SIHH2018 MB&F 実機画像

 By : CC Fan
日本ではあまり知名度がないようですが、個人的に注目しているMB&F(Maximilian Büsser and Friends)、ハリー・ウィンストン(Harry Winston)で独立時計師とコラボレーションしたOPUSシリーズのディレクターを務めていたマキシミリアン・ブッサー氏が独立して設立したブランドで、OPUSと同様にコラボレーションした"フレンズ"と呼んでいる才能ある職人・工房との共同作業で作品を作り出しています。

今年のSIHHでは独特なムーンフェイズを特徴とする独立時計師サルパネヴァ(SARPANEVA)とコラボレーションしたムーンマシン2(MOONMACHINE2)を発表しました。



こちらはチタンモデル。
通常の文字盤の位置にサルパネヴァの特徴的なムーンフェイズが見えますが、これは自動巻きのローターです。
一見すると重さが偏っていないように見えるミステリアスローターになっています。



時分針は6時側からのぞき込むことで見えるようになっています。
これは、ドライビングウォッチとして最小の手の動きで見られるようにするためで、ムーブメント表面に置かれたディスクを、プリズムによって反射させることで投影して見せています。
時は双方向に時合わせ可能なジャンピングアワー、分は連続的に動きます。
ムーンフェイズは中央に置かれ、"世界初の投影式ムーンフェイズ"とのこと。



ベースとなったHM8は自動車レースCAN-AMからインスピレーションを得ており、ケース上部の"ロールケージ"や、ムーブメントの仕上げに自動車の意匠が取り入れられています。



ライトボックス内に配置されたローズゴールドモデル。



サルパネヴァの特徴的なムーンフェイズと網目状の意匠が設けられているのがわかります。

次は去年末に発表されたレガシーマシン スプリットエスケープメント(LEGACY MACHINE SPLIT ESCAPEMENT)です。



乱暴に言ってしまえば、レガシーマシン パーペチュアルから永久カレンダー機構を取り去ってしまい、特徴的な"スプリット"したエスケープメントをよりフィーチャーしたモデルです。

テンワとヒゲゼンマイは文字盤側にあり、ガンギ車とアンクルはケースバック側に配置されており、これをスプリットと呼んでいます。



テンワの軸の長さは実に約12mmもあります。
通常の時計としてはあり得ない設計で、このために各部を最適化しているそうです。
似たようなコンセプトの時計はいくつかありますが、"テンワのみ"を文字盤に配するためにここまでやっているのはこの時計だけでしょう。
これにより、どこにもつながっていないように見えるテンワのみが文字盤の中心で振動する独特の表現が生まれます。



ブラシによるフロスト仕上げ+PVDで仕上げられたムーブメントの地板に3つのサブダイヤルが浮かび、その上にテンワが浮かぶという構造が伝わりますでしょうか?
サブダイヤルは時分とパワーリザーブ、日付で、永久カレンダーではないですが日付修正用プッシャーがあるため修正は容易です。

最後は置時計のレペ(L'EPEE 1839)とのコラボレーションオクトポッド(Octopod)です。



どこからどう見てもタコですね。
去年のクラゲとともに、"海"をモチーフとした作品です。
ムーブメントは分針に脱進機までの一式を搭載し、一時間で一回転させるカルーセルムーブメントです。
また、マリンクロノメーターからインスピレーションを得たジンバル機構により、見やすい位置や水平状態など好きな姿勢にムーブメントを固定することができます。



脚を何本か伸ばした"攻撃態勢"です。
脚は任意の位置に動かせるほか、開閉状態でロックすることもできます。

8本の脚の数にちなみ、8日間のパワーリザーブで一週間に一度巻けば動き続けます。
MB&Fの腕時計は日本ではなかなか見られなさそうですが、こちらはレペのチャンネルでも販売されるそうで、日本でも見る機会がありそうです。

独特の世界を突っ走るMB&F、日本ではなかなか難しいと思いますが、これからも注目していきたいです。
もちろん、ジュネーブのM.A.D. Galleryも訪問しました。





こちらは別記事で…

関連ウエブサイト

MB&F
https://www.mbandf.com/en

M.A.D. Gallery
https://www.madgallery.net/

Sarpaneva
http://www.sarpanevawatches.com/

小柳時計店
http://www.koyanagi-tokei.com/

L'EPEE 1839
http://www.lepee1839.ch/

ムラキ 時計部
http://www.muraki-ltd.co.jp/watch/