールビヨン24セコンズ エディション・イストリックです。
スモールセコンドとパワーリザーブをディスク表示にしたことはSIHHで説明を受けましたが、実はトールビヨンのブリッジも他のトゥールビヨン24セコンズのアシメトリックケースと異なり、1本で支持されるこのピース専用のデザインになっています。
"光と影"を表現したという黒と白の文字盤は3D彫刻の碑文と相まって独特の表情を見せます。
このピースは今まで作られたトゥールビヨン24セコンズ アシンメトリックの締めくくりとして最後を飾るピースになるそうです。



バーゼルシーズンの新作、バランシエです。
シグネチャー1に引き続き、トゥールビヨンを持たないシンプルなピースです。
シグネチャー1と同様に、自社設計・製造のバランスホイール(テンワ)を持ちますが、5振動/秒のシグネチャー1に対し、6振動/秒で異なる設計になっています。
また、輪列を見せるデザインだったシグネチャー1と異なり、テンワ直下のガンギ車以外の歯車は徹底して隠されています。

文字盤に見えるフロスト仕上げの部分はムーブメントの地板がそのまま露出している構造で、本来の意味での文字盤はインデックスが載っているリング状の部分です。
これはまだプロトタイプのため、細部に変更が加えられる予定で、例を挙げればパワーリザーブの目盛りを止めているネジはなくなるそうです。



裏面も歯車を見せない構造になっており、シャトンを備えたルビーと前面にハンドエングレーブで彫られた碑文が見えます。
GFのロゴはシリアル番号(試作機なのでPROTO1)と共にあえて裏面に配置されています。



ケースサイドです。
グルーベル フォルセイを特徴づける非対称ケースと脱進機を観察するための開口部が見えます。
この開口部も試作機のため変更の可能性があると言う事でした。



腕に載せてご検討!?
個人的には拝見させていただいたものの中で一番好みでした。



こちらもリストショットですが、トゥールビヨン24セコンズ ビジョンのピンクサーモン文字盤です。
このピースは人気があり、SIHHでも多数のバリエーションが追加されました。



個人的に気になっていたのは、以前のピース(RG ブラック文字盤・下)では文字盤を彫ってグランフーエナメルを象嵌するシャンルベエナメルの技法で作られていたインデックスが、今回のバリエーション(上)では技法自体はシャンルベエナメルのままですが、エナメルを象嵌したインデックスをあとから取り付けるアプライドインデックスになったことでした。
このことをステファン氏に聞いたところ、直接シャンルベエナメルでインデックスを形成する場合は文字盤に使える色に制限があり、シルバーか黒しか作ることができないが、アプライドであれば自由な色を使うことができるためという理由でした。
サーモンはPVD、他の色はガルバニック処理で文字盤に色を付け、ホワイトゴールドにシャンルベエナメルで作ったアプライドインデックスを取り付けています。



トゥールビヨン24セコンズ ビジョンに特徴的な"ドーム"です。
パワーリザーブインジケータも裏面に配置されているため、文字盤側はとてもシンプルです。



最もシンプルなシグネチャー1のSSケースです。
ブラックの文字盤が与えられ、貴金属ケースとはまた違った印象です。



そして、"超大物"が…



グランドソヌリ

こちらもまだプロトタイプで、ステファン氏が身に着けて動作を確認しながらツアーとしてお披露目の後、分解・解析を行い改良を施すそうです。
デザインの細部も変更になる可能性があると言う事でした。

香箱は計時用とソヌリ用の二つがあり、パワーリザーブインジケーターも二つ用意されています。
5時位置の小さいものが計時用、2時位置の大きいものがソヌリ用です。



ムーブメント側です。
構造としてはキッチリ分かれており、6時側の碑文のプレートに覆われた部分が計時輪列、12時側の機構がオープンになっている部分がソヌリのメカニズムです。
文字盤も同様に上下で機能が分かれる構造になっています。

GF初の自動巻き機構を備えますが、これはソヌリ輪列を巻き上げるためのものです。
巻き上げはあくまでリュウズで行い、時計との対話を大切にしてほしいと言う事から、計時機構は手巻きのみになっています。
逆にソヌリ機構は手巻きもできますが、自動巻きによって身に着けている限りは巻き上がります。
これにより3気圧の防水性と相まって"身に着け続ける実用的なグランドソヌリ"として使って欲しいとのことです。
自動巻きのローターは巻き上げ効率を上げるために比重の高いプラチナ製です。

特許取得も含む11のセキュリティシステムが備えられており、ソヌリの動作時にはリュウズを切り離すなどの処置を行うことで壊す操作ができないようになっています(伝統的なソヌリは少し間違うとあっさり壊れる)。
モード変更にはコラムホイールのような構造を使い、プッシャーによって安定したモード切替ができるようになっています。

ソヌリモード・リピーター動作の間に特に禁止された組み合わせはなく、ソヌリをセットした状態でもリピーターを起動させることができます。
リピーター動作時にソヌリが鳴る時間を通過した場合は、ソヌリはキャンセルされます。
逆にソヌリが鳴っている時にはリピータープッシャーをセキュリティが切り離すことで、2重起動を防ぐ仕組みです。



別アングルから。
GFの特徴的なアシンメトリックケースとトゥールビヨンを観察するための窓が見えます。
ゴングはムーブメント一周以上の長さを持つカテドラル・ゴングで、このケースに入れるために一部が湾曲した構造になっています。



このようになっています。
よく見ると、文字盤側からもトゥールビヨンの脇をゴングが通っているのがわかります。



リストショット。
大きめですが、他社のソヌリに比べれば小さく、実用的と言う事でした。

最後に我々からいくつかの質問に答えていただきました。



Q. ソヌリを基により一般的なリピーターなどを出す予定はあるか?
A. 一般的なレバーのリピーターとソヌリは原理が異なり、簡易化して作れるものではないし、普通のリピーターをそのまま作るのは我々のブランドに相応しくないと思っている。

Q. 今年のカタログからムーブメント番号が記載されなくなった理由はあるのか?
A. ムーブメント番号は工業的で作品に相応しくないと考え記載しないことにした。

Q. ダブルトゥールビヨンとトゥールビヨン24セコンズの使い分けは?
A. ダブルトゥールビヨンは精度を最優先し、公的なコンクールでも結果を残しているが、機構そのものが大きいためあまり拡張の余地がない。トゥールビヨン24セコンズは充分な精度を持ち、サイズが小さいためコンプリケーションのベースとして使うことができる(GMT,QE,グランドソヌリ)。

Q. 特徴的な傾斜トゥールビヨンの傾斜角や周期はどのようにして決めた?
A. EWT(Experimental Watch Technology)という開発プラットフォームにより、いくつかのパラメータを変更して開発を行い最も良い結果が出る組み合わせを採用した。

Q. 歯車にインボリュートを使うのはなぜ?
A. これもEWTによって最も良いものを選んだ、傾斜歯車との組み合わせもあるため、より条件は厳しい。

ありがとうございました!

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