SIHH2018 グルーベル フォルセイ ディファレンシャル イクアリティー 実機詳細

 By : CC Fan
SIHHにて、新たに3つのクリエーションを発表したグルーベル フォルセイ。
現地からの実機撮影の速報からだいぶ時間が経ってしまいましたが、共同創業者ステファン・フォルセイ氏から直接説明を受けることができたWMO個別取材の様子と、各ピースの詳細をレポートします。
完全新作のディファレンシャル イクアリティー(DIFFÉRENTIAL D'ÉGALITÉ)から見ていきましょう。
なかなか見られない貴重なものも登場します!



自ら説明をしてくださるステファン・フォルセイ氏。
手前のトレイに…?



ディファレンシャル イクアリティーです。
グルーベル フォルセイの特徴となっている傾斜したトゥールビヨンこそ搭載していませんが、姿勢差対策のために傾けられて搭載されたテンワと一種のコンスタントフォース機構(Différentiel d'Égalité)を備えています。
フォルセイ氏は"ダブルテンプの片側の脱進機をコンスタントフォースのステップ運針機構に置き換えたもの"と説明していました。
説明通りに受け取ると、コンスタントフォース機構は輪列の途中ではなく、ディファレンシャルギアで二股に分かれた片方の終端に設けられているのでしょうか。



さらに拡大。
トルク蓄積用?のヒゲゼンマイのようなものは見えますが、コンスタントフォースを制御するためのカムやレバーは見えません。
スモールセコンドは二つ設けられており、テンワ近くの小さいものが連続的(6振動/秒)に動き、4時半位置の大きいものが1秒ごとのステップ運針で動きます。
後述するリセット機構によって大きいほうのスモールセコンドは時合わせ(リュウズを引く)ごとに60秒位置にリセットされるため、意識して合わせないと二つのスモールセコンドは同期しません。



ケースバック側から。
グルーベル フォルセイのムーブメントは文字盤側に機構を可視化したアップサイドダウン形式のものが多く、ケースバック側から見るとルビーとシャトンしかなくて、いっそソリッドバッグにした方がいいのでは…というものもありますが、これは適度にケースバック側にも機構があります。
ハンドエングレーブによる"グルーベル フォルセイの碑文"が彫り込まれたドーナッツ状のプレートで二つのスモールセコンドの軸とリセット用ハンマーの軸が支えられています。
ステップ運針側の軸にハートカムが備えられているのがわかりますでしょうか?



リュウズを引くとレバーがステップセコンドを停止させたのち、ハンマーがハートカムを叩き、60秒位置にリセットします。
これにより、時合わせの際には常に60秒位置に秒針を合わせることができ、テンワを停めるストップセコンドも搭載されているため、秒単位の時合わせが可能です。

さて、このような"発明"はどのように生まれているのか?ということをお会いするたびにフォルセイ氏に質問していました。
今回、発明を支える研究開発の片鱗を拝見できました。



名前だけは何度か伺ったEWT(Experimental Watch Technology:実験的時計技術)プラットホーム、その実物です!
これはディファレンシャル イクアリティーのコンスタントフォース機構を開発したプラットホームです。



そのまま製品になったわけではないので、細かい点やコンスタントフォースの周期(EWTは脱進が6秒間隔)は異なりますが、原理は同じでこれによって機構の検証を行ったそうです。
コンスタントフォース機構は4番車(秒の歯車)の位置に置くことが多いですが、これは歯車を追っていくと3番車から分岐して片方がテンワへ、もう片方がコンスタントフォース機構に向かっています。



たとえ検証機であっても細部までしっかり仕上げられているのはさすがです。
むしろこれをケーシングして売ってほしいとさえ思いました。

…この記事を書いていて気が付きましたが、アンティークの箱入りムーブメントは無意識にこれが刷り込まれていたのかもしれません。

グルーベル フォルセイ、新作も含め改めて拝見すると非常に魅力的です。
確かに、絶対的な価格で見ると途方もないですし、残念ながら私は買うことはできません。
しかし製造と研究開発にかかっている手間を考えるとあの価格でさえ、相対的にはリーズナブルとすら感じます。
フォルセイ氏曰く、"未来の目標にすれば良い"というお言葉をいただいたので精進します。

最後にブース内の写真と去年の6月にファクトリー前まで行った写真を。



天井に各種機構と特徴的なファクトリーが描かれています。



壁には今年のハイライトであるGMTアース(GMT Earth)が。



特徴的なファクトリー。
丘の下にガラス貼りのファクトリーが作られています。
この角度から見るとファクトリーですが、丘のふもとから見ると丘にしか見えません。



こちらが"本館"、古い農家の建物だそうです。
手前はクラーレ社から送って下さった関口陽介氏の車です。
この日はアポなしだったので手前で写真を撮っただけですが、次は工房を訪ねたいです。

次回は壁のキービジュアルにもなっているハイライトピース、GMTアースのレポートをお送りします。

http://www.greubelforsey.com/en/